蕎麦喰らいの日記

蕎麦の食べ歩き、してます。ついでに、日本庭園なども見ます。風流なのが大好きです。

森六  今立町

2008-05-20 21:20:16 | 蕎麦
今立は和紙の里だという。この町までは、武生からも登り下りなしで行けるのだが、ここから先の池田町へは峠越えをしなければ行きつけない。盆地の一番端の、背後に山を背負ったような地形である。その分、水は良いだろう。
休みの日の午後遅くに訪れたのだが、町はひっそりと、小雨の中を佇んでいた。しかし、その地味さの割に食べ物屋さんが多いような印象だ。


そんな静かな町に溶け込むように、全国的に名を知られたお店が、ひっそりと建っている。たまたま、ほとんど同時にお店に入った方々がおられたが、その他にお客はなし。奥の座敷を占有することができた。奥の庭を眺めていると気分が和む。またもや、おろしそばを注文した。


この蕎麦には本当に華がある。太めの、蕎麦の香る、しかし喉越しの実によい蕎麦。綺麗にセットされて出てきたが、まずは側面から箸を入れて、蕎麦だけを味わってみる。これは、いい。なんとも力のある蕎麦だ。
それから、おろし、出汁、削り節、薬味のハーモニーを味わう。これ程に有名なのに、福井の田舎の味をそっくり残している感じだ。有名なだけに混雑することもあるのだろうが、味には全くそういう事情は響いていないようだ。これは、なかなかできる事ではないだろう。


ごちそうさまでした。

肉ヤサイ炒め

2008-05-19 23:47:55 | 男の料理
豚小間は、油通しして別皿に上げます。
タマネギは薄切り、ニラは5-6センチに切り、モヤシは洗っておきます。


油通しした後は、油の量を調整します。
鍋を中火にかけ、タマネギ、ニラを炒めて香りを出します。そこへモヤシを入れ、一気に強火で炒め、出来上がり直前に肉を戻しいれ、塩、醤油で味を付けます。

できれば、炊き立ての御飯に合わせます。それが、凄く美味しいのですよ。

青岸寺  米原市

2008-05-19 23:28:57 | 神社仏閣
米原は琵琶湖東岸の交通の要所として、今日でもそれなりの賑わいを見せているようだ。そんな米原をバイパスのように抜ける国道8号線を、さらに湖とは反対側へとたった数百メートル来るだけで、信じられないような長閑で静かな田舎町が広がっていた。青岸寺は、その集落のさらに奥にひっそりとたたずんでいた。




この寺の建立は少なくとも南北朝に遡るようなのだが、庭園は江戸初期の作庭のようだ。仏教の理念を表す三尊石を要として、寺の裏手に積み上げるようにして、石を主にした庭園が広がる。


枯山水の庭では、石組みの底の苔は大海に見立てられる。それも、中国的思想と結びついた蓬莱山をいだく西の方の神秘の海である。


この庭のわずか一つの石でも、大変な判断と、それに基づく人の手を煩わせて成り立つものなのだろう。


苔庭の三尺にも満たない石が、大海を望む巨石に見えてくる。


大海の中程の中ノ島。先ほどは巨石と見えた石も、蓮の華に座する仏のごとき中心となる石には、一目も、二目も置くように見える。


庭の周辺部分だが、勝手な想像だが、この辺りが一番古い石組みが残されているのではないだろうか。

そば処 たかせや  武生

2008-05-18 22:35:18 | 蕎麦
このお店も、武生の老舗だそうだ。何しろ、創業明治30年。しかも、お店のある場所は、江戸初期の本多富正以来の、本多家の屋敷の有った場所だそうだ。


武生の街割りは江戸以来あまり変わっていないらしい。お店は、役所から程近い一等地にある。それでも、専用の駐車場が用意されている。


おろしそばを注文したら、直ぐに厨房からミキサーで大根をおろす音が聞こえてきた。おろしたての辛味が味わえるようだ。期待が膨らむ。
程なく、おそばが出てきた。こちらは厚削りの鰹節は出汁の一員となり、そばはそれだけの姿で供される。ガイドブックには、幅は普通と有ったが、お江戸では考えられない太打ち。それを、きっちり茹で上げて、しなやかな口ざわりに、嬉しい蕎麦の香りが両立する。どうやらお江戸で流行っている細打ちなどよりも、余程ありがたい蕎麦だ。


やはり、水を切った後でも、つやつやした感じがないと、蕎麦として寂しい。


もりのスタイルで、出汁につけて食べ始めたのだが、途中からぶっかけになってしまった。これがまた、なんとも良いのだ。

寿司・割烹たなか  長岡市

2008-05-17 18:15:12 | 寿司
長岡は海からたいして離れていないし、江戸の昔から料理本を出したりしている街なので、そこで夕食となると期待が高まってくる。ところが、休日のためビジネス客相手のお店は軒並みシャッターが降りていた。かろうじて、駅近くに灯りの点いているお店をみつけた。そして、そのお店がそれなりに名のあるお店であることが(ガイドブックにより)すぐに判明した。


にぎりは1500円か、2500円。この先、何十キロも運転しなければならないので、本当はその中間の設定が欲しかったのだが、思い切って高いほうを選んだ。


日本海沿いの都市に、江戸の街を起源とする握り寿司が伝わったのは、それ程古いことではないだろう。しかし、見事に吸収され、江戸を凌ぐようなお店が見られる。この、豪快とも言えるたっぷりとしたタネの切り方は、お江戸ではまず見られないと思う。






鮪は上等。白身は地物で最高。ホタテもいい仕事。雲丹やイクラは、もう泣かせてくれる。巻物の海苔も良し。玉子焼きは、不思議に奥深い味がした。
地魚にこだわりすぎず、しかしポイントははずさず、という感じか。
やはり、こういうお店ではお酒を一緒に味わいたい。次ぎは、電車で行きたい所である。


旧伊藤家(北方文化博物館)  新潟市沢海

2008-05-15 22:14:49 | 古民家、庭園
伊藤家は18世紀半ばより豪農およびその副業により財産を築きあげた。地主としてのピークは昭和初期らしく、敗戦後の農地解放時にも、その屋敷や庭はよく手入れされていたようだ。
なにしろ8800坪の敷地に、8年がかりで建てられた1200坪の屋敷である。


屋敷は、基本的には茶の間や台所がある住居部分の建物と、広間のある儀式用の建物を廊下でつなぐロの字型の構成になっている(寝室部分がまた別にあるようだが、単純化するとこうなる)。写真は、広間から中庭をはさんで住居部分を見渡したところ。この日は素晴らしい天気で、広間の障子はせいせいと開け放たれていた。


居住部分の二階から中庭を見れば、こんな感じである。




居住部分の一階から、広間ごしに奥の庭を見通すことも出来る。




広間の奥の庭は、回遊式庭園になっている。作庭は田中泰阿弥。柏崎出身で確か銀閣寺の石庭を復元した庭師だ。庭を見たとたんに、これはただものではないと感じた。


庭園内には、茶室が5つもあるという。回遊式庭園なので、それぞれの茶席やその近くからの眺めはまた、流石のものがあるのだろう。






しかし、広間やその縁側から眺めるだけでも、実に深い味わいを感じさせる庭である。




開け放った広間にいると、あまりに風が心地よく、目は庭の方を向いてしまうが、広間の床の間も、実に繊細で贅沢な造りだ。




広間の床の間の裏手、さらに奥に、次の間と奥の間があるのだが、その雰囲気が絶品なのである。欄間の細工した障子なども(解像度のせいで)壊れているようにも見えてしまうが、いや最高に贅沢なのだ。




床の間の小窓を開ければ、中庭が見えるのだが、先ほどとはうって変わって制限されたゆえの繊細な世界を見せる。
縁側から見渡す庭も、大広間の前の姿とは変わり、小ぶりで馴染みやすい。




そして、広間の前で使われたモチーフの、小規模な繰り返しが見られる。

武生  清雲堂

2008-05-14 22:26:36 | 蕎麦
武生は江戸初期の本多富正や、金子権左ヱ門の言い伝えもあるように、蕎麦との結びつきの深い街のようだ。私が福井の蕎麦の手引書とする「萬福 そば天国 ふくい」を見ても、街の中心部でも伝統のある蕎麦屋さんが、活き活きと営業されているようだ。


こちらは、旧武生市役所からすぐのお店。駅からも、ごく近い。お店の歴史は150年になるという。


お店に上がると、それなりに気迫あるご主人が注文を聞いてくれる。おろしそばを注文すると、低い声で誰にともなく「おろしそばね」と復唱された。
ごく短い時間待つと、調理場からミキサーの唸る音が聞こえてくる。これは、絞りたてのおろしに出会えそう、と期待するうちに、ささっと蕎麦が運ばれてくる。おお、確かにおろしは泡立ち、相当に辛味がきいていそうだ。鰹節の削り方も、豪勢だ。
まずは、蕎麦をもりのように、汁につけて食べてみる。おろしの辛み、出汁の風味、鰹節の旨み、蕎麦の口ざわり、どれも裏切らない。やはり越前おろしそばそのものだ。


ちょっと平打ちで、しなやかさのある蕎麦。また、これを迎える出汁が、まるで嫌味のない素直な味。
越前そばの本物に出会ったのはじつに去年だが、それ以来この味が忘れられない。

旧笹川家  旧味方村

2008-05-13 21:54:58 | 古民家、庭園
笹川家は日本でも有数の豪農で、大庄屋。地主規模としては明治中頃にピークを迎えたようだ。


ただし、建物は明治以前。19世紀初頭(文化文政年代)のものらしい。茅葺の門の向こうに、厳しい賓客用の玄関が見える。


多くの大庄屋の屋敷と同様に、身分に応じて3つの玄関を使い分けた。


役人等専用の、賓客用玄関。鯖江藩主も、この玄関を使ったのだろう。


中程度の身分の者用の寄り付きから、広間を見通す。


そこから上がれば、次の間に向けて、こんなに奥深い。


こちらが、最も格の高い上段の間。


次の間から、上段の間へと続く縁側。積雪量はそれ程ではないのだろうが、雪国らしく庇が深い。柱や桁の材も一流だ。


上段の間から庭の一部を眺める。昔は、おそらく庭の規模は遥かに大きく、壮大だったのだろう。


上段の間前の縁側から、次の間方向をみる。こうしてみると、屋根裏がなかなか綺麗で、庇を支える柱は以外に細くて女性的な印象を受ける。




池のほとりより。この庭は樹が茂りすぎの感じがするが。


おつまみ二品

2008-05-12 23:12:32 | おつまみ
手の甲を刺すような新鮮なキュウリが手に入りました。
まずは、ささっと薄切りにします。


そして、醤油をふり、きっちり和えます。


キュウリに味がまわってから、削りたての鰹節を振り掛け出来上がり。


浅葱は薄皮を剥きます。葉ネギは薄切りにします。
味噌を、盛ります。
ちょっとした辛味がアクセント。
今回は、火を使いませんでしたね。

ブラ・ド・メール  敦賀市

2008-05-11 18:36:41 | 洋食
鯖江のつつじ祭りで大活躍されたたつやさんに「福井でお奨めのお店はどこですか?」と聞いたら、ブラ・ド・メールへ連れて行ってもらえる事になった。これは、大変に楽しみだ。なにしろ、たつやさんの蕎麦会で、スモークサーモンを食べさせていただき、その味がどんなに凄いかは、既に体験しているのだ。


まずは、前菜から。スモークサーモン2種に、牛肉のカルパッチョ、ラタテュイユ、イカのヴェルデ・ソース、そして旬の葉物。これを、スパークリング・ワインでゆっくりといただいた。


スモークサーモンは、短時間で仕上げたもの(向かって左)と、1ヶ月もかけて熟成させたものの2種類。短時間で仕上げた方も、非常によく脂がのっており、実に素晴らしいのだが、熟成させた方の噛み締めるほどに、味が出てくる感じの深さに出会ってしまうと、若干影が薄くなる。ちょうど、フレッシュで柔らかめのチーズと、固くて塾生させたチーズの関係のようだと思った。つまり、片方だけではつまらないので、両方あることに真の意味が出てくるのだ。


この肉質は最高で、おそらく箸で簡単に千切ることができるだろう。まさしく、大トロの食べ応え。にぎり寿司にしても、さぞや旨いだろう。また、脂が強いので、この程度の量にしておくところが、ブラ・ド・メールさんの賢いところか。
となりのラタテュイユは、写真がボケてしまった。


ジャガイモかなにかのように見えるが、イカです。それにジェネヴェーズ・ソースがかかっている。イカは、充分に柔らかくグリーンの香りが高いソースと良く合う。


ブラ・ド・メールのオリジナル、奥井海生堂の昆布を使ったコンソメ。深い奥行きのある味でありながら、主張しすぎない。大事に大事に、最後の一滴まで飲みつくしたくなる。


本日のメインは甘鯛。日本海の魚をたっぷり味わってもらいたい、というたつやさんの心づくしの選択らしい。手前は、岩牡蠣。鯛の奥にはガサエビ(確かそう呼んでいたと思う)が、ソースのアクセントとして、加わる。


岩牡蠣は大振りで、味がしっかりとしている。甘鯛だけでは単調になりがちな皿に、うまく添えられている感じだ。


ガサエビは、姿があまり良くなく地元でしか手に入らないらしいが、味は最高だ。実に甘味が深い。これを少量甘鯛にのせれば、実に良いアクセントになる。


甘鯛はさっと焼き上げてあり、ホコッとした仕上がりだ。しかし、甘鯛の上にのるのは、アスパラだけではない。


鯛のうろこを、松ボックリのようにまとめてカリカリに揚げたのだ。なんとも、心憎い演出だろう。
これらの役者をソースが上手くまとめて、調和した世界を作っている。これには、フランスものの白を合わせるしかない。


メインを食べ終えても、もう少し入るな、という腹具合だったので、ゴルゴンゾーラ和えのスパゲッティをお願いした。ついでに、グラスで赤も。いやー、もう最高。


デザート3品も、上品な味わい。


本当に、ご馳走様でした。