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河村顕治研究室

健康寿命を延伸するリハビリテーション先端科学研究に取り組む研究室

イリザロフ法

2016-10-18 | 医学・医療
一昨日の岐阜での結婚式で、主賓のテーブルで私の左隣に座っておられたのは岐阜大学医学部整形外科教室教授 秋山治彦先生であった。

秋山先生には以前講演で座長をしていただいたことがあり面識があった。

せっかくの機会だったので、私が最近最も気にしているロシアのことを尋ねてみた。

「今度ロシアに行くことになったのですが、秋山先生はロシアのことに詳しくはないですか?」

「いえ、全然知りません。ロシアの情報は全くないですね。国際学会でもロシアからの参加はあまり見たことがないですね。」

「人工関節などはロシアは何を使っているのでしょうか。自前で製造しているのでしょうか。」

「中国やインドは外国製のものををすぐにコピーして自国生産していますけど、ロシアは聴いたことがないですね。ヨーロッパ製のものを使っているのではないですかね。
イリザロフ法については、昔、日本からもみんなロシアに勉強に行きましたけど、それ以外は知りませんね。」


そうだ、ロシアにはイリザロフ法があった。

昔、私も養護教諭向けの参考書を書いて、その中でイリザロフ法のことを書いたのを思いだした。
以下、その時の原稿。

イリザロフ法
 イリザロフ法は、骨折が治るときの体のメカニズムを利用したものです。
まず、骨切りを行いわざと骨折を起こします。骨折が治るときは、くっつけた骨の間に「仮骨」と呼ばれる柔らかい骨が作られます。 そのまま、強くくっつけていれば、仮骨が橋渡し役として骨になり、骨折が治ります。骨を伸ばすには、このとき逆にくっつけた部分を少しずつ引き離していきます。仮骨がどんどん作られるので、固まる前にそれを伸ばしていって最適の長さで固定しておけば、その部分が骨になり、結果的に骨が伸びるというわけです。このとき、曲がった骨をまっすぐに伸ばすこともできるので、変形した骨を治すこともできることになります。伸ばすスピードはだいたい1日1mmが目安です。創外固定という手法で骨を貫いたピンを体の外部で固定して調節を行います。通常、治療期間中は固定したまま歩いて運動します。




コラム クルガンの魔術師といわれたイリザロフ
 この方法を開発したイリザロフ医師は、旧ソビエト時代のロシアの片田舎であるクルガンに住んでいた。1950年代、折れた骨を外部からピンや針金で固定する「創外固定装置」を独自に作って使っていたが、骨折部を圧縮するためにネジを締めるところを、患者が誤って逆に回して引き離してしまったことから骨が伸びることが見つかったという。
 イリザロフ医師はこの経験から、多くの実験を行い、ついに骨延長の方法を確立した。しかし、シベリアの片田舎で医療を行っていた彼の手術は、容易には認められなかった。その後オリンピックの金メダリストやイタリア人の著名な探検家の骨折がイリザロフの治療で見事に治ったことから評判になり、ロシアの片田舎で生まれた手術法が全世界に広がっていったのである。
 イリザロフ法を用いると成長の止まった成人でも身長を10cm とか20cm伸ばすのは可能である。しかし日数がかかるうえにリスクもあり、日本では単なる美容のための手術は行われていない。

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