河村顕治研究室

健康寿命を延伸するリハビリテーション先端科学研究に取り組む研究室

第1回岡山運動器フォーラム

2008-12-13 | 研究・講演
岡山プラザホテルで岡山大学整形外科桃整会学術講演会と第1回岡山運動器フォーラムが開催された。

岡山大学整形外科桃整会学術講演会
教育研修講演 「外傷整形外科医の確立をめざして」
高知医療センター救命救急センター 
医長 黒住 健人 先生

第1回岡山運動器フォーラム
腱板断裂:病態、治療とリハビリテーション
東北大学大学院医学系研究科医科学専攻外科病態学講座整形外科学分野 教授
井樋 栄二 (イトイ エイジ)先生


岡山大学整形外科桃整会学術講演会は同門の中で活躍している若い先生に講演していただくという趣旨で、今回の黒住先生の講演は大変感銘を受けた。
高知県は山林が多く、高速道路が限られたエリアしか走っていないため、救急搬送は困難を極める。
往々にしてヘリコプターなどが使われ、黒住先生は要請されればヘリに乗って災害現場へ飛ぶ。
それならそういうこともあるだろうと思っていたら、山林など着陸できないところでは自らハーネスをつけてワイヤーで吊されて、ホバリングしているヘリから現場に降りていくのだそうだ。
おそらく、これはバンジージャンプと同じ感覚ではないかと思われる。
相当怖い、ある意味命がけの活動である。
救急では四肢の外傷だけでなく、開胸心マッサージや、開腹して脾臓摘出なども行うという。
通常の整形外科医が決して行わない処置である。
そんなことまで行っている整形外科医がいることを今回初めて知った。
留学先のフランスで日本では1週間に110時間働くと言ったら現地の新聞にでかでかと「ありえない」と掲載されたという話はおもしろかった。
これだけリスクを冒して過労死ぎりぎりまで働いても、給料はそんなに多くはない。
黒住先生には燃え尽きないように今後も頑張って欲しい。

今回の講演を聴いていて考えたのは、骨盤骨折や多発外傷ですさまじい生きるか死ぬかという患者が病院に搬入された場合、整形外科医が救急チームにいないと命を助けることが最優先されて、命が助かった後の身体機能まで考慮されないということである。
整形外科医は命を助ける努力と共に習慣的に、将来のdisabilityまで考えながら治療を行う。
この違いは患者さんにとって大きな意味があると思われた。


井樋教授のお話も大変興味深かった。
肩の腱板が切れると言うことと肩の痛みがあると言うことは必ずしも同一ではないのだそうだ。
腱板が切れてもむしろ痛みを感じない無症候性の腱板断裂というのがかなりあるのだそうだ。
また、最近は腱板断裂の手術は大部分が内視鏡で行われるようになったとのことである。

講演の後に、肩の手術の後でインナーマッスルだけを選択的に鍛えられる何か良いリハビリの方法はないものだろうかと岡大のスポーツ外傷を担当している阿部先生と話し合った。

肩のリハビリというのも今後は大きなテーマになってきそうな気がした。
コメント
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