今日は、この街にいます。

昨日の街は、懐かしい記憶になった。そして・・

1081 横浜(神奈川県)春いまだハマの紅梅やや寒し

2023-02-16 12:28:58 | 埼玉・神奈川
立春を過ぎたとはいえ、寒の底はまだ抜けてはいないのだろう、ここは横浜市中区の横浜公園。池の上に枝を広げる紅梅は、季節の移ろいを先取りして頑張っているけれど、散歩する親子連れはしっかりコートを着込んで、未だ真冬の出で立ちだ。背景の大きな建物は横浜スタジアムで、オリンピックの野球会場になって綺麗に化粧直しされたらしい。この公園から日本大通りの銀杏並木へと続くプロムナードは、四季の変化が楽しめる散歩道だ。



久しぶりに横浜を歩いている。半世紀以上も昔のことになるが、学生時代の4年間、私の生活は横浜駅を経由して回転していた。長く横浜の裏口的存在だったという駅の西口は、そのころにはすでに現在の形にロータリーが整備され、周囲はビルに囲まれて3つのデパートが商売を競っていた。今、改めて眺めると、デパートは1つに減り、駅ビルのタワーや高層ホテルが目新しく聳えている。それでもバスロータリーは50年余を生き抜いている。



学生にとってデパートは縁が薄かったけれど、地下街の書店はよく立ち寄った。懐かしさから階段を下ると、有隣堂のレジには相変わらず長い列が延びている。地下街はすっかりおしゃれに様変わりして、変わらないのは天井の低さだ。構造まではそう簡単にリニューアルできないのだろう。東口にも行ってみる。「ハイカラさん」の群像壁画を潜って、人々が駅ビルに吸い込まれて行く。昔はなかった華やかさだが、外は高速道路に塞がれて狭い。



街には寿命があるのだろうか。横浜と直結している渋谷駅周辺は、100年に1度の規模だという大改造がほぼ完成し、風景を一変させている。その先の新宿駅界隈の再開発はこれから始まる。そうしたエネルギーが横浜にも再び押し寄せるかは日本経済の成り行き次第だが、横浜駅の東も西も私の記憶と比べたらずいぶん綺麗になった。あとは西口の老朽化ビルの建て替えぐらいの延命治療に留め、開発はもうこれくらいでいいのかもしれない。



お昼を食べに中華街に行く。コロナ禍で客足がすっかり落ちたと報じられた横浜中華街だが、思いがけないほど観光客が多くてホッとする。私が安堵しても何の助けにもならないけれど、孫がこの街の小学校に通っているので昔よりはシンパシーが湧く。ただ最近の若者は店先で買った中華を外で食べるというのがトレンドらしく、昔ながらの飯店は苦戦が続いているらしい。長い「いちご飴」の串が行き交う光景は、まるで北京や上海のようだ。



元町まで足を延ばす。平日だからか通りは閑散としている。おしゃれ上手な女性たちが、お気に入りのブランドを求めてやって来る「特別な街」は、今もおしゃれな佇まいを維持しているかに見える。しかしショッピング街がいつまでも吸引力を保ち続けるのはなかなか大変だろう。通り南側の山手の丘に通じる坂は「汐汲坂」と言い、「丘の住人が塩を作るため海水を汲みに来た」と書いてある。街は150年ほどすれば、かくも変化するものである。



学校を終えた孫を迎え、手をつないで関内の駅に向かう。「いちご飴」が食べたいと言い張る孫を、「行儀が悪いからダメ」とたしなめる日本人的年寄りが私である。横浜スタジアムの脇を通りながら、コロナでご無沙汰の旧友を思い出す。闘病中の彼と落ち合うのは、いつもここなのだ。そんな話をしても孫は「ふーん」と言ったきり、公園のオブジェに駆け寄って行く。帰宅するとその彼から「佃島散歩をしたので」と、佃煮が届いていた。(2023.2.14)
















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