四角と三角

夕飯は納豆のち茶漬けという生活を続けて久しいが、そんなお茶漬けの素に
付いてくる『東海道五十三次カード』が知らないうちに結構な数になっていた。
思えば実家にいたころも、いつの間にやら溜まっていたものだと、少々
懐かしい気持ちになるが、キラカードや俗情を刺激するような要素がないため
収集欲がピクリとも反応しないのが泣き所。
集まったカードを眺める度に、東海道の景色ではなく摂取した塩分に思いを
馳せざるを得ないという、むしろ目を逸らしたくなる類の集めものですらある。

話は変わり、最近何かとyoutubeで解説系動画を聴きながら作業をすることが
多くなって来ているが、脳内の浸食率が思いの外高く、日頃他人と会話する
機会がめっきり減ってきていることも手伝って、うっかりあの場で為されて
いるような喋りをかましてしまうのではないかという恐怖に襲われる。
昔から『お前は周りの色に染まり易すぎる（意訳）』と家族から散々に諫言を
受けてきたのだが、四十を過ぎた今でも本質的にはそこまで変わっていないため、
言葉を口にする前に言語チェックを脳内で行うことで何とかそれを凌いでいる
状態。無論処理能力の低い我が脳ではタイムラグの発生は否めず、何とも
歯切れが悪くてかなわない。
頭の中に浮かんだことを、ただひたすらに我儘に、まき散らすことが許される
のであれば、それはさぞかし爽快であろうな、と思う。