『福西志計子と順正女学校』という倉田和四生(くらたわしお)先生の本に、明治13年2月に新島襄が高梁を訪れ、旧交を温めるとともに、キリスト教の演説を行ったことが書かれている。
以下その抜粋。
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日本の国が富国強兵でないのを心配する必要はありません。
それよりも第一に『文明の基』を立てることこそ心配すべきです。
外国人がわが国を軽蔑している、と怒る人がよくいますが、それは転倒した考え方です。
もし一国にしっかりとした基礎があり、国力も優っていれば軽蔑されることはありません。
その場合、ちょうど同じ重さ同士ならば秤が均衡するように外国と対等にやっていけるからです。
均衡を得ようと思うならば、まず自分の国の重さを増す努力をすることです。
家を建てるのに土台が必要なように国の場合にも基礎をしっかりと据えるならば、自由が得られ文明も期待できるのです。
それでは文明の基礎はどうしたら立てることができるのでしょうか。
まず神を知ることです。
神を敬うことは知の第一歩なのです。
神を知り、敬い、畏れ、そして信じ、愛することが人間にとってもっとも大切なことです。
それが欠けると人間は迷いに陥り、あるいは物質の奴隷となり、決して自由人となることはできません。
(中略)
次に日本に文明の基を築く第二の道を考えてみたいと思います。
それは日本人を改良すること、すなわち人心改良をすることです。
それにはなんといっても教育が重要です。
今や1日もゆるがせにせず、教育によって人心改良に取り組むことこそが、国を盛んにするうえで一大急務です。
この急務を果たす際に注意すべき事は、次の点です。
すなわち、脅えることなく自由の心を持ち、見識と愛情をもった女性が育っていないところにこの国の深刻な問題があることです。
教育、なかでも女性が抑圧されてきたこの国では女子教育を充実させることが必要です。
昔文王の母は悪しき風俗を注意深く避けて胎児を育てました。
孟母は、子育てのために三度も転居して孟子を教育しました。
このような母のもとですぐれた人物が生まれたのです。
自分の子を教育するのに誰が卑屈な女性や教師に託すでしょうか。
人にへつらうような卑屈な教師に預けたがる親はいません。
また奴隷のように自主性のない女性に我が子を託す親もいないでしょう。
卑屈の悪循環を断ちきり、日本を文明化するためには男性はもちろん女性に対してもキリスト教に基づいた教育を充実させることが何よりも急務です。
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この講演は福西志計子がこれまで育ててきた信念体系を全面的に肯定し勇気づけることとなった。
以下その抜粋。
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日本の国が富国強兵でないのを心配する必要はありません。
それよりも第一に『文明の基』を立てることこそ心配すべきです。
外国人がわが国を軽蔑している、と怒る人がよくいますが、それは転倒した考え方です。
もし一国にしっかりとした基礎があり、国力も優っていれば軽蔑されることはありません。
その場合、ちょうど同じ重さ同士ならば秤が均衡するように外国と対等にやっていけるからです。
均衡を得ようと思うならば、まず自分の国の重さを増す努力をすることです。
家を建てるのに土台が必要なように国の場合にも基礎をしっかりと据えるならば、自由が得られ文明も期待できるのです。
それでは文明の基礎はどうしたら立てることができるのでしょうか。
まず神を知ることです。
神を敬うことは知の第一歩なのです。
神を知り、敬い、畏れ、そして信じ、愛することが人間にとってもっとも大切なことです。
それが欠けると人間は迷いに陥り、あるいは物質の奴隷となり、決して自由人となることはできません。
(中略)
次に日本に文明の基を築く第二の道を考えてみたいと思います。
それは日本人を改良すること、すなわち人心改良をすることです。
それにはなんといっても教育が重要です。
今や1日もゆるがせにせず、教育によって人心改良に取り組むことこそが、国を盛んにするうえで一大急務です。
この急務を果たす際に注意すべき事は、次の点です。
すなわち、脅えることなく自由の心を持ち、見識と愛情をもった女性が育っていないところにこの国の深刻な問題があることです。
教育、なかでも女性が抑圧されてきたこの国では女子教育を充実させることが必要です。
昔文王の母は悪しき風俗を注意深く避けて胎児を育てました。
孟母は、子育てのために三度も転居して孟子を教育しました。
このような母のもとですぐれた人物が生まれたのです。
自分の子を教育するのに誰が卑屈な女性や教師に託すでしょうか。
人にへつらうような卑屈な教師に預けたがる親はいません。
また奴隷のように自主性のない女性に我が子を託す親もいないでしょう。
卑屈の悪循環を断ちきり、日本を文明化するためには男性はもちろん女性に対してもキリスト教に基づいた教育を充実させることが何よりも急務です。
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この講演は福西志計子がこれまで育ててきた信念体系を全面的に肯定し勇気づけることとなった。