河村顕治研究室

健康寿命を延伸するリハビリテーション先端科学研究に取り組む研究室

必要経費と研究費の考察

2008-09-14 | 研究・講演
レコーディング・ダイエットでブレイク中の岡田斗司夫さんが週間アスキー巻末のコラムでおもしろい話を連載している。
先週号から今週、来週と少しずつ小出しに掲載されているが、昔パソコンゲームでヒット作を出してひと山あてた時の話である。
これがとても興味深い。

会計顧問の税理士さんが、
「このままでは、とんでもない金額を税金で払うことになります。
できるだけたくさんの必要経費を使って下さい。」
と言ってきたところから話は始まる。

大もうけしてたくさん税金を払ったとしてもそれがどうしたと思うのだが、いったん巨額の税金を納めると、翌年以降税務署にマークされてその後何年も苦しむことになるのだそうだ。

それで、社員の給料をいきなり倍にした。
それでも使い切れずに、社長は毎月270万円、取締役は毎月100万円まで必要経費を使うことになったのだそうだ。

ところが、ここからがおもしろいのだが、経費を毎月270万円使うというのが難しい。
資産として残るものはダメなので不動産や自動車を購入するわけにはいかない。
当時はパソコンや高額AV機器もダメだったそうだ。

そうなると文具や書籍、接待や会議の飲食代で毎月270万円使わなくてはならない。
これは拷問である。
大変な手間がかかる。

私は幸いこのような目にあったことはないが、気持ちはすごく分かる。
この状況は大きな研究費が入ってきた時の状況とそっくりだからだ。

例えば、代表的な研究費として科研費があるが、採択された初年度は7月くらいから研究費を使うことができるようになる。
大学によって取り扱いの規定は違うが、本学であれば10万円以上の物品の購入は12月中に終えなければならない。
要するに使えるのは半年だけである。
この期間に使い切らなければならないのだが、先の必要経費と同じで、研究費は申請した研究に関連した物にしか使えない。
いくら予算があっても、他の欲しい物を買ってはならない。
本当に欲しい研究機器はたいてい高価で、それを購入するにはいつも予算は不足する。
かといって消耗品で消化しようとすると今度は使い切れない。
基礎の研究であれば購入した試薬やシャーレを短期間で使い切ろうとしたら死ぬほど研究しなければならない。
結局、研究費が当たったがために苦労を背負い込むことになる。
何となく税金対策で必要経費を消化しようとして高級クラブで飲みたくもない酒を飲んでいる姿とだぶるように感じるのは不謹慎であろうか。

岡田斗司夫さんの話は次週に続く。

貧乏に耐えて、ついに成功を手にした。
僕たちはみんな、そう思っていた。

それが間違いだと気づくのに、たいした時間はかからなかった。



コメント
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