暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

愛宕山へ登る

2014年06月10日 | 京暮らし 日常編


6月某日、大学時代の友人K氏と3人で愛宕山へ登りました。

低い山々(平均600m)が取り巻いている京都盆地、
西北にある最も高い山が愛宕山(標高924m)です。
山頂にある愛宕神社は奈良時代から「火伏せの神」としてあがめられていました。

「伊勢へ七たび、熊野へ三度、愛宕さんには月まいり」
とうたわれている山なので、一度はお詣りしたかったのです。
何度も天候やら急用やらで流れ、やっと念願を果たしました。

京都在住のK氏お薦めは、表参道の階段が多い清滝道でなく、
裏参道の水尾道ルートでした。
ゆっくり休み休み登ったので、保津峡駅から山頂まで3時間半かかりました。

  山陰線・保津峡駅~水尾~水尾わかれ休息所~社務所前の広場(昼食)~
  愛宕神社・本殿(お詣り)~月輪寺~梨の木谷出合~京都バス停「清滝」


              

              

保津峡駅から水尾川の流れに沿って車道を行くと、
「柚子の里」として名高い水尾の集落がありました。
盛りを過ぎていましたが、白い柚子の花が咲く急峻な段々畑、、
柚子風呂の看板を掲げた家や、清滝方面へ抜ける「米買い道」など
山間に住む人々の暮らしが垣間見られます。

   
         水尾集落の道しるべ           清滝へ通じる「米買い道」

ひっそりとした集落を抜けると、いよいよ杉林の坂道。
歩きやすいのですが、けっこう急なので、喘ぎながらゆっくりと・・・。
1時間ほど登ったころ、凍ったタオルで顔や首筋を冷やし、熱中症対策です。
水分を十分補給しながら登ったのですが、冷たいタオルで生き返りました。
(その日の京都の最高気温は34℃でした)

              

久しぶりの山で足取り重く、やっと「水尾わかれ休息所」へ到着。
ここで一休みする人が多く、
「ここまで来たらもう一息ですよ」と激励されました。
両側に杉の大木が聳える道は愛宕神社の参道の趣き満点で、
清瀧から登るとずっーと階段のある、このような雰囲気の道だとか。

黒門近くで一人の男性が参道を下りてきました。
「シャラン シャン シャラン シャンシャン」
美しい鈴の音が交互に聴こえてきて、思わず声を掛けました。

「きれいな鈴の音ですね。愛宕神社の鈴ですか?」
男性はリュックに結ばれた2つの鈴を見せてくださり
「これは伊吹山、こちらは愛宕山です」

              
              やっと黒門が見えてきました

黒門を通り、愛宕神社・社務所前の広場で昼食です。
京都市街が眺められ、気持ちの良い風が吹き渡るベンチには
お詣りの登山者たちが昼寝をしたり、くつろいでいます。
毎日登山をする方もいるそうですが、その気持ちがわかる心地よさでした。

              
                       愛宕神社・本殿

愛宕神社にお参りしてから、3人でおみくじを引きました。
明智光秀が本能寺の変の直前に愛宕神社に参詣し、おみくじを引いたところ
何度引いても凶がでて、七たび引いてやっと吉が出たというお話に因んで・・・。
大吉、中吉、吉と、みな、吉が出て一安心。

              
                        月輪寺本堂
              
                      おみくじを引いて休憩

それから月輪寺(つきのわでら)へ下ると、副住職さんが
「明智光秀はここ月輪寺で京都の町(本能寺)を見下ろしながら、
 おみくじを引いたのです。愛宕神社ではありません・・・」
そこで、もう一度3人で仲良くおみくじを引きました。
私は大吉から末吉、殿方たちも一応吉でしたわ。ヨカッタネ!

月輪寺から急峻な道を下山して、京都バス停「清滝」へ無事着きました。
K氏の案内で、久しぶりに気持ちの良い汗をたっぷりかいた、愛宕山登山でした。
(3日間、太ももが痛くて・・・んもう大変でした)

                                 

哲学の道の蛍

2014年05月30日 | 京暮らし 日常編
                        哲学の道

昨夜、蛍を見に哲学の道へ行きました。

3年間、蛍みたさに通っています。
最初の年(2012年)が一番たくさん見れましたが、
その年によって天候が微妙に違うので、同じ時期でも全く見れなかったり・・・。
昨年は6月10日頃に行くと、近所の方に
「今年は早かったようで、もう終わってるのとちがう?」
たしかに・・1匹も会うことなく帰りました。

今年は京都新聞に蛍の記事が出ていたので、
満を持して、5月28日に出かけました。
夜8時過ぎがピークだと思うので、7時30分に家を出ました。

             
                        近衛坂

哲学の道へは近衛坂を上って行くのが近道なのですが、
まだ明るいとはいえ、夕闇がすぐそこまで迫っています。
近道はお墓やお堂があり、この時間に抜けるのはちょっと怖いので、
神楽岡坂ルートを選び、真如堂の脇を通り、哲学の道へ急ぎました。

             
                        大豊神社

2年前に一番たくさん見れた場所、大豊神社の近くを目指すと、
1匹が明るく点滅しているのを発見!
昨年が空振りだったので、1匹でも見れて感激しました。
他の場所にもいるのですが、叢の奥だったりで、その光はひそやかでした。
こちらもじっと動かず、目をこらして待たないと見えてこないのです。

大豊神社の近くの場所へ戻り、そこでじっくり鑑賞することにして、
ひたすら飛翔を待ちました。
殿さま蛙(?)の貫録ある鳴き声をBGMに待つこと15分、
私たちの期待にみごと応えて、2匹が長く飛翔してくれました。
「ヤッター! ありがとう・・」
はかない光ですが、種の保存という力強いエネルギーを感じます。

今年も哲学の道の蛍に出逢えて
「夏がやってきた・・・」と実感しました。

             

翌日、ホットカーペットと炬燵を仕舞いたがらなかった主人が
率先して片づけ、障子や襖を簀戸(すど)に入れ替えてくれました(ホッ!)。
傾いている古家なので簀戸を入れるのに一苦労です。
やっと簀戸が入っても半分しか開かず、言うことを聞いてくれません。
それで茶道口は、たとえ習いにそむくとも、
スムースに開閉できる場所を選ぶことにしています。

畳や簀戸を拭き、気持よい汗を流して、夏座敷が出来上がりました。

             
                      平安神宮の花菖蒲

さて、蛍の次の楽しみは、平安神宮の花菖蒲真如堂の菩提樹の花
大豊神社の珍至梅(チンシバイ)かしら?

             
              真如堂と菩提樹

             
                  大好きな珍至梅  大豊神社にて

他にもお薦めがあったら教えてね!

                              


三宅八幡宮から圓通寺へ-2

2014年05月27日 | 京暮らし 日常編
                  比叡山を臨む  圓通寺にて
(つづき)
実相院から「岩倉具視幽棲旧居」を偶然見つけて寄りました。

            
            
                     岩倉具視幽棲旧居

旧居のガラス戸から庭を臨むと、○○貼り(?)の障子が美しくモダンです。
昭和3年に旧居の隣りに対岳文庫が建てられ、修理以前の旧居の写真や絵、
岩倉具視遺品や明治維新関連書類を展示収蔵しています。
対岳文庫の設計は、京都市庁舎本館を手掛けた武田五一氏です。

     
  田植えが終わったばかり            対岳文庫

            

そこから妙満寺(左京区岩倉幡枝町)を目指しました。
妙満寺には「雪月花」三名園の一つ、有名な「雪の庭」が現存しています。
この庭を見るのが今回の楽しみの一つでした。

庭に面した戸が開け放され、室内に座しながら「雪の庭」を眺めることができます。
雪も比叡山もありませんが、その昔、寺町二条に妙満寺があった頃の
比叡山を借景に雪積もる「雪の庭」を想像しました。


                    妙満寺 「雪の庭」

宝物館で妙満寺を創建した日什大正師(にちじゅうだいせいし)のことを知り、
その一生にびっくり仰天し、尊敬の念を抱きました。
日什上人は、もと天台宗の僧侶で、比叡山の学頭までなった人でしたが、
故郷の会津で日蓮上人の教えに触れ、惹かれながら学頭という立場もあり、
なかなか比叡山を離れることができませんでした。思いを貫き、
67歳という高齢にもかかわらず宗を改め、日蓮上人門下に入ったそうです。

68歳の時、日蓮上人の「帝都弘通」(都で教えを広める)の遺志を胸に
都へ上り、後円融天皇の「弘中弘法の綸旨」を賜わり、
康応元年(1389年)に妙満寺を建立、根本道場とします。
その後、兵火や移転を経て、昭和43年に現在の岩倉へ移転しました。
「雪の庭」は寺町二条にあった頃、松永貞徳(俳諧の祖)が妙満寺塔頭・成就院に
造営したもので、昭和43年の移転で、成就院より本坊の庭へ移築されました。

            
                      妙満寺門前の池にて

妙満寺から圓通寺へ徒歩15分位です。
20年以上前の夏、深泥池から山の中を通り、圓通寺へ来たことがありました。
だいぶ草木が伸びて、いつまで比叡山が見えることか・・・と、
感激と共に心配したことを覚えています。
もう一つ「白雲抱幽石」の軸が掛かっていて、雄大な比叡山の借景と
ぴったりはまって、今なお記憶に鮮明です。

            

雲一つない青空に比叡山が以前より見やすく、青々と聳えていました。
住職のご説明によると、
景観条例によりこの庭の景色が保護されることになったとか、ヨカッタ!
10名くらい見学者はいましたが、みんな思い思いの場所で静かに庭を山を
眺めています。私たちもゆっくり眺めていました。

            
                 (・・・ただ黙って座っていたい)

            

昔、登ってきた切り通しの道を下って深泥池(みぞろがいけ)へ出ました。
アオサギ、白鷺、菖蒲、ジュンサイ・・・
「昔はジュンサイを採って食べたりしたけれど、今はねぇ~。
 あそこの土手が切れている所へ行くと、採れるかも?」
と池の前に住んでいる方が教えてくれました。
行ってみると看板があり、深泥池では動植物を採ってはいけないそうです。
ジュンサイはともかく、景色が素晴らしく、鳥も花もいっぱいのパラダイスです。

            
                   (ジュンサイだと思う・・)

京都市内にこんなところがあったなんて・・・。      
                               

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三宅八幡から圓通寺へ-1

2014年05月25日 | 京暮らし 日常編
緑風に誘われて、外へ飛び出しました。

次のようなコースで、三宅八幡宮から最終目標地は圓通寺でした。

   京都バス(大原行)~三宅八幡宮~徒歩40分~実相院~徒歩3分~
   岩倉具視幽棲旧居~徒歩40分~妙満寺~徒歩15分~圓通寺~
   徒歩15分~深泥池~徒歩5分~深泥池バス停~市バスにて帰宅



            (三宅八幡宮の大鳥居・・ここからの参道が好き!)

                 
念願の三宅八幡宮へやっとお詣りすることができました。

恥ずかしながら、京都に住まいしてから3度も大怪我をしています。
幸い命に別状はないものの、2度目の時に、ついTYさんにこぼすと
「一度、三宅八幡宮へ怪我の無いようにお詣りせんとあかんね」
と貴重なアドバイスを頂きました。先月、転んで三度目の怪我があり、
・・・「もうこれ以上、怪我をしませんように」  いたします!

               

              
                  「願いごと」が書かれたよだれ掛け  

三宅八幡宮は「虫八幡」といい、子供の疳の虫除けの神様として
篤い信仰をあつめています。
神前にはよだれ掛けがいっぱい奉納されていて、
書かれた願いごとを読んで胸が熱くなりました。
「心おだやかにやさしく美しく育ちますように・・」
「夜泣きがなくなりますように・・」

国の重要有形民俗文化財に指定された絵馬を拝観しました。
全部で124枚、幕末から明治のものです。
京都市内から三宅八幡宮へ詣でる子供たちの行列が何枚も、
多いものでは1つの絵馬に600名の子供が描かれていました。

             

絵馬には子供の無事息災を願う親心がひしひしと感じられます。
着飾っている子もいれば、普段着の子も、付き添いの大人たちは
丁髷だったり、断髪もあり、古き時代の風俗習慣を今に伝えています。
行列の中に七宝焼で名高い並河靖之氏の名前とお姿を発見!

             

三宅八幡宮は鳩が神の御使いです。
狛犬の代わりに鳩、実在の鳩も餌をついばんでいます
「鳩餅」の看板に惹かれて、門前の茶店でお茶セットを頂きました。
「鳩餅」は鳩の形、聖護院八ッ橋のようなニッキ味の素朴な餅です。

             

花の香りを含んだ風が気持ちよく吹き渡る日曜日の昼下がり、
スーパーで買った行楽弁当を、公園の藤棚の木陰で広げました。

次に訪れた実相院(左京区岩倉上蔵町)は天台宗の門跡寺院、
東山天皇中宮・承秋門院から賜った大宮御所が客殿として現存しています。

             
             
             
                    実相院門跡にて

この客殿の「滝の間」の床に反射する「床もみじ」が超有名です。
秋は凄い人出らしいですが、日曜日だというのに閑散としていました。
青葉の床もみじもなかなか好いものです・・・。
                                   

         三宅八幡から圓通寺へ-2へつづく


京都の風物詩 古本市へ

2014年05月03日 | 京暮らし 日常編
              春の古書大即売会 (みやこめっせにて)

「京都に住んでみて市が多いことに驚いた」と前にも書きましたが
古本市もその一つです。

近所のスーパーに月2回古本の店が出て重宝していますが、
京都古書研究所主催の次の3つの古本市が有名で、
京都の風物詩となっています。

 ① 春の古書大即売会  5月1日~5日  京都市勧業館・みやこめっせ
   (GW中なので全国から古書好きが参集します。疲れたら近くの疏水や
    平安神宮の新緑も楽しめます)

 ② 下鴨納涼古本まつり 8月11日~16日  下鴨神社・糺の森
   (大文字まで行事がない期間なので、楽しみにしていますが、
    暑い!です。団扇必携、それと夕立が多いので・・・)

            
            
             下鴨納涼古本まつり (下鴨神社 2012年8月)

       
 ③ 秋の古本まつり   10月30日~11月3日 百万遍・知恩寺
   (読書の秋にそそられるイベントですが、茶会で忙しい時期です。
    児童書コーナーもあり、紙芝居、絵本ライブも楽しそう・・・)

            
            
             秋の古本まつり (百万遍・知恩寺 2013年11月)

   
みやこめっせで開催中の「春の古書大即売会」へ出かけてみました。
出店の数は約50軒、京都市を中心に奈良、大阪、岡山からも出店しています。

久々に本を物色できる楽しさに時間があっという間に過ぎてゆきます。
興味の対象が全く違うので、1時間後に主人と待ち合わせ、
それでも足りずにもう1時間延長しました。
切りがないので制限時間を設けたのは大正解かな?

その中の1軒、素敵な絵が隠すように置いてあって、目に留まりました。
サインを見るとFujita、藤田嗣治のデッサン画でした。
もちろん売り物だそうで、
「持ってきていませんが、他にもこんな絵があります・・・」
と手持ちの絵の写真を見せてくれました。
とても気に入りましたが、お値段が・・・・ふぅ~(ため息)。

            
                春の古書大即売会で物色中

「そうだ、古本市なのだから本に徹しよう!」
気を取り直して、茶道関係の本が並んでいる本屋を見つけ、4冊購入です。
 「やきもの入門」(田賀井秀夫著)
 「茶杓物語」  (初版 徳力富五郎著)
 「四季の茶画」 (中村渓男著)
 「日本の名随筆24-茶-」(中里恒子編)

古本だから定価より安いはず・・・と思い込んでいたのですが、
「茶杓物語」は初版本なので定価を上回っていました。
名杓と取り合わせの茶道具の写真が素晴らしく、すぐに読みたい本です。

            

プレゼント用に手に取った「面白半分」(筒井康隆編集)という月刊誌、
昭和52年7月号と8月号の2冊をお買い上げです。
(これも定価300円が500円にアップの希少本(?)でした・・・)
ビデオ「エトロフ遙かなり」のお礼にどうかしら?
送る前にちらちら読みながら、何度笑い転げたことか・・・(オモシロイ!)
映画狂らしき寄稿者も多いようなので、気に入ってもらえるかな?