WALKER’S 

歩く男の日日

29日目 5月22日

2009-08-08 | 09年四国の旅

 5:30 お大師さんのわんこ
29日目、最後の日が始まる。今日は1番まで戻るのではなく1番の近くの高速バスのバス停まで戻る。1番霊山寺にお礼参りするのは意味がないとする人も多く、ぼくもその意見に賛成。今まで何回か戻ったこともあるけれど、今回は2番の前を通ってそのままバス停に直行する。そして今回は初めて大坂峠を越える道を行く。88番から1番へは南回りで10番切幡寺の前を通る道が一番近く、登りの道もないので女将さんは薦めるけれど、ぼくはもう4回も歩いているので今回は初めての道を行く。
 宿の前でわんこが待っていてくれた。何をするでもなくただ寝そべっているだけだけれど、宿のすぐ前にいたのでやはり見送ってくれているとしか思えなかった。


 5:36
さぬき市から東かがわ市に入る。引田町、白鳥町、大内町が2003年に合併してできた。



 6:12
ここから70mの山越えが始まる。2年前この道に入ったときはこの先のT字路を逆に折れてトンネルの方に行ってしまった。


 6:28
T字路の所に標識はないけれど、この登り口の所にはちゃんと遍路標識があった。T字路の前後の部分は旧い道ではなくて新しくできた迂回路だと思われる。昔の道がつぶされてしまって、その部分だけ新しい道になった、それで標識も付いていない。


 6:31
峠に大きな昔の道標があった。間違いなくここが昔のへんろ道であったことが判る。10番の方に下りていくお遍路はほとんどいなかったのかもしれない。


 6:33
山道を下りてくると、そこは徳島県阿波市。でも100mくらい行くとまた東かがわ市に入る。ここから與田寺の手前までは2年前に歩いたのでいくらか余裕を持って歩ける。


 7:09 白鳥温泉
大窪寺から9.3kmだから、長尾寺の近くの宿から出た人は、ここまで来る人と、コミュニティバスで高速のバス停まで戻る人とに別れるようだ。5年前、80番国分寺のそばの宿でいっしょだった108ヶ所巡りのベテラン遍路さん(佐藤光代さんの遍路日記にも登場する、その年ぼくは佐藤さんと八十窪で同宿だった)は、ここの宿が大のお気に入り。3つある宿の内どの宿かは聞きそびれたけれど、たぶん1番の白鳥温泉だと思う。


 7:25
四国総奥の院といわれている與田寺に行く人はここを左折する。大坂峠へ直行する人は直進する。與田寺に寄ると5kmくらいの遠回りになる。2年前與田寺に行こうとしてそのすぐ手前で挫折したので、今回も左折する。直進の道は来年以降にとっておく。大坂峠からの道も2種類あるからどっちみちもう1回は来なければならない。


 7:53 大内ダム
この少し手前にちょっとした峠(県道132号)があった。與田寺まではもう登りはない。12.7kmからの短絡路は工事中で歩けなくなっていた。工事が終わっても歩けないかもしれない、2年前歩いておいてよかった。


 7:57
こういう場合、表示より長くてがっくりすることが多いけれど、実際はその反対でした。


 8:25 高松自動車道
2年前はこの手前の所を折れずそのまま真っ直ぐ行ってしまったので、この下は通らなかった。與田寺はこちらの看板もあったのに、思い込みだけで地図を確認もせず間違った道を行った、すぐ気がついたけれど、結局與田寺には行けず、このすぐ先を左に行ったところにある大内高速バス乗り場からバスに乗ってしまった。2年前の失敗を埋め合わせるために今歩いている。


 8:31
四国初十八ヶ所総奥の院、山門の横の石柱にはっきり刻まれている。そうはっきり書かれては八十八ヶ所を巡ったあとここに来ないのは片手落ちという感じがしないでもない。少なくとも1番にお礼参りに行くよりは有意義なような感じがした。江戸時代のお遍路はこのお寺で最後のお参りを済ませたあと、この先の港から船で関西方面へ帰る人が多かったという。でも現代のお遍路がここを訪れることはあまりない。今日も広大な境内に人影は全くなかった。山門の横で小僧さんが竹箒を使っているだけだった。


 9:55 高徳線
與田寺ではお参りを含めて20分の休憩、8時55分に発つ。ここからは全部初めての道になる。今まで何回も地図を頭の中に入れてきたけど、発つ前に今一度確認しておく。でも、曲がり角にはもれなく遍路シールがあった。地図にはもちろん赤線があるけれど、この道を行く人はものすごい少数派だと思われるのに、これだけちゃんと遍路標識、シールがあるというのは本当に意外だった。別格の道にもこれくらいちゃんとあればいいのにと思う。この道を行く人より別格を歩く人の方が遙かに多いはずだ。


 9:56 国道11号
踏切を渡るとすぐ国道に合流する。讃岐相生駅の近くまで、しばらく国道を歩く。


 10:34 引田駅
本当はこの駅で休む予定だったけれど、1kmほど手前に廃業したたこ焼き屋があって、その前にベンチもあったので、そこで休んでしまった。そこまで8kmくらいしか歩いていないのに相当疲れていた。やはり初めての道で、先が読めない、時間が読めない、距離が見えないということで、慣れた道よりかなり神経を使うのかもしれない。平地ばかりなのに6.2kmしか出ていない。


 10:44
コンビニの前に重装備の歩き遍路さんがいる。この道を歩いている人がいるのはすごく意外。ぼくはもう何も買わない。最後まで歩くための水と食料はまだザックの中にある。


 10:58
讃岐相生駅の前を過ぎ、国道を離れる。


 11:09 高徳線
この下をくぐって左に折れると、すぐ山道が始まる。


 11:17
ここまでは幅の広い緩やかな山道、70m登っただけだからほんの序の口。これからが本当の峠道になる。


 11:35
この少し手前で男の歩き遍路さんが立ち止まって眺望を楽しんでいた。白鳥温泉から17km地点。やはり、こちらの道を行く人も確実にいるようだ。県境といってもここが峠ではない、峠はさらに120mも高いところにある。


 11:47 大坂峠
標高380m、ここからは下るばかり。引田駅からの平均時速は4.9km。休憩所があるようだけど、休む場所は決めてある。


 11:53
峠から160mの標高差を一気に下ってきた。距離は500mくらいだから、ものすごい傾斜になっている。県道を横切ってまた目の前の山道に入る。


 11:56
300mで再び県道を横切る。このあとに恐ろしい階段が待っていた。下り道や階段は数え切れないくらい歩いてきたけれど、こんなに危険な下りは初めてといってもいい。写真を撮る余裕など全くない。60°以上の急傾斜、実際はどうか判らないけれど、そんな感じさえした。手すりにつかまりながらそろりそろりと下りていく。


 12:06
標高はまだ100mあるけれど、坂道は終了。ほっと一息つく。


 12:07 高徳線
踏切を渡って右に折れるとしばらくは線路沿いの道を行く。


 12:16 阿波大宮駅
引田駅から8.6kmを102分、平均時速は5.1kmだった。バス停鳴門西まであと8.4km、ほとんど平地だから80分ほどで着けるはずだ。40分は休むことができるけれど、余裕を見て20分の休憩をとる。


 12:47
高徳線の下をくぐる。


 13:02
県道を離れまた高徳線の踏切を渡る。地図を出すことなく迷わず左折する。


 13:03 高松自動車道
この下をくぐったところまでが初めての道、そのあとは何度か歩いたことのある道になる。


 13:06
 昨年と一昨年にお世話になった道しるべが見えた。本当に帰ってきたと実感する。手前の大きな家ではなく奥に小さく見えているのが道しるべ。


 13:18
3番金泉寺の前を通過、いよいよゴールは近い。


 13:36
この裏には板野町と書いてある。28日前写真を撮った。確かにぐるりんと1周してきた。


 13:44
2番極楽寺の前を通過、ここから県道を離れリューネの森という新興住宅地の中を通ってバス停に向かう。リューネの森の地図も頭の中に入っている。最後の最後で道をはずすわけにはいかない。


 13:55 鳴門西
阿波大宮駅から8.4kmを80分、平均時速は6.3kmだった。撮影のロスタイムを引けば6.4kmくらいだろう。ここが旅のゴール、もう歩かなくてもよい。でも、四元さんのように両手を高々と挙げて「ゴ~ル~!」と叫ぶ気には全くなれない、旅が終わったという感じはほとんどない。頭の中は1500枚の写真のことばかりだ。帰ればこの写真に一つ一つコメントを着けてアップしなければならない、2ヶ月以上かかることは明白、別の旅が始まることになる。
 そして、8月11日の今、2ヶ月と20日かかってようやく2009年のブログの旅が終了、本当に旅が終わったという感じがする。昨年まで板東駅や高速のバス停で感じていた脱力感を今やっと味わえている。