蕎麦喰らいの日記

蕎麦の食べ歩き、してます。ついでに、日本庭園なども見ます。風流なのが大好きです。

保よし  越後湯沢

2014-01-30 23:57:41 | 日本料理
湯沢の西口温泉街は、スキー帰りの客が一番の対象なので居酒屋スタイルのお店が多い。
爽快に運動した後の酒は旨い。それで、混み合うのは仕方がないことだろう。


しかし、つまみ中心の居酒屋スタイルではなく、ご飯もつく定食スタイルも実は要望が多い。


スキーをファミリーでやるとなると、空腹の子供たちを御父さんのお酒に付き合わせるわけにもいかない。


日本海で獲れた魚介の味わいは深いが、それだけを売りにする訳にいかない。


茸や野菜の旨い土地柄。それをじっくり楽しみますか。


真壁の街並み(4)

2014-01-29 19:32:14 | 古民家、庭園
筑波山の北側に位置する真壁の街は、この周辺ではもっとも多くの歴史的建造物が残されている。


国の文化財への登録も順調に進められていたが、この辺りは近年かなり厳しい自然災害に合い、歴史的建造物にもそれなりの被害が出たようだ。
メインストリートに面した建造物も、軒並み修理のためのビニールシートがかぶせられていた。


運よく災害を免れ、よい状態で残されている建造物も多数ある。
今は旅館となっている伊勢屋さんは、明治以前は伊州屋という料亭であったそうだ。




メインストリートの角に立つ潮田家。
押し出しも立派だが、内側にサッシが設置されたとはいえ、格子戸が現役で使われているのもなかなか興味深い。


薬医門がある猪瀬家。
門構も素晴らしいが、敷地の中に見事に刈りこまれた庭木がいくつも見える。
もしかすると江戸期からの庭を受け継いで保存されているのでは、などと想像を逞しくしてしまう。


はしもと  墨田区向島

2014-01-27 22:53:31 | 日本料理
スカイツリーで賑わう押上駅から隅田川方向へ歩いて約10分。


戦前までは花街として流行った土地だったのだろうが、今では駅からの通りでさえも人通りも多くはない。
もう少しで隅田川という所で横丁に入って三軒目くらいにある。


にこごりの味が深い。お腹が空いていて、自分にせかされる感じになるが、ぐっとこらえてこれで冷酒からゆっくりと始めるのがいい。




刺しは、薄く引くのがこのお店の流儀。お皿の模様が綺麗に透けて見え、姿としても美しいし、食べやすい。
こちらのお店では、天然物を大事にしている。
蟹や伊勢海老、そして貝類のように押しの強い味のポイントを持つ訳ではない河豚なのだが、そのなかで味わいのよいものと、何か抜けてしまった感じのものの差ははっきりしている。このお店は、写真を見直すと、また無性に食べに行きたくなる。


唐揚げ。熱々の所をささっと塩で。骨の近くの肉は旨い。
この辺りから、少しひねった酒も呑んでみたくなるのは人情だろう。


白子焼き。トロトロのまったりした味わい。
これは、さましてはならないが、酒をゆっくり味わいたい。贅沢な悩みであった。


この後、ちり鍋と雑炊で実に満足であった。


ご馳走様でした。



北条の街並み  茨城県つくば市

2014-01-24 19:50:52 | 古民家、庭園
筑波山は関東の中で信仰を集めた山である。
筑波山周辺は、歴史的街並みが多数みられる。


北条は筑波山の南に位置し、筑波山への参道の出発点にあたる。
参道は日本の道百選に選ばれ、出発点にあたる曲がり角の道しるべはよく手入れされている。
斜め右方向に見えるのは、江戸末期に建てられた宮本家住宅のようだ。




かなり特別な祝日に訪れたので雨戸をぴったりと閉ざしていたが、このような木造の町屋風の建物もみられる。
この集落の建築スタイルは様々であると感じた。


数段の石段を登るいかめしい門構の住宅。
奥行きもありそうな感じで、それなりに栄えた農家だったのではないかと推察する。


松よし 鴨汁そば  南魚沼市大崎集落

2014-01-22 22:33:56 | 蕎麦
この店は蕎麦も、料理も旨い。海鮮丼の魚の鮮度は驚くべきだし、ちょっとした煮物の味付けも実に上手である。


煮干しの天麩羅の味の軽妙なこと。
おそらく、出汁をとった煮干しなのだろうが、おつまみとして口当たりはよいし、味が濃厚過ぎないところが却って好ましく感じられる。


こちらのお店の魅力には抗しがたく、今までに何度となく通っている。
ほとんど毎回のように蕎麦と天麩羅の組み合わせを頼んだので、目先を変えて鴨汁そばを注文した。


冬の走りの頃で、蕎麦はきゅうっと締まっていた。それを脂たっぷりの熱々の鴨汁につけると蕎麦の香りがさっと開く。
実によい具合の蕎麦を、江戸流に甘みが濃過ぎないきりっとしまった汁でいただくのが王道だろう。しかし、時々は少し変化もつけてみたいという贅沢な動機から注文した。


これは鴨汁とよく似た姿をしているが、大崎集落の名物のけんちん汁。
この日、魚沼一帯は、みぞれになりそうな水分の多い雪と、立ち込めるガスに見舞われてゲレンデコンディションは良いとは言えなかった。
それなら、あえて松よしの料理を楽しむために時間を費やす、というのも悪くは無い選択であったと思う。


水海道の街並  茨城県

2014-01-20 22:24:27 | 古民家、庭園
水海道は水運で栄えた街だという。しかし、それを納得させるような街の姿は、今日では残されていない感じである。
ピンポイントで昔の建物に目を向けるのが、今の街の様子ではせいぜいのところだろう。




明治の昔から銀行はモニュメンタルな建物を造りたがる気風があった。
資金も潤沢に投入でき、堅牢な建物ができ上がる。
建物の強度に関しては、全く問題ないように感じられる。




それに較べ、町屋の造りの商店は、木造でも、レンガ造りでもそれ程の強度はなさそうである。しかし、町屋の奥の座敷は土地の気候などへの配慮もよくなされていて、石造りの銀行よりもはるかに居心地はよかったのだろうと想像する。




水海道の街にはそれなりに古い街並みも見られたが、私として最もワクワクしたのは駅前へいたる緩やかなカーブを描く道である。
未だに火の見櫓が現役なのもよい。

しかし、この緩やかなカーブ、不思議な魅力を感じた。
ヴェネツィアの石畳の道でこのようなカーブがあったら、これはかつては運河であり18世紀頃に埋め立てられたのだろうと推察がつく。
この街の場合はどうなのだろうか。


食彩工房 そばの華  南魚沼市

2014-01-18 18:08:47 | 蕎麦
月に数回、演奏会付きコースがあったり、魚沼のへぎそば屋さんに収まらない広がりを見せるお店である。




お店のムード造りは、蕎麦屋さんにはめずらしく徹底して女性客をターゲットとしている。


蕎麦は、まず水蕎麦から始まる。これには非常によい印象を受けた。


しかし、その後の皿に盛られた蕎麦にはいささかがっかりした。
なにしろ、蕎麦の盛り方が粋でない。また、汁がかなり甘味が強く、私の好みではなかった。


しかし、蕎麦がきの揚げ出しは実に美味しかった。味付けも確かだし、外側がカリッと揚がり、口ざわりもよかった。


デザートは思わず唸る出来栄え。さすが女性客をターゲットとするだけある。
ご主人はこの土地の出身で、ホテルなどで料理の修業をされた方だそうだ。還暦を過ぎてこの土地に戻り、近くの八色で採れる蕎麦を使った蕎麦屋産を始められた。
蕎麦については、この土地の人は一言ある方が多く、そういう意見を取り入れないとお店は成り立たないのかもしれない。本来はとても自由な発想を持つご主人の蕎麦打ちに対し、それが少しあしかせになっているような感じを受けた。

松永記念館 紅葉の頃  小田原市

2014-01-16 23:26:17 | 古民家、庭園
松永安左ヱ門は戦前・戦後を通して電力王と呼ばれた実業家である。小田原の自宅と敷地内の展示施設が松永記念館として運営されている。


前回こちらを訪れた時に庭や茶室の佇まいに深い印象を受けた。それと同時に、こちらの紅葉は12月に入ってからが見頃であると言われたことは、ずっと記憶に留まっていた。今回、幸運にもその時期に訪問することができた。


記念館の敷地に入り、池を過ぎて石段を登れば松永安左ヱ門の自宅である老欅荘がみえてくる。紅葉が寄り添うような姿である。


畳敷きの廊下が回る広間(写真に見られる畳敷きは廊下部分)から庭の紅葉を眺める。土塀が相当に茶味のかかった味を出しているが、廊下の外の引き戸は木造フレームのガラス戸。電力で財をなした実業家だけあって、暖房効率とか断熱という事を和風建築でも考え出したのだろうか。


玄関脇の窓。窓の右上に少しだけ見える廂は、玄関脇の10畳、夫人の居間の屋根のものだと思われる。


一番奥の三畳。見事な紅葉が視界に入る。


三畳の茶室には八畳の茶室と広間が隣接し、少し複雑な空間関係を見せる。


十分に充実した想いで老欅を後にした。


昭庵  神奈川県大磯町

2014-01-14 22:35:07 | 蕎麦
昼時を少し過ぎてしまってからの入店となり蕎麦が残っているか心配だったが、幸運にも粗挽き十割があった。


それをおろしで注文した。海苔は、汁というかおろしの上にかけられて出てくる。
海苔の香りが強すぎる思えば、蕎麦前を食べるように海苔だけさっさと食べられるように作られているようだ。




こちらの蕎麦は、蕎麦の香りを強く感じさせる太さといい、固さ加減といい、なんだか実に全体の具合がよい。
実に充実した気分で十割を味わえる。
お江戸の盛り場などに多い細打ちの十割に較べたら、はるかに確実に蕎麦自体の味わいを楽しむことができる。蕎麦にはこれくらいの強さが欲しいと考えるのは、私一人ではないだろう。


比較的地味な造りのおみせではあるが、こういう力強い十割を好む方にはぜひお薦めしたい。
ご馳走様でした。


湘碧山房  湯河原町吉浜

2014-01-13 22:29:13 | 古民家、庭園
数々の家を移り住んだ谷崎潤一郎が最後に住んだ家である。この家は一から新築されたのだが、谷崎は移り住んで一年で亡くなってしまう。


現在はある企業の保養所として利用されており、完全に私物である。
公開されている観光施設ではないので湯河原市の観光課へ問い合わせても、当然ながらあまり教えてはもらえない。
たまたま訪れる数日前に電話を入れて、ともかく庭の中に立ち入ることをお許しいただけた。




山房の庭から、海が見渡せる。
谷崎の書斎は、右手奥の見渡しのよい部屋であったそうだ。
湘碧山房の名は「台所太平記」の中で、後の雪後庵を呼ぶのにも使われており、京都の泉水を引き入れた庭をもたない伊豆の家を呼ぶのに、この家が建てられる前々から使われていたのであろう。


涸れ池や庭木が、谷崎存命当時の姿を留めるのかは分からない。




管理人はとても親切な方で、わざわざ谷崎の書斎の障子を開けて下さった。
書斎の前の芝の斜面や灌木は、昔の姿を伝えるような気がする。