今日は、この街にいます。

昨日の街は、懐かしい記憶になった。そして・・

982 藤沢(神奈川県)人気の街に笑顔あふれる高校生

2021-10-19 01:05:08 | 埼玉・神奈川
鎌倉と藤沢を結ぶ江ノ島電鉄は、沿線に高校があるのだろう、午後4時ころの藤沢駅は、江ノ電が到着すると下校の高校生でデッキが溢れる。江の島帰りの私も同じ電車に乗り合わせ、一緒にデッキに吐き出されている。ほとんどがJRか小田急に乗り継ぐのか、迷わず先を急いでいる。通路の端では地味な雰囲気のおじさんが、フルートで彼ら彼女らの1日を癒すような優しげな曲を奏でているのだけれど、若者はおしゃべりとスマホに夢中だ。



藤沢市は人口44万人。神奈川県では政令市の横浜、川崎、相模原を別にすれば、最も人口が多い街だ。東海道の宿場町として発展してきた歴史があるが、相模湾に臨む平坦部に開けた土地は、各方面から延びて来る街道が自ずと交わり、再び拡散していく要の役割が発生するのだろう。それは近代の鉄道も同じことで、藤沢駅にはJR、小田急、江ノ電が集まる。この街はそうやって大きくなってきたことが、地図を眺めるだけでも浮かんでくる。



ところがコロナ・パンデミックが、人の流れに新たな潮流をもたらしつつあるらしい。これまでは家選びの価値の根源であった「都心への近さ」が、テレワークの普及で重要なファクターではなくなり始めたのだ。「通勤の便」の必要性が薄れれば、暮らす場の選択地はもっと広がる。そんなニュースで、しばしば人気1位に挙げられるのが藤沢市だ。都心から50キロ、毎日通うのでなければ、1時間かかる「通勤の不便」は許容範囲ということだろう。



ではなぜ藤沢の人気が高いのか。あくまでも私の感覚的推論に過ぎないのだが、「湘南の海」が持つイメージが大きいのではないか。「湘南とはどこか」はなかなか微妙なテーマらしく、湘南発祥の地・大磯からしてみれば、相模川以東の街は新参者だろう。しかし今では藤沢、茅ヶ崎、平塚あたりがむしろ湘南の本場という認識が定着しているのではないだろいうか。明るい海岸が広がっているのに都会的で、だから暮らし良い街なのだろう、と。



藤沢で何年か暮らし、最近、鎌倉に家を建てて引っ越したばかりという若いお母さんに、それぞれの感想を聞いた。子育て中ということで、そうした関係の手続きなどは圧倒的に藤沢市のインターネット環境が優れているそうで、逆に鎌倉の遅れはひどいらしい。ただ鎌倉市には、個人住宅の屋根を提供する替わりに、太陽光発電装置を市とメーカーが無償で設置してくれるという先進制度がある。どちらの街も道路事情は悪く、渋滞がひどいらしい。



民間調査会社による都道府県魅力度ランキングが発表され、下位常連の北関東の知事が激怒したりしているけれど、「魅力度」といった曖昧な判定ではなく、確かなデータに基づいた「街の暮らし度ランキング」といったものを発表してくれる機関はないものだろうか。「明るい海がある」といったことをプラスに加点してもいいけれど、子育てや暮らしの利便性などが正確に比較されるようになれば、自治体間競争はプラスに激しさを増すだろう。



高校生ほど忙しくない私は、すぐには電車を乗り継がず、駅周辺を歩いてみる。南も北も、ペデストリアン・デッキが縦横に延びている。市のホームページによると、北口の広場は1979年に完成した「日本で二番目」のデッキだという。10日前に「日本で最初のデッキ」だという柏駅に行ったばかりなので、自分がペデストリアン・デッキ研究家になった気分だ。柏以上に広々とした藤沢のデッキは、街の快適さの象徴のように見える。(2021.10.14)










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