蕎麦喰らいの日記

蕎麦の食べ歩き、してます。ついでに、日本庭園なども見ます。風流なのが大好きです。

栄寿司 小吉  富山駅前(3)

2012-09-27 23:39:38 | 寿司
日本海のネタを実に新鮮な状態で使った寿司は、他に較べようもない美味しさである。


このお店、見つけたのは数年前だが、一年に一度訪ねるのがやっとである。
しかし、その度に見事な包丁さばきに舌を巻いてしまう。


この店を代表するとも言える、鰤大根。
一週間煮込んでいるので、鰤は骨まで食べられるし、大根は独特な淡白な味わいな中に、出汁がしっかりと入り込んでいる。いつ来ても、変わらぬ味なのだろう。
とんでもなく暑い日だったので、生ビールがどんどん進む。


続いて、墨造り。ホタルイカの墨まで漬け込んだものだが、つけ込んだ時の鮮度が抜群で、その鮮度をそのまま保ちながら墨やワタを熟成させた見事な味わいである。
この時点で、富山の酒、立山へと移行した。


おつまみは早々に切り上げて、握りをいただく。
まずは、夏場が旬な鰈。宝石をカットしたような包丁の仕事が見えてくる。


続いて、富山の名産、白エビを軍艦巻きで。
海苔の状態が秒単位で変化するので、写真は1枚撮っただけ。しかし、海苔と白エビのハーモニーは、凄い満足感を与えてくれる。
軍艦巻きのシャリに醤油を付けてもはじまらない。やはり、醤油はネタに付けたい。そこで、醤油をどう使うのがよいか、御主人に聞いてみた。ガリに醤油を付けて、それをネタに塗るのが、初心者にはお勧めのようだ。


これがなんと、〆鯖。身は厚めに切っていて、とろりとした旨みがすごい。江戸前を標榜する店の、乾燥させたような薄い〆鯖とは、まるで別物である。




こうなると、白身がどんどん食べたくなり、カンパチに鯛。
いずれも、素晴らしい味なのだが、先ほどの〆鯖の直後にはちょっと弱かったのかもしれない。


関東の方にはこちらが〆鯖に見えてしまいそうだが、新子。コハダである。適度な酢をくぐらせて、昔の江戸前を思わせる味であった。


甘エビ。普通は2、3本を使うのだが、むっちり太ったエビを選ぶので1尾で握る。
そのあふれる海の風味、どう現わしたものか。


ちょっと珍しいネタとして、メギスを握ってもらった。
淡白な味わいで、生姜の薬味はぴったりだった。




締めは、鉄火巻きに玉子焼き。
改めて、海苔使いの技、出汁の豊かな味わいを、深く味わった。
本当に、お寿司で満腹させてもらったのだが、驚くほどお値打ちであった。



宝光社 戸隠神社

2012-09-25 22:10:31 | 神社仏閣
戸隠には神社が五社あるという。大概の参拝客は、県道36号線から直ぐの中社や、参道の杉並木が素晴らしい奥社を訪れるのだが、宝光社にお参りする人は今では多くはない。


入り口にある石塀が築かれた年代は分からないが、見事な格式を感じさせる。おそらく、社殿と同じ江戸末のものではないだろうか。


石段の手前にある狛犬。この先の石段の大変さを、警告しているように見える。


戸隠の神社の建物としては、最も古い時期(1861年)に建てられたものである。


狛犬からの石段は、この急傾斜。下りなど、ちょっと目が回りそうな感じまでする。鉄製の手すりのありがたみを感じた。


入り口の鳥居から外側を見渡せば、参道ははるか先まで続いている事が分かる。自動車を通すために、神社の目の前だけ参道を迂回させたが、おそらくそれは近年のことで、鳥居の下まで真直ぐの石段が築かれていたのだろう。
この参道を直線的に延長すると、宝光社を通り越して、九頭龍山や戸隠山へと至る。
昔からの山岳信仰篤き土地である事を実感する。


電気ビルレストラン  富山市

2012-09-24 19:56:54 | 洋食
北陸には、その昔のホテルの系統の洋食屋さんが残されているようだ。


使われる洋食器の大ぶりで、肉厚なこと。
ずっしりと手にこたえる、持った時の感触が料理への期待感を高める。


本日のポタージュもメニューに載っていたのだが、あえてコンソメを注文した。出汁の塊のような、ねっとりとした感触まで感じさせる、手のかかったスープ。
大正年代に建てられたビルの中で味わうことができる。


お昼だったので、カニピラフを注文した。さすが富山、カニの身が惜しげもなく使われている。
見た目はケチャップを使った甘めの味付けかと感じるが、それでは折角のカニの風味が生きない。その辺りも見事な計算を感じさせた。


ロビーには、昔の雰囲気が色濃く残されていた。


水神祭り  橋立町

2012-09-22 20:32:04 | お散歩
石川県の西の端、加賀市の橋立町は北前船の船主を多数輩出した。特別にすぐれた港もないこの町に、日本を代表する船主が多数存在したのはなぜなのか。その歴史のロマンを解こうとして、未だに様々な試みがなされているという。
現存する北前船の船主の舘で最も規模の大きい、酒谷邸は資料館となっている。そこをめざす途中、資料館の1キロ程手前で水神祭りに遭遇した。


海沿いの空いた道を走っていたのだが、突然の渋滞(と言っても車が2-3台つっかえているだけ)に出くわした。お囃子の音が非常に臨場感があり、その先に何とか車を停めた。橋立の町の海沿いの道を、祭りの一行がねり歩くところであった。


水神は、どこか中国の影響を感じさせる竜である。




町の主だった家(おそらく祭りを支えるパトロンなのだろう)の家の前で、戦いをモチーフにした、舞を披露する。






身体の軽い10歳前後の子供の舞が、不思議な力を持つ。


お囃子はテープなどではなく、全て子供たちによる生演奏である。笛を吹く子どもたちは完全にメロディーを把握しており、それを何時間にもわたって繰り返す。太鼓は、祭りの盛り上がりを見事に反映して、情動をかきたてる。




二人、三人で竜神に対するときは、息の合った動きを見せてくれる。


海は目と鼻の先、という漁師町の祭りである。祭りの中心となる子供たちの目の鋭さが印象的だった。


寿し ちとせ  上越市

2012-09-21 21:38:40 | 寿司
日本海まで直線距離で2-3キロだろうか。高田よりもさらに海寄りに位置し、驚くほど安い値段で納得の寿司を出すお店である。


このお店の一番は、地物の白身づくしだと思う。しかし、それを注文する為には、お酒が飲めて、しかもゆっくりくつろぎながら食べられる、という条件が付く。
今回は、運よく最初の条件はクリアしたのだが、時間的な余裕が全くなかった。
そこで、パクパク食べても損をした気分にならない上寿司を注文した。




貝や白身の味の濃さは、未だにはっきりと舌の上に残っている。
また、巻物に使ってある海苔の風味も忘れられない。


生ウニ、イクラ、地物の甘エビ。
その向こうには中トロなども。

電車の出発時刻ギリギリまで食い意地をはり、最後に空ける徳利の味をたたえたのは吉田健一だったと記憶している。
彼が頻繁に冬の新潟を訪れた時代よりも物流は格段に進歩した。それでも、海から数キロのお店を選ぶ理由は、歴然と存在する。


満留八 精進料理  善光寺門前伊勢町

2012-09-19 23:29:53 | 日本料理
善光寺仁王門まで数十メートルという立地。当然ながら、面している道はギリギリの狭さ。地下駐車場を完備する。


このお店は要予約である。
そういうお店は、ちょっと敷居が高いように感じがちだが、予約した茶室が事前につけたエアコンできっちりと冷やされているのを見ると、それも必要な事なのだと納得できる。


まずは冷やした蒸し茄子で、お腹の熱をとる。



続いて寺町弁当。これは、全てがお精進である。
後ろの列のちょっと濃い目の姿まで、全部が精進。豆腐に細工して鰻の姿。うなってしまう。


ごま豆腐のきめの細かい風味が素晴らしい。


炊き合わせ。
出汁の味も確かだが、背景にあるかぼちゃの皮の皮むき技法、見事な包丁使いである。


お弁当は、枝豆ご飯で締め。漬物が生き活きしている。


椀物は、実に見事な出汁が使われていた。




儀明劇場  大地の芸術祭2012

2012-09-18 22:03:41 | お散歩
儀明(ギミョウと呼ぶ)は、地名。妻有のなかでも、相当に山深い地域である。


2003年の芸術祭のときに、古民家を改造した劇場が造られた。中瀬康志の作品である。


人気がない、山深い光景を切り裂くように、赤く塗られた花道が通る。
まさしく大地の芸術祭の姿だと思う。




古民家と外界をさえぎる建具さえも取り払い、舞台に立てば360度全方向から、語りかけるものを感じる事ができたのではないだろうか。

この劇場は今回の芸術祭の後に、取り壊しが決まっている。
フル オープンの構造が寿命を縮めてしまったのではないと、よいのだが。


壺屋壷亭  金沢

2012-09-17 20:46:29 | 日本料理
真夏よりも空気が澄んで、暑さが厳しいかと思われる日に金沢を訪れた。
夜には鮮魚を食べる予定が入っているので、昼は火を通した物を軽めに食べたい。いろいろ調べた挙句、この土地ならではの治部煮御膳を食べさせるお店を選択した。


場所は金沢市尾張町。 近江市場も近い繁華街だが、近くに古い店構えもちらほら見られ、ゆっくりと訪れてみたくなる。今回は、短時間で昼食を済ませる必要があった。
お店に入りお品書きを見ても、当初の狙いを変更せず、治部煮御膳を注文した。


注文を終えて、ゆっくりと店内を見渡すと、お客は地元の中年以降の女性が圧倒的に多い。
そういうお客は、舌が肥えていて、しかもお得感があるお店でないとリピーターにならない。私の選択は、基本的に正しかったようだ。


暑い日には、お酢を効かせた南蛮漬けが、体全体をシャッキリとさせてくれる。


治部煮は熱々で、出汁がよく効いている。
鳥肉から出る出汁は、なかなか濃厚なのだが、色よく別に煮たと思われる野菜と合わせ、とてもさっぱりとした仕上がりになっている。治部煮は金沢でも女性好みの一椀なのだろうか。


デザートに抹茶のアイスクリームが付く。
これで、1,500円は、お得感が十分にあると思う。


ご馳走様でした。


木戸池から  志賀高原

2012-09-16 22:31:20 | 自然
木戸池湖畔に車を止め、池の周りから歩き出した。


丸池までは雲ひとつ無い晴天だったが、その辺りから手を伸ばせば届きそうなところに霧が漂う。
15時を過ぎているのだが、日向は驚くほど暑い。


木戸池を離れて、ちょっとした登り道。
よく整備されているが、それなりの傾斜を登る。


田ノ原湿原を見渡す。
夏の最盛期で、緑の勢いが素晴しい。


車を止めて、片道せいぜい20分くらいの散歩。それでも車の走る道ではまず見ることができない光景が見られた。

小島家  越後湯沢

2012-09-15 22:58:27 | 日本料理
西口温泉街のメインストリートから、坂を一つ登ったところにある。
川魚料理がお得意で、原価が跳ね上がってしまっても、なかなか鰻の値段さえも変えようとしない、


やはり、昔からのお客が付いているところが強いのだろう。


鰻の稚魚の入手が難しくなり、蒲焼をご飯の上に載せた鰻重も、殆どが自家となり実態としては4000円を超えたようだ。

そういう実に厳しいなかで、このお店では鰻重を昔と変わらない2200円で出している。
もしかして赤字なのかもしれない。しかし、注文すれば、嬉しそうに受けてくれる。
今や、相当に貴重なお店になってしまったのかもしれない。