暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

初めての朔日稽古

2012年09月15日 | 稽古忘備録
朔日(ついたち)稽古に初めて行ってまいりました。

自転車から転倒し左手を強打してしまったので、
当日の朝に伺えるかどうか?を判断するような状態でした。
でも、きっと夢中だったのでしょうね。
それに、先生から参加のお許しを得ていましたし、
東京から来られるOさんと待ち合わせていました。

8時頃に茶道会館へ着き、身支度し、2階の広間で受付しました。
受付が始まるのは7時半~ですが、点前を希望する場合は先着順ですので
早くに並ぶようです。(参加資格など詳しくは今日庵へお問い合わせください)
受付でエントリーシートを頂き、住所、氏名、先生のお名前、
最終許状の日付、点前の希望などを書いて提出しました。

ちらっと他の参加者のシートを見てびっくり。
お稽古の日付を示す欄がびっしり埋まっているではありませんか。
急に心細く思っていると、まもなくOさんが到着し安堵しました。
怪我で無理もできませんが、せっかくの機会なので午後も見学したいと
お弁当を注文しました。

                             

それから、襟を正し、気持ちも新たに兜門をくぐり、
咄々斎にて9時に朝礼が始まりました。
朝礼で伺った坐忘斎お家元のお話はとても心に残るものでした・・・。

昨日(8月31日)まで夏期講習会があり
お家元も若い受講者の指導に当たられたそうです。
ところが、夏の暑い時期に子弟が膝を交えて茶の道を切磋琢磨する
という講習会の目的とはほど遠い気持ちの方がいらしたそうです。

お家元や業躰先生が普段の稽古の、その奥を教えたい・・・と思っても、
受講者がその覚悟を持って準備して臨まないと、
「はい、右、はい、左、前・・・」という順番を教えることで
終始してしまうのはとても残念に思う。
講習会、朔日稽古、そして大寄せの茶会、どんな場合にもそれに応じた
覚悟を持つことが大事である。
「覚悟」を持って臨めば、そこで得ることは大きい
・・というようなお話しでした。

初めての朔日稽古で、大変耳の痛い、しかし素晴らしい示唆に富むお話を
伺うことができました。

                

第一席は茶道会館で、G先生のご指導のもと、行之行を見学しました。
稽古のその奥の、はっとするようなお教えがたくさんあり、有難かったです。

それからI先生のお部屋へ移動し、真之行を見学、
お客様の真ん中に入れて頂いて、濃茶を頂戴しました。
午後は心花の間で大円之真を見学しました(再びI先生でした)。
三人の方のお点前を見学させて頂き、業躰先生はたぶんお点前を一目見て(?)、
その人の覚悟のほどがわかるのでは・・・と思います。

特に大円之真をなさった方の歩き方、そして点前に見惚れました。
堂々とした中にもしなやかさがあり、きちんとした所作が美しく(もちろん順番はすらすら・・)、
完成度の高いお点前を見学させて頂き、先生のご指導も熱の入ったものでした。

「奥伝」の点前はこのように多くの人の前ですることはないけれど
(茶事では真の茶事や引次の茶事がありますが・・・)、
大勢の人前で点前することによって得られるものがあるので、
その覚悟でチャレンジしてください・・・という激励がありました。
朔日稽古の一つの意味(見学も含めて)が見いだせたような気がしました。

いつの日か、覚悟を持ってお点前が出来る日を夢見て精進します
・・・と、今は思っています。

                                



花月之式で最終稽古 

2012年02月19日 | 稽古忘備録
2月16日、如月の第三回目の稽古は花月之式でした。
この日で先生宅へ稽古で通うのが最終となります。
でも、あまり意識しないで、いつも通りお稽古を・・・と思いました。

                 

床の軸は、前大徳悦道和尚筆で
「梅花和雪香」(ばいか ゆきにわして かんばし)。
玄々斎お好みの更好棚に梅の絵のある青磁色水指が映えています。

「今日はなかなか咲かない梅に登場してもらいました。
 この水指は茶室を作った時の大工さんから記念に戴いたものです。
 蓋は主人の手作りなんですよ」
「あらっ! 思い出深い水指だったのですねぇ~」
そんな会話を先生と交わしながら、ご挨拶をし、花月之式稽古が始まりました。

                 

課目は、且坐之式、貴人清次濃茶付花月、包帛紗花月(逆勝手)でした。

急に三人の方が体調不良、転んで捻挫、ご主人の介護のためお休みになり、
先生が入ってくださって且坐之式から・・となりました。
私は月を引いて亭主でした。
半東はKさん、正客はS先輩、次客は先生(途中でUさんと交代)、三客はY先輩です。

侘助(紅)、相模侘助(ピンク)、藪椿(赤と白)、梅、菜の花、水仙など
花がたくさん集まって、春爛漫の花台が運び出されました。
先生が紅の侘助を一輪、青磁鶴首の花入に生けました。
Y先輩が炭を置きました。釜は布団丸(和づく釜)です。
S先輩が香を焚き、順番にまわして沈香の香りを静かに愉しみました。

                 

濃茶になり、みなさまに濃茶を練って差し上げることもこれが最後かしら?
と思いながら、丁寧に練り上げました。
「大変おいしゅうございます」
S先輩の声がかかり、中仕舞をしました。濃茶は小山園の慶知の昔です。

茶碗拝見後に茶碗が戻り、総礼をします。
半東のKさんは水屋へ戻り、菓子(みかんが乗っていました)を正客へ。
私(亭主)は茶碗へ湯を入れ、ゆっくりタイミングを計りながら濯ぎ、建水へ捨てます。
茶碗を少し突いて置き、半東と同時に立って、踏込畳ですれ違います。

いちねん会で二人共に研鑽している成果の見せ所です。
すっと立ち、タイミングぴったりですれ違いました。ヤッタネ!
Kさんが棗を清め、薄茶を点て、私が頂戴しました。
久しぶりの且坐でしたが、良い思い出になります。

                  

昼食は、私にとって最終稽古の日だから・・・と、
先生お得意の炊き込みご飯と煮物椀、Y先輩の鳥の焼物と春野菜の白和え、
S先輩から漬物や果物のコンポートなど、思いがけないご馳走が並びました。
みんなでワイワイ楽しく雑談しながら、美味しく平らげました。
先生、皆さま、至らない私のためにありがとうございました・・・。

貴人清次濃茶付と逆勝手・包み帛紗花月はまさに頭の体操で、
これまた楽しくお勉強させて頂きました。

とても充実した最終の花月之式稽古でした。
「本当にこれが最終の稽古なのかしら?」と最後まで不思議な気持ちでした・・・。
心から御礼申し上げます。 ありがとうございました! 
                                     

                                

如月の稽古  後炭と大円之草

2012年02月17日 | 稽古忘備録
如月第二回目の稽古は五事式の茶事の翌日で、相伝でした。
課題は大円之草、しっかりお勉強させて頂いています。

床の軸は、三玄院の長谷川寛州老師筆の「閑座聴松風」。
花は、侘助と芽のものです。

初炭をさせて頂くことになり、支度をしていると、
「初炭はもう宜しいでしょう。
 いきなりですが、後炭をなさったら?」と先生。
喜んで後炭をさせて頂きました。
前回、逆勝手で後炭を見て頂いたので、順番は頭に入っていたのですが
支度が間に合いません。

普通の紙釜敷を懐から出し、澄まして釜(布団丸)を乗せ、勝手付まで引くと
「釜敷が違っていますよ」とご注意が・・・。
ところが、藤釜敷を全然思い出せずにキョトン!

「釜敷は白でしょうか?(たまたま水色だったので)」
あまりにもトンチンカンな応答にKさんが笑い転げています。
「後炭の釜敷は?」
「あっ! 藤釜敷でした・・・失礼いたしましたっ!」

                          
炉の初炭と後炭の支度の違いは
 〇 胴炭が輪胴になります
 〇 枝炭は五本から三本になります
   枝元を上にして点炭の点前に立つように置きます
 〇 カンは火箸に掛けずに炭斗のなか、輪胴へ持たれかけるように置きます
   炭斗が狭いなど、カンが中に置きにくい場合は火箸に掛けても良いそうです
 〇 釜敷が紙釜敷から藤釜敷に変わり、炭斗のなか火箸の左側へ置きます
 〇 匙香になるので、灰器へ湿し灰を片側に(半分使った形)入れ
   灰匙に練香を一つ置きます
   練香はコロコロしないように一辺を平らにしたおむすび型にしました
 〇 釜を清めるので、ヤカンの口に竹蓋置を乗せ、濡れ茶巾を用意しておきます
   片口でもかまいませんが、その時は蓋置を使いません
   濡れ茶巾は、茶碗に1センチ位水を入れ、畳んだ茶巾を逆さにして
   漬けておきます

いろいろありましたけれど、後炭は大好きです。
茶事で釜を上げた瞬間のドキドキ感が何とも言えません。
炭の流れ方に一入の風情(寂寞・荒涼感など)を感じさせられます。

見惚れるほど美しい炭と火と灰の芸術品ですが、すぐそのあとに
後炭までの所要時間や、初炭の炭の置き方は?など、
いろいろ考えさせられる場面でもあります。

                         

大円之草についても書いておきたいことだらけですが、
相伝ですので今日はこれにて御仕舞です。
年のせいとは言いたくありませんが、やるそばから抜けていきますので
稽古を続けるしかないようですね。

                              



如月 逆勝手の稽古

2012年02月09日 | 稽古忘備録
   梅一輪 一輪ほどの あたたかさ   嵐雪
が実感できる日々となりました。

如月の第一回の稽古は逆勝手でした。
「毎年この時期は向切本勝手かまたは逆勝手をしていますが、
 今年は逆勝手をいたします」と先生。

先生宅へ伺うとすぐに稽古場へ先生が出てこられて、Kさんや私より
先生が一番張り切っているご様子です・・・。

先ずKさんが初炭を見て頂くことになりました。
水屋の都合で、四畳半台目の台目側が茶道口になり、
薄縁を引いて畳の縁をなくしたり、逆勝手に合わせているのですが、
なかなか歩幅が合いません。
左足、右足の違いは、お客様の居る方の足で入り、出る
・・・と覚えておくと迷いません。

逆勝手では香合だけ右手で、あとは左手でとります。
炭を掴む時の火箸の向きが決まっているそうで、炭が持ちにくそうでした。
香合は節分に因む染付のかわいらしい豆男です。

                     
                      (雪越こし  写真は季節の花300提供)

続いて半筒茶碗に絞り茶巾を仕組み、薄茶点前を見て頂きました。
すると、最初から大失敗。
帛紗を左につけて注意を受け、右へ付け替える時に勝手がちがって超もたもた。
帛紗をとるときに向うに折り込んでしまい、再度やり直し、
左手で手前に折り込んでそのまま持ち、左手の手のひらへ返しておき、
帛紗の上端をとり帛紗捌きをしました。

逆勝手は外隅ねらいですが、座るときの位置や角度が微妙に決まりません。
棗の蓋は中次と同じように茶碗と膝の間に置きます。
最後に左手で建水上の柄杓をとり、右手で扱って左手で持って節まで進み、
蓋置を左手でとり右手に持たせてから、左手で交差するように建水を持ちます。
右足から立って右足を引いてまわり、後ろ正面を向いた時に
建水を左下へ下ろします。

                     

昼食後、後炭を見て頂きましたが、これも難しかったです。
炭の組み方は本勝手の後炭と全く逆になります。

炭をつぐ段になって、胴炭が十分残っていたので輪胴を除けることにしました。
火箸を左手でとり、右手で扱って左手で横に持ってから
一膝下座を向いて灰器の灰匙を上に向けてから、炉正面へ戻り、
輪胴を右手で掴み一膝下座へ向いて、輪胴を灰匙の上に乗せます。

炉正面に戻り、指を懐紙で清めてから、火箸を右手にわたし、突いて持ち替えて
丸ぎっちょ、割ぎっちょと逆まわりに炭をついでいきます。

最後の点炭をついでから、灰器の輪胴を戻すのですが、
見事に忘れ、釜を引いてカンを置き、下座へまわって
灰器を持つときにやっと気が付きました。

これは逆勝手だから・・という問題ではなく、
後炭をすることが茶事でも稽古でも少ないので身についていないのです。

家に帰って逆勝手の帛紗捌きをしながら
「あぁ・・自宅稽古を早くできるようになりたいなぁ~」

引っ越しまで約1か月となり、今、家の中がシッチャカメッチャカなのです・・・。

                               




壬辰(2012年)の初釜

2012年01月07日 | 稽古忘備録
イベント続きで投稿が遅くなりましたが、
1月6日は壬辰(2012年)の初釜でした・・・。

小田急相模原駅から徒歩10分ほどの水車園で行われ、
水屋を仰せつかりました。
・・・それで、席中の様子を詳しく書けませんので、
記録として写真を掲載します。

                
                
8時集合、水車園は初めてです。玄関入口に水車がまわっていました。

                
                     (武具の展示場)

二階に展示場があり、鎧、兜、甲冑、武具などが展示されています。
私一人でしたので、甲冑を着た武士たちに囲まれて、不気味でした。

                
                  

先生が広間の床の飾りつけをなさいました。
宗峰妙超(大燈国師)墨蹟「梅渓号」です。
もちろん、本物は五島美術館にあり工芸品ですが、
堂々とあたりを祓う気迫を感じます。
青々たる結び柳や俵の三方飾りが新年の慶びを表わしていました。
花は、先生ご丹精の大神楽(椿)とうぐいす蔓、花入は龍耳青磁です。

初釜の次第は次のようでした。
広間へ席入後、及台子を使い、Kさんが台子炭手前をします。
その後、新年のご挨拶を全員で交わします。
縁高を運び、花びら餅を味わって頂いてから、先生が台子・濃茶点前をなさいます。
嶋台を使って二椀を先生が煉り、半東(Kさん)が取り次ぎます。
もう一碗(五人分)を頃合いを計って水屋で練ります。
席中へこの濃茶をお持ちし、末席へKさんと座って、濃茶を頂きます。
濃茶は上林の遊亀(ゆうき)の昔です。

                

濃茶が終わると、恒例のおたのしみの辻占いと福引です。
それから別室でお屠蘇と祝膳を頂きます。
食後の薄茶は員茶(かずちゃ)之式で、Kさんが亭主、私が札元をつとめます。
員茶が始まる前に、湯と炭を足し、十種香札、煙草盆と干菓子の用意をします。

先生から嶋台をしっかり温めておくように指示がありました。
先生に花びら餅の向き(家元はゴボウが手前だそうですが・・)と、
14本の黒文字の置き方(縁高へ)をお尋ねしておかなくては・・・。
水屋を担当すると、わかっていないことがよくわかり、良い勉強になります。

あっ! お客さまや先輩方がいらしたようです。
桜湯を用意しなくてはなりませんので、これにて失礼いたします。