今日は、この街にいます。

昨日の街は、懐かしい記憶になった。そして・・

921 立川(東京都)カスケード飛行機の街サンサンと

2020-12-17 16:12:42 | 東京(都下)
久しぶりに立川に行く。電車に乗ればごく近い街なのだが、観たい映画をやっているか、10年ごとのパスポートの更新か、あるいはIKEAに行きたくなった時くらいしか行かないから、いつも「久しぶりの街」である。しかしそのせいで、長い間工事用の目隠しで覆われていた駅北口の新街区に、新しいモールが生まれていたりするから面白い。この街が「都市軸」だと呼ぶ広場のような道を行くと、頭上をモノレールが音も無く通過していく。



都市軸道路は公募により「サンサンロード」と名付けられたのだそうだ。確かに冬晴れの今日は、モノレールの隙間から燦々と陽の光が差し込み、眩しいほどである。空が広いのは当然で、この一帯は460ヘクタールに及ぶ広大な旧陸軍立川飛行場跡なのだ。1977年、米軍から全面返還され国有地となったのだが、その東南隅のほんの一部である立川駅北側などが民間利用へと開放された。その跡地利用のメイン街区が、ようやく完成したようだ。



エスカレーターでビルの3階ほどの高みに運ばれると、そこは「GREEN SPRINGS」という緑の広場になる。どういうわけかこの街の呼称は、カタカナかアルファベットでないといけないらしい。地元信用金庫の本店ビルやホテル、ショップ、レストラン街などとともに、多摩地区最大規模だという多機能ホールが配置されている。それらを結んで通路がX型に延び、階段状に小さな滝が連なるカスケードとなって空に向かって行く。滑走路だ。



かつてここにあった飛行場へのオマージュと言ったらキナ臭くなるけれど、そうではなくて、現在も陸上自衛隊立川駐屯地があって災害救援派遣などに飛び立っている「飛行機の街・立川」をシンボライズしているのだろう。ショップの中には、戦後、地元で製造された「R-HM型軽飛行機」が修復され、展示されている。量産はされなかった型式らしいが、丸みを帯びた機体は実に愛らしく、そのままジブリのアニメで活躍してもおかしくない。



実は今回も、目的地はIKEAなのである。私たちは夫婦揃ってイケア好きで、この世界最大の家具量販店が2006年4月、船橋に日本再進出店をオープンして以来、船橋や三郷まで随分出かけ、家具や雑貨を買い込んできた。安いから買いやすいのは確かだけれど、何よりも北欧発のデザインが、見慣れた日本風より斬新で面白いからだと自分では分析している。買い手が自分で組み立てることを前提にデザインされていることも楽しみの内だ。



北欧ミステリーを読んでいると、「容疑者は部屋の家具をほとんどイケアで揃えていた」といった記述が出てくることがある。つまりそれだけで「家具は安物ばかりだ」ということが、世界中の読者に伝わるのだ。私が山奥で陶芸生活を始めた際も、10年間借りた宿舎の家具はすべてイケアで揃えた。部屋は味気なくなるけれど、別荘だからと割り切れば何の不自由もなく使えた。そしてそれらをすべて残してきても、惜しくないのがイケアの良さだ。



都市軸の一角にイケア立川店がオープンして6年半、近いからもっぱらここを利用するようになったのだが、今回はいつもと違う店内の雰囲気に奇異を覚えた。ファブリックなど一部の売り場は品揃えが薄くなり、店員は数が切り詰められているのか、一人一人が「疲れ」を滲ませているように見える。「この店で働くことがうれしい」と生き生きしていたものだったがと、これまでのイケア体験を思い返す。コロナのせいだろうか?(2020.12.15)




















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