信疑

物事は、信じなければ進まない。疑わなければ変わらない。
ふと、そんな気がした。

考えてみると、やはり疑うのは苦手のようだ。さりとて信じ続けるのも
また苦手である。つまり、『信じない』のが得意なのだ。
疑うことと信じないことは、似ているようだが全然違う行動である。

疑うということは、その物事が正しくないという前提で、積極的に調べ
あげ改めていくことであるが、信じないという事は、あらゆる物事に
知らんぷりをするか、それは嘘だろう？と言うようなことである。

疑うことも信じることも、かなりのエネルギーを使うものである。
それを持続させるとなると、並大抵の苦労ではない。
散発的に信じたり疑うことは出来るかも知れないが、持続的というのは
気力がもたない。

冬も夜も明けるが

毎朝決まった時間に乗る、通勤に使っている電車は、冬の盛りになると
陽の光が丁度座っている顔の位置に飛び込んでくる。
電車の進行方向が、日の昇る方角に対して直角であり、冬至に近い冬に限り
通勤時間帯に電車の席に座った状態から、朝の陽を見ることができる（日の
出が特に遅い）ためである。うまく説明ができないが、かように些細な
ことでしか季節を感じられないほど、日々のマンネリが窮まっているという
ことでもある。

ついこの間までは、眩しい思いをしていたが、最近では顔に陽が射すことも
なくなった。寒くなるのはこれからであるが、冬が終わっていくのも
これからである。

今年こそはと思って、毎年買い逃している冬物の上着はいつ買い換えようか。
あまりにも長い間着すぎていて、色褪せが甚だしい。
今年の寒いうちに買い換えねばなるまい。

甘み

先の休日に蜂蜜を購入した。きっかけは、ウェブで適当に辞典をはしご
していた時に、それについての項目を見かけ、まるで神からの贈り物の
ように、“讃える”と言った方が良いくらいの内容で記述がなされており、
いきおい興味がわいたからである。

やはりウェブで最低限の知識を仕入れ、最寄りの百貨店の食品コーナーへ。
今回購入したのは『みかん蜜』という、みかんの花から取った蜂蜜である。
個人的に知っている蜂蜜とは香りがかなり違い、味もいくらか違う。
聞けば、蜂蜜というものは元となる花の種類によって、その風味が大きく
異なる（使用法も異なる）とか何とか。
とは言え、とりあえずは定番とも言うべき、食パンに呆れるほど
塗りたくって食す。余談であるが、パンに蜂蜜を塗って少し染み込んだ
あの感じが個人的にとても好きである。

子供の時にそれをやろうとして怒られた事があるが、値段からすれば
むべなりという話である。（ざっと計算すると、食パン一枚を塗り尽くす
量の蜂蜜は、そのパンの倍以上の値段になる）
しかし今はお金を自由に使える身。
三枚程度の食パンを全て蜂蜜で塗り尽くしても、文句を言うものはない。

調べてみると思いの外用途が広く、普通に舐めても十分で、賞味期限も
非常に長いので、持て余すことは無かろうと思われる。
それどころか、色々な種類を試してみたくなっている。

未だ我が家には砂糖がないのだが、まあ充分であろう。

日月巡る

土曜に暖かいと思っていたら、日曜には寒くなる。
久し振りにゲームをやったら、思いの外疲労が大きく、３時間程度で
力尽きる。
あれやこれやと考え事をしていたら、あっという間に時間が過ぎる。
大阪で猛威をふるっているインフルエンザが怖くて、街に行くことが
できないでいる。

色々なものを置き去りにして、また平日に戻る。
ダメだなあ、ダメだなあと思いつつ、何もできないまま今に至る。

幻想

最近は何だか妙に忙しい。そういう時は食べ物のことを考えると、気が多少
紛れることに気がつく。例えば、休日になったら近所のスーパーで
鯛あらを適当に買って汁やら鍋を作ろうかとか、そう言えば随分と長い
間、ハマグリを食べてなかったので、適当に買って潮汁でも作ろうかとか、
近所の百貨店の食品コーナーで、無駄に高級な蜂蜜でも買ってみようかとか、
そういう類の妄想である。

妄想の常として、考えている時が花というか、そもそも実行しなかったり
という、結局は無情に消費されていく不憫な存在である。

それにしても、ここのところは食べてばかりである。

甘くない夜食

夜中に食べ物が欲しくなる昨今、買い溜めた『神羅万象チョコ』が
丁度小腹を満たすのに役立っているが、いかんせん甘い。

例えばチョコの代わりにチーズ味の何かを用いて、ピザ味としてみたり、
コンソメ味やらしょうゆ味やら、スナック菓子的な、甘くない方面で
展開してはもらえないだろうかと思う。そうすれば、元々濃い味好きの
少年諸君はもとより、その保護者の方々や大きなお友達にも消費しやすく
なり、良い方向に向かうのではなかろうか。
そして、往々にして強くなるにおいを抑えるためにお菓子とカードを
個別包装にすれば、保存もきくようになり、万事解決であろう。

ウエハースに挟むもので、においがきつくなく、甘すぎず、老若男女の
好みの隔たりがなく、可能であればチョコレートに混ぜられるもの、
という条件で懸賞付きのコンテストでも開けば、きっと良いアイデアが
出てくるのではなかろうか。高級食材が唸りをあげそうな気もするが。

そもそもチョコが甘いものだなどと、いったい誰が決めたのか。
砂糖を抜いたチョコにチーズというのは相性が良さそうな予感がする
（においがきついかも知れない）が、試す度胸も料理的な腕もないので、
無責任に言ってみるだけに留まらざるを得ない。

今のところあの甘さを和らげる、有効な手段はブラックコーヒーくらい
である。したがって、夜には使えないのだ。（ふりだしに戻る）

反射

きついものの考え方、つまり選択や思想、行動、価値基準が極端であったり
偏狭であったり、苛烈で融通がきかない性質の人は、往々にして青春時代
までの間に厳しい環境下にあり、厳しい体験をしているように思われる。

ここで言う『厳しい』というのは客観的なものであるが、主観的なものでも
あり、つまりはそれに少なからず本人が苦痛を感じていたということでも
あろう。
思うに、大体の人から人への行動は、他者からもらったものを返している
だけで、苦しみしか与えられていなければ、苦しみを与えることしかできず、
優しさを与えられていたのならば、それを与えることができるというような、
シンプルなものではないか、と。　注目するべきは、是なり非なりの感覚
がそこにほぼ差し挟まれないことであろう。

裏を返せば、良くないことが連鎖を繰り返し、淀み凝ってしまったならば、
元々そこにいた人たちだけでそれを振り払うことが困難ということでもある。
誰か新しい思想を持った人が一石を投じるか、そこにいる人々が外へ
飛び出していくか、そういうことでしか変わる術は無いに等しい。

貰ったものしかあげられない。もちろん一人が持てる量は決まっており、
その際に何を捨てていくのかは個人の判断であろう。
…捨てているものは、間違ってはいないだろうか。　柄にもなくふと思う。

見えない私兵団

最近は詐欺系の迷惑メールも手が込んできて、銀行やゲーム会社などの
名を騙り、あの手この手で個人情報を抜き取りにかかっている。

アダルト系サイトからのメールを騙った手口のものは、携帯電話の方に
毎日飽きるほど届いているので、慣れっこであったが、上記のはPCの方に
一見まともそうな書面で来ていたものだから実際、自分自身も一度
危うく引っかかりそうになった。
その時はセキュリティソフトが反応して事なきを得たが、正直危なかった。
ただ、この手のものには流行があるようで、同じようなものが同じような
タイミングで大挙して押し寄せてくるから、一度気がついてしまえば
それきりで、そのお粗末さにはかなり助けられている。
それ以外にも冷静になってよく見てみると、まともな企業であれば絶対に
やらないような文面であったりもしている。

その昔（20年くらい前）、卒業アルバムをウン万円で売ってくれという
いかにも怪しい業者から電話があり、（無論応じなかったが）後に家族から
住所や電話番号などの情報は一人当たり結構な値段で“取引”されている
という話を聞いたことがある。
このような手口で抜いた個人情報（主に名前、住所、電話番号）は、今も
なおそれを必要とする連中に取引されているのだろうか。昔に比べて格段に
個人情報についてのセキュリティが上がり、また各種個人情報の価値も
上がっているから、単価も相当高騰していそうである。

我々が普段生活している中で、空気のように当たり前で普通、標準、低価値
と感じているようなものでも、とある場所では価値あるものと見做される
ことはよくある事ではあるが、それが悪意を伴って利用されることもまた、
よくある事である。

食い物にされる例としては、個人情報のほか、『若さ』『健康』『安全』
などであろう。どれも全てその中にある状態では気がつきづらく、失えば
取り返すことが困難なものでもある。
言い換えれば、それらを守るために、正しくお金を使うべきである
（＝ケチって信用のないところに任せない）という事でもある。

今回のMVPがPCのセキュリティソフトだったことがその証左と言えよう。

月が瞬くような

ここのところ、近所で家などの建物が取り壊されているのをよく見かける。
少し前まで何かの店だったのが、いつの間にか違う建物の建設中であったり、
更地になっていたり、駐車場になっていたりする。

個人的な時間の感覚がおかしくなっているのか、たまたま何かの節目に
当たる時期なのか、おかしな風が吹き荒れているのか、本当のところは
よく分からない。

考えてみると、普段一番目にしている我が家の中に、恐ろしい程動きがない。
少し前にそこに置いておいたつもりのものが、5～6年を経てそのままに
なっているようなことがごく当たり前に見られる。色々な意味で止まった
時間の中に生きていると言ってしまっても、差し支えのない環境である。

駄目なことではあるが、思えば昔から、こういった時間の止まったような
中にいることを、とても心地よく感じる性分であった。
やはり時間の感覚がおかしくなっているのかも知れぬ。

続くもの巡るもの

『神羅万象チョコ』の季節である。次弾でどうやら10年目のようで、
時の流れの速さを痛感するのは、人間的に本質と言える部分が何も変わって
いないからであろう。ともあれ、我々の世代が熱狂した『ビックリマン』が
6～7年程度、学生時代に買っていた『ビックリマン2000』が４年程度で
終息（厳密には色々正確とは言えないが）していたことを考えると、かなり
の長寿である。

前置きが長くなったが、今回はそれとあまり関係のない『運』の話である。
世の中には様々な運があり、人それぞれに基本値のようなものが決まって
いると考えるが、己自身、そのうちの『くじ運』がどうも低いようで、
この手のおまけ付きアイテムは非常に苦手である。
特に現シリーズでも相当数買っているものの、大当たり的なカードは
一枚も手に入っていない。

このくじ運というものは、そもそも一体何なのか、まずそれが分からない。
自分自身の意に反するものを選ぶ・己の意志が介入しない方法で選ぶ・
ジンクスやまじないのようなものに頼る・くじ運の良い人に代行を依頼する
…対処法はざっと考えてみた限りこれくらいであるが、この内僅かでも
効果があったと言えたのは、経験上最後の他力本願のみである。

つまりさしずめ『くじ不運』というべき状況は、人が行動を起こさんと
する、その行動の根っこの部分から既に影響を与えていると言え、笑って
しまうくらいにどうしようもなくどうしようもない。
なればこそ、柄にもなくここまで大真面目にオカルトの話をするわけでも
あるが。

最近ではむしろくじ不運があるおかげで、その他の運に多少は恵まれて
いるのだと思うようにしている。このくじ不運も言うほど強烈なものでは
ないし、致命的な何かをもたらすことも、普通に生活していれば、
そうそうないはずだからである。総合的に見れば、多分かなり幸運と
言える方なのだろうと思う。

とは言え、とりあえずギャンブルはやらない。