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人類が新型コロナウィルスの感染爆発(パンデミック)に震え上がっているというのに、植物はいつものように蕾を膨らませ、美しい花を咲かせている。「年年歳歳花相似 歳歳年年人不同」とはこのことかと、私は群馬県北西部の中之条ガーデンズで、「バラ爛漫」に浸って考えている。ここは山間地のせいか、都市部のバラ園よりだいぶ遅れて見ごろを迎える。緊急事態宣言が解除され、休園が解かれたおかげで、美の競演に間に合ったのである。
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バラは品種改良の極致なのだろう。色、姿、香りとも、よくもまあ人間をとろけさせてくれる。開園3シーズンになるのだろうか、中之条ガーデンズのバラ園は、赤、白、黄をベースにした多種多様の花で埋まり、葉は瑞々しく陽に映えて、株はしっかり育っている。バラの誘惑にめっぽう弱い私は、ここ数年、神代植物公園、米国オレゴン州ポートランド、横浜・港の見える丘公園、ロンドンのリージェンツ・パークと、バラ園を渡り歩いている暇人だ。
(オレゴン・ポートランド)
妖しいバラの香に絡め取られてしまっている私に、パンデミックの襲来を予測できるはずがない。昨年暮ころの計画では、1月はギリシャ・エジプトの旅、2月は沖縄、3月は信楽へ陶芸行脚と、のんきな計画を温めていた。それが突然の「鼠径ヘルニア手術」でギリシャや沖縄は消えてしまったのだが、まだそのころは中国・武漢が奇妙な事態になっている、といった程度の認識しかなかった。それが瞬く間に日本に、我が身へと降りかかってきた。
(横浜・港の見える丘公園)
ペストもコレラもスペイン風邪も知らない現代人にとって、パンデミックは未知との遭遇である。何をどうしたらいいのかわからないのは、個人も政治家も官僚も違いがない。むしろ普段は「指導的立場」を自認している政治家や官僚たちが、いかに危機対応能力に欠けているかの右往左往を確認させられる日々である。大きな自然災害では「がんばろうニッポン」といった機運が市民間に高まるものだが、ウィルス爆発はどうも様相が違う。
(ロンドン・リージェンツパーク)
それは国家間にも見られることで、国境封鎖は緊急措置として止むを得ないにしても、パンデミックこそ国際協調が必要な事態到来なのだと認識しなければならないのに、WHOを罵り、発生源を巡って非難の応酬に明け暮れる大国指導層の程度の何と低いことか。「武漢ウィルス」との表現に神経を尖らす中国政府は、反論する前に、なぜ自分たちの国家がいつも隠し事をしていると国際社会にみなされるのかを考えなければならない。
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都市封鎖を避け、自粛や要請といった曖昧な対応で感染者・死者数を低く抑えている日本は、このままの状態をパンデミック収束まで維持できたら、世界の成功例になるかもしれない。これは私の推測だが、政府の対策班に優れた感染症専門家集団がいて、そのリードがかろうじて国内の感染爆発を食い止めているのではないか。その有効性や社会の緊張感がこれからも続くことを祈るしかないが、どこかで力尽きるのではないかと心配ではある。
パンデミックはまた「日本の弱点」を一気に明るみに出した。アベノマスクや持続化給付金であぶり出された「官」のお粗末さ、いかがわしさなど、この国の仕組みは国民生活の「こうした危機」にまるで対応できていなかった。そしてわれわれ社会が、世界ではIT後進国だったのだと認識させられた。その上でリモートワークなどが普及し、社会構造が変わるかもしれないという興味もある。願わくば感染は免れ、バラの下にてその行方を見守りたい。(2020.6.10)
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バラは品種改良の極致なのだろう。色、姿、香りとも、よくもまあ人間をとろけさせてくれる。開園3シーズンになるのだろうか、中之条ガーデンズのバラ園は、赤、白、黄をベースにした多種多様の花で埋まり、葉は瑞々しく陽に映えて、株はしっかり育っている。バラの誘惑にめっぽう弱い私は、ここ数年、神代植物公園、米国オレゴン州ポートランド、横浜・港の見える丘公園、ロンドンのリージェンツ・パークと、バラ園を渡り歩いている暇人だ。
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妖しいバラの香に絡め取られてしまっている私に、パンデミックの襲来を予測できるはずがない。昨年暮ころの計画では、1月はギリシャ・エジプトの旅、2月は沖縄、3月は信楽へ陶芸行脚と、のんきな計画を温めていた。それが突然の「鼠径ヘルニア手術」でギリシャや沖縄は消えてしまったのだが、まだそのころは中国・武漢が奇妙な事態になっている、といった程度の認識しかなかった。それが瞬く間に日本に、我が身へと降りかかってきた。
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ペストもコレラもスペイン風邪も知らない現代人にとって、パンデミックは未知との遭遇である。何をどうしたらいいのかわからないのは、個人も政治家も官僚も違いがない。むしろ普段は「指導的立場」を自認している政治家や官僚たちが、いかに危機対応能力に欠けているかの右往左往を確認させられる日々である。大きな自然災害では「がんばろうニッポン」といった機運が市民間に高まるものだが、ウィルス爆発はどうも様相が違う。
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それは国家間にも見られることで、国境封鎖は緊急措置として止むを得ないにしても、パンデミックこそ国際協調が必要な事態到来なのだと認識しなければならないのに、WHOを罵り、発生源を巡って非難の応酬に明け暮れる大国指導層の程度の何と低いことか。「武漢ウィルス」との表現に神経を尖らす中国政府は、反論する前に、なぜ自分たちの国家がいつも隠し事をしていると国際社会にみなされるのかを考えなければならない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3a/d9/b5f59adb9016fcbba56bedeb2041130f.jpg)
都市封鎖を避け、自粛や要請といった曖昧な対応で感染者・死者数を低く抑えている日本は、このままの状態をパンデミック収束まで維持できたら、世界の成功例になるかもしれない。これは私の推測だが、政府の対策班に優れた感染症専門家集団がいて、そのリードがかろうじて国内の感染爆発を食い止めているのではないか。その有効性や社会の緊張感がこれからも続くことを祈るしかないが、どこかで力尽きるのではないかと心配ではある。
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パンデミックはまた「日本の弱点」を一気に明るみに出した。アベノマスクや持続化給付金であぶり出された「官」のお粗末さ、いかがわしさなど、この国の仕組みは国民生活の「こうした危機」にまるで対応できていなかった。そしてわれわれ社会が、世界ではIT後進国だったのだと認識させられた。その上でリモートワークなどが普及し、社会構造が変わるかもしれないという興味もある。願わくば感染は免れ、バラの下にてその行方を見守りたい。(2020.6.10)
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