昨日、2個入りパックの大きな桃を買ってきた。
桃といえば、よく注意して買わないと「無粋な客」によって押されて傷んでいることがある。
時間が経つと押されて傷んだ部分は茶色を呈してくるので、
見ただけでそれと判るが、新鮮なうちはなかなか判別がつきにくく、
私の場合50%の確立で傷んだものを買ってくる。
季節にしか食べられない桃なので、
ある程度「甘味不足や傷みは避け切れないのが桃」であると承知して買ってくるが、
それでも傷んだものが入っていると残念至極に思う。
そんなときはいつも思うのは、
人の指先の力ぐらいでは凹まない完全包装のパッケージが何故開発されないのかと・・・ということ。
まあ、間違いなく美味しいものを食べたければ高級フルーツ店に行って買えば良いのだが・・
3時間ほど冷やして食したが、この桃が当たりで「甘くジューシー」で無傷だった。
ここ数年スーパーで買ったものには「当りの桃」が無く、「その程度のもの」と諦めていただけに意外だった。
で、
美味しいものには目がない私は今日も同じものを買ってきた。
産地は「福島」でした。
「福島の桃」といえば、
以前、夏の東北を自転車旅行(花随想の記「のうぜんかつら」にて紹介)したときに、
国道6号線に面した農家の直売所で食べた記憶が残っている。
食べたのは1個だったが、採れたて特有の果肉の硬さがあったものの甘く美味しく、
一口食べるごとに、夏の日差しの中を一日90km平均で走行していた私の体に刺激的に沁み込んでいった。
「美味しい美味しい」と食べていたら、
「旅の途中でどうぞ」と更に一個をサービスしていただいた。
接待をしていただいた御礼は、
仕事の忙しさにかまけてついにせずじまいになってしまったが、
今でもあの売店はあるのだろうか?
東電福島第一原発事故は大丈夫だったのだろうか?・・・
震災は?・・・
売店のすぐ後ろにあったあの桃畑は?
たぶん同じ日だったと記憶しているが、
浪江町付近を走行中タイヤのチューブが破裂してパンクしてしまった。
画鋲や釘を踏んだ程度のパンクなら輪行(自転車旅行)ではよくあることなので、
修理はその場で自分で出来るのだが、
チューブが5cm近く切れていてはそれもできず、
自転車を手押しし浪江駅方面に自転車屋を探して彷徨した。
知らない町をとぼとぼと・・・なんとも心細かったことか。
自転車屋は何とか見つかってチューブの交換を依頼した。
ところが自転車屋さんの主人が言うには「このロードレーサー(自転車)に合うチューブがない」と・・・・
それでは困るのでいろいろ懇願したところ、
「リム(タイヤを嵌めている金属の輪)を少し削れば何とかなる」と修理をしてくれた。
にもかかわらず、
「修理代も取って欲しい」という私の意向を固辞しチューブの代金しか受け取らなかった。
あの時の「心細い私を救ってくれた」ご主人は今も健勝なのだろうか?
結局その日は予定を変更して浪江町の旅館に投宿したのだが、
素泊まりにも拘らず暖かく接していただいた。
あの時の旅館の人々は元気なのだろうか?
浪江町は今、東電福島第一原発の放射能汚染で役場ごと避難しているというが、
あの日にお世話になった人たちも避難しているに違いないことを思うと心が痛む。
巻頭の写真のように大きくて美味しい桃である。左の大きい桃は437g、右側の桃は408gでした。
原発事故の風評被害がなければとても前記のような値段では買えなかったろうと・・・。
下の写真は当時の輪行中に立ち寄った「勿来の海岸」にてのスナップ。