暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

「する茶のすすめ」

2010年01月02日 | 茶道楽
平成22年1月号「淡交」に筒井紘一氏の「する茶のすすめ」
が掲載されていて、興味深く頷きながら拝読しました。


明治維新以来、一般的に「茶道」といった場合には
大きく二つに分けて考える必要があり、
一つは「する茶」であり、いま一つは「教える茶」です。
「する茶」とは、茶事を催すことを中心とした茶の在り方であり、
「教える茶」とは、指導・教育を中心にした茶のあり方です。
 ・・・・
現在は「教える茶」が主で、茶道の本来の姿である「する茶」が
後退してしまったが、この二つは車の両輪のようなものなので、
これからは「教える茶」の中に「する茶」が復活するよう
心掛けようではありませんか・・と呼びかけています。
詳しくは是非本文をお読みください。
                       

「する茶」(茶事)を目標に長らく中断していた
茶道の習いを再開して6年になりました。
目標に掲げたものの、「する茶」はすぐには行い難く、
稽古再開の後すぐに茶事教室へ入門し、茶事のあれこれを
講師の諸先生や先輩方から「習い」ました。

茶事教室では亭主、半東、水屋、客に別れて
いろいろな役目を経験しながら茶事を身につけていきます。

ある茶事でN先輩と水屋の係りになりました。
始めての水屋で、何をどうしたらよいのか
やり方、順番、タイミングが全くわからない状態でした。

思い切って(半泣き状態で)N先輩に
「何から準備したらよいか全くわかりません。
 宜しくご指導ください」とお願いしました。

N先輩はあれこれ手を動かしながら
「水屋は先ず火を熾し湯を沸かすこと、
 火が熾ったら火入の灰を暖めておくこと。
 あとは私のやり方を見ておくように・・・」
と、言って下さいました。

・・・有難かったです。
言われたことをするのも難しかったのですが、
N先輩の邪魔にならないように見させていただきました。
茶事の全てが体に沁み込んでいる様な見事な水屋ぶりでした。

私もいつかN先輩のようになれたら・・・と思っていると
「暁庵さん、茶事は自分でやらなければ いつまでも身につきませんよ。
 お客さま二人か、三人をお招きして、兎に角やることです」

このお言葉に勇気づけられて、今に至っています。
今年はどのような試練、どのような出逢いが待っているのでしょうか。
今できる「する茶」を心して積重ねていければ・・・と思います。

本年もどうぞ宜しくお願いいたします。

                       

写真の色紙は「寅ちゃん」、森下隆子さんの作です。