1部 交響的序曲 J・バーンズ
交響詩「ドン・ファン」 R・シュトラウス
2部 アルメニア狂詩曲第1番 A・コミタス
トランペット協奏曲 A・リード
ウェーバーの主題による交響的変容 P・ヒンデミット
アンコール ダッタン人の踊り A・P・ボロディン
大河ドラマ「秀吉」 小六禮次郎
サーカス・ビー H・フィルモア
ぼくの座席は1階B列21番、前から2列目でステージに手が届きそうなくらい近い。しかもど真ん中で無理をすれば指揮者にさわることすらできそうだ。こんな前の席に当たることは滅多にないけれど、一度だけ経験がある。チケットを調べてみると14年前の同じく近畿大学の定期演奏会だった。そのときもB列で少しサイドの13番、そのときの印象がかなり悪かったので、最悪だぁ~と少しがっかりして席に着いたけれど、演奏が始まってみるとそんなに悪くなかった。というより、むしろ例年以上に楽しむことができた。とにかく1番クラとフルートとアルトサックスの1番しかぼくの目に入らない。そしてそれらの音がダイレクトに生に飛び込んでくる。それが気持ちいい。このホールは金管の残響で木管の音があまり聞こえないということがよくある。クラの音が聞こえなくて何度も地団駄を踏んだ。今回はそういう欲求不満は全く感じない。金管や打楽器のメンバーの姿は全く見えないし音も向こうの方から聞こえてくるのでまるでバンダでやっているような感じすらした。ぼくはフルートのトップとクラリネットのトップの顔しか見なくなった。途中でこれは木管の室内楽ではないかという気になってきた。この二人はさすが関西のトップのバンドのトップだけあって、全ての曲のトップを演奏して全くミスなく、アンサンブルも音程も文句なし。平然と楽々と難曲をこなしているように見えた。ヒンデミットの4楽章でホルンのメロディのオブリガートの3連符をこの二人が吹いたとき笑ってしまった。もちろん声を上げて笑ったのではなく、自然に笑みがこぼれてしまったのだ。あまりにピッタリで心地よくて、ホルンのメロディより目立っていて痛快この上ない。3連符で楽しくなってしまう、これぞ音楽の醍醐味という感じがした。帰宅したのは23時を過ぎていたけれど帰りの電車の中でもずっとうきうきした気分だった。