蕎麦喰らいの日記

蕎麦の食べ歩き、してます。ついでに、日本庭園なども見ます。風流なのが大好きです。

たかさご  きのこせいろ

2013-10-31 23:18:22 | 蕎麦
ぶらりとお昼に入ったら、季節限定のメニューのきのこせいろがあった。もちろん、それを注文した。


きのこせいろは、鴨汁せいろのように暖かい汁に冷たい蕎麦の組み合わせ。
様々な種類のきのこから出る出汁がよい味を出している。汁は熱々。


一方、蕎麦は熱々の汁につける事を計算して、普通のせいろよりは冷たい水で締められた感じがした。
これを熱々の汁につけるとパッと蕎麦の香りが開く。


香りの高いきのこを活かした付け汁。
これで1000円は、相当にお得だと思う。


海里  佐久市

2013-10-29 22:55:56 | 日本料理
関東平野だけの事情かもしれないが、高速道路の渋滞は不思議な事に山間部ではまず見られない。例外として、エコカーが増えて、平野に出る直前の場所でも渋滞は発生するようになったが。
そのような山間部よりも、走りやすい関東平野に入ってしばらくすると何十キロもの渋滞が毎週のように発生している。


渋滞への対応の一番は時間帯をずらすことである。私の経験では渋滞は17時がピークになることが多い。翌日の出勤を考えてギリギリまで遊ぶと、17時には家路につきたくなるのは人情だろう。しかし、その時間に渋滞の列に並んでも家に到着する時刻はたいして早くはならない。
海里さんは佐久インターに近くにあり、スマホで渋滞状況を見ながらゆっくりとするのには、うってつけのお店である。
高速道路沿いの地の利を活かし、あんきもの鮮度もなかなかのものである。


続いて、松茸の天麩羅。こちらはいかにも信州の秋らしい一皿である。
丁寧に天汁も付いていたが、ほとんどを塩でいただいた。


この日の渋滞は相当に悪性で、二皿をゆっくりいただいても殆ど渋滞マップに変化がない。
そこで、信州らしい馬刺しの登場。肉の質も悪くないが、結構量もあった。この一皿にはお店の本気度が高く感じられた。


締めは鯛茶漬けとした。鮮度は悪くない。なにしろ直江津の湊からここまで、2時間はかからない。

この日、このお店でゆっくりしたので、高速道路上での渋滞は20分程度。
意外なほどに早く、東京に帰りついた。


天真寺  黒部市

2013-10-28 23:54:23 | 古民家、庭園
この庭はそもそもは、明治20年代に豪農の別荘として造られた。それを昭和の始め以来、曹洞宗の尼寺として使っている訳だが、庭のスタイルはまったく寺院風ではない。


到着したのは午後の3時頃。確かに日は傾きかけていたが、明るさはそれなりに十分だった。
門から庭の中心への敷石は、あまり時代を感じさせないが、その露地を歩むと両側に興味ある庭園の装置が見られる。


この庭の一番の呼び物である流れが枯れてしまい、池の姿もいささか残念。


松桜閣への飛び石も、基礎の構造まで含めて知ることができる。


ここは、藤棚が花で一杯になる時期に訪れるのがよさそうだ。




吉祥亭  直江津

2013-10-26 23:53:57 | 寿司
直江津の湊から直ぐの場所にあるお寿司屋さんである。家族経営の小さなお店で、開店直後に入店しないと、断られる可能性がかなり高いお店のようだ。

この日はお酒が飲める環境だったので、まずは生ビール。
つきだしはバイ貝。


お酒に移行し、つまみに〆鯖を注文した。これが、脂がのっていて素晴らしい。


白身の地魚のにぎり。シャリはこぶりでとお願いした。
まずは、ヒラメにメバル、そしてかんぱち。
どれも、味がのっている。


続いてレンコダイ、すずき、アラ。
レンコダイはよそで食べたときは、もっと面白みのない魚かとおもったが、こちらのは凄い。


バイ貝に、南蛮エビに、赤イカ。
白身のなかによいアクセントになる。


そして、ホウボウにまつがれい。
どちらにも、花があった。


あまりにも全てが素晴らしかったので、最後に鉄火巻きを一本。赤身マグロもいいものを使っている。
ここでも、このお店の良さが濃厚に感じられる。


ご馳走様でした。

菊亭  丸の内

2013-10-24 22:48:08 | 日本料理
雨脚が激しく、ごく短い距離を歩くだけでズボンの裾が濡れてくる。それを歩き続ければ、ズボン全体にしみて重くなってくる。
そんな日の遅めの昼食には、ちょっと力を付けるものが必要だ。


菊亭さんはそれなりの格のあるお店だが、TOKIAビルではとても気楽に入れるお店である。
単品で粋な天麩羅を注文するのも実によいのだが、この日はちょっとした疲労感があり、丼ものの充実感の方を選択した。


海老にハゼ、かき揚げに野菜二種が載る天重は、1,000円。
上天重やかき揚げ重もあるのだが、老舗にしては実にサービスがよく、お腹がパンパンになってしまいそうでこの日は敬遠した。


手前にあるピーマンとカボチャが強調されているが、左手奥の小海老のかき揚げが喜ばしい程の量がある。


ご馳走様でした。


丸昌  赤沢

2013-10-23 22:20:44 | 日本料理
午前の後半、伊豆高原で軽い運動をする。この季節としては例外的に日差しが厳しく、ごく軽く身体を動かす程度にした。それでも、十分な汗をかき、温泉につかりさっぱりとする。


その後、車で十数分の丸昌さんを訪ねる。
こちらは赤沢湾の磯場に魚を育てる店。予約も何もしなくても、途方もない鮮度のお造りが出てくる。


この伊勢エビの生き造りのめでたさよ。
ともかく、これは本気で旨い。


ヒラメの味も濃い。この鮮度で出てきたら、普通は大注目なのだが、伊勢エビの力にいささか押されぎみな印象がある。
本当に人間の舌の薄情なことよ。


地物のアジは、伊勢エビを相手にしても、意外なまでに健闘した。
その味の説得力は、実にたいしたものだと思う。




サザエにアワビ。
やはり貝類の味は深い。味のかたまりという感じがする。このお店ではそれを、割と気楽に食べられる。


〆は海老から出る出汁を使ったお味噌汁。この一杯のために、さらにお酒を注文してしまった。


このお店、最初に訪れたのは50年位前の事。この世界には、これ程までも旨いものがあるのだというのが、その時に受けた印象。それ以来、グルメ魂が深くしみ込んだような気がする。
再訪するには二十年以上を要したが、お店の味のキレから感じるものは、まったく変わらない。



三養荘  伊豆長岡

2013-10-21 22:22:19 | 古民家、庭園
敷地は三千坪。
岩崎家の別荘として、昭和4年に建築された。


作庭は小川治兵衛。湧き水の豊かな敷地での作庭は、十分な手ごたえがあったのではないかと想像する。


こちらは、昭和22年から旅館として営業している。
午後遅くに到着すれば、次第に陽は西に傾き、木々が池の面にも影を落とす。
時間との戦いで、ひやひやしながらの撮影だったが、その後の湯船などで、この宿の心地よさをゆっくり味わうことができた。




宿泊した初音は、村野藤吾晩年の建築。
昭和63年の作だが、建具などに使われている材が実に良質で、建物の格は旧館にまったく見劣りなどしない。




翌日も、朝から空は晴れ渡る。
あまりにも差し込む陽の光が鮮やかで、庭の中心となる池の周囲などの撮影は難しかった。


東屋からながめるくらいが、調度よかった。


江戸変わりそば 飯嶋  三島市

2013-10-19 22:05:38 | 蕎麦
小松宮親王の別邸であった楽寿園の南出口の隣りにあるお店である。


園内の池は水が枯れて、底が見えてしまっているのだが、このお店の近くには見事な流れが見られる。
この水はなかなかのものと、お見受けした。


このお店では常時、5種類の蕎麦が用意されている。
基本となる更科。
更科に、ちょっと変わった味を打ち込む変わり蕎麦が2種類。
そして、二八に田舎である。
こちらのお店の三色は、5種類の中から好みの3種の蕎麦を指定できる贅沢なもの。


御主人が最も力を入れていると推察される更科を入れるべきだったのかもしれないが、そこはあえて黒ゴマ切りの変わりそばとした。
後の2種は、二八に田舎。かなり保守的な選択にも見えるかもしれないが、やはり二八も、田舎も外すわけにはいかないだろう。
とても繊細な味わいを目指している感じで、和菓子の老舗の店先で、お菓子と抹茶をいただいているような印象であった。
きちんと出汁が効いているが、あくまでも行儀のよい汁と合わせると、粉を打ち込む丁寧な仕事の輪郭が見えやすくなるような気がした。


ご馳走様でした。


楽寿園  三島市

2013-10-18 23:08:07 | 古民家、庭園
楽寿園は小松宮親王の別邸として明治23年に造営された。
富士山麓からの湧水が豊かな三島の街に、大掛かりな池を中心とした庭を作庭した。


訪れた日は池が干上がっていた。この日に限らず、三島の水は近年乏しくなったようで、池が満水になった姿は見た事がない。
それでも、手入れをよくされた庭は、本当に見ごたえがある。


本来なら、広い池を背景にした見事な枝ぶりの展開が見られるところである。
池の中島の一番のスポットと思われる所を選んだつもりなのだが・・・

格式も高く、十分な手入れもなされている庭ではあるのだが、不完全燃焼感を感じてしまうのは昔から変わらない。いささか、残念な庭ではある。


ヒレカツ カレー  軽井沢町シャレー

2013-10-15 21:20:06 | 洋食
もりそばのような脂抜きの食事が続いたり、心地よい程度の肉体的疲労(だいたい、軽い運動程度)の後に、猛烈にカツカレーが食べたくなることがある。しかし、こちらはそれなりの年齢に達していて、カツの揚げ切りが悪かったり、それ以前に揚げ油が疲れていたりすると、揚げものの匂いを嗅いだ程度でお店から逃げ帰りたくなってしまう、厄介な食べ物だ。
シャレーさんは1980年代からのお店のように思っているが、私の記憶違いかもしれない。ともかく仕事が昔から丁寧で、4組以上お客が入っている場合、空腹感が強いならまず他を当たった方がよい感じである。それは、本当に昔も今も変わらない。あくまでも、お店のペースできちんとした仕事をしたお皿を順番に出してくる。ちょっとファミリー向けな感じもするお店の佇まいであるが、なぜか記憶に残るお店である。


この日は、お店がかなり混み合っていても不思議は無いような日だったのだが、たまたま先客は一組だけだった。その先客はスープから始めて、髭がピンと跳ねた海老フライなどをとても満足そうに平らげていった。私よりは大分人生の先輩に当たる方と推察したが、スープにサラダ、メインのフライにデザートまできっちり召し上がるのがお好みのようで、爽快感まで覚える食べっぷりだった。
それが私の中の何かを触発したようだ。注文は迷わずヒレカツ カレー。ヒレを使う所がありがたい。
ヒレカツは厚すぎなくて、カレーをかけた味がよくご飯にまで通じる。揚げ油は、とても上質。新鮮なラードをサラダ油に混ぜたような感覚だろうか。
カツの表面ににじむ脂の香りが、積極的に食欲を刺激する。決して、お腹を重くしたりはしない。


こういうカレーを食べるには、まず基本はスプーンだけで口に運びたい。それには、ご飯の上でカリッと揚がったヒレカツを調度よい大きさに切り分ける作業が必要だ。
お店のナイフとフォークで、実にやさしく切れ分けられる。そこへ、いよいよカレーをすくって丁寧にかけてやる。ご飯と、カツと、カレーが一さじに載って調度いい量をめざす。こういう場面でも、バランス感覚は重要なのだ。
その結果として、カレーの風味が高く、カツのころもがスプーンの中でもカリカリし、それをささえるご飯をかみしめられる一口が実現する。

シャレーさんは軽井沢バイパスに面していて、白の壁面とあえて重い色に塗装しない木製の建具が目印のお店である。