マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

プリンセストヨトミ

2011-06-08 10:16:01 | 映画ー劇場鑑賞

ープリンセストヨトミー

2011年 日本

監督=鈴木雅之 原作=万城目学 脚本=相沢友子 キャスト=堤真一(松平元)綾瀬はるか(鳥居忠子)岡田将生(旭ゲンズブール)沢木ルカ(橋場茶子)森永悠希(真田大輔)笹野高史(長曽我部)和久井映見(真田竹子)中井貴一(真田幸一)

 

【解説】

「鴨川ホルモー」などで知られる人気作家・万城目学の直木賞候補にもなった小説を、『HERO』の鈴木雅之監督が映画化した歴史ミステリー。会計検査院による査察をきっかけに、約400年もの間守られてきた秘密が発覚し、大阪中を巻き込む大騒動に発展していくさまを描く。物語の要となる3人の調査官を、堤真一、綾瀬はるか、岡田将生が好演。歴史に裏打ちされた緻密(ちみつ)な構成と、個性豊かな登場人物たちが織り成す奇想天外な万城目ワールドに魅了される。

 

【あらすじ】

会計検査院の調査官である松平元(堤真一)、鳥居忠子(綾瀬はるか)、旭ゲーンズブール(岡田将生)の3人が、府庁など団体の実地調査のため東京から大阪にやってきた。順調に調査を進める中、不審な財団法人を見つけ徹底的に調査するが、変わった様子もなく引き上げようとしたとき、大阪国総理大臣と名乗る男が現れる。そして、大阪中を巻き込む思いも寄らぬ事態へと発展していき……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

評価は低いけど、大阪人なら見とかんとあかんやろーという乗りで、夫と見てきました。

 

大阪城の地下に大阪国があったー

というお話なので、荒唐無稽なのは覚悟でした。

でもねー。

 

あらすじは上記の通りです。

 

そんなにおちゃらけず、いいテンポで物語が進んで行きます。

テレビで見たのですが、プレミアム試写会は大阪城で行われ、その夜は大阪城が赤く染まったそうですね。

「大阪の人が見ないで、誰が見るの?」と誰かが言っていましたが、それなら、もう少し大阪人の目を大切にして欲しかったなあ。

 

主演の中井貴一さんの、すごい長い演説があって、とても感動的で、夫は涙ぐんでさえいました。

このお話は、父と息子のいい話で、この映画を見て「久しぶりにおやじと酒でも飲もうかなあ」という気分になる方も多いと思います。

 

でも、でも!!

中井貴一さんの大阪弁に引っかかった私は、そこまで感動できなかったです。

 

さらに、綾瀬はるかさんが走り回る大阪も、走り回れる範囲ではないし。

大阪のいろんな場所が出てきます。

大阪の人間なら、ここはどこと言える有名な場所。

大阪城やその周辺の公園、府庁、南海難波駅、通天閣界隈、道頓堀、住吉大社まで出て来て、びっくりです。

 

お好み焼き、串カツ、たこやきなのね、大阪の食のイメージ。

がっかりー。

 

ちょっとワンパターンすぎるんじゃないかな?

誰でも知っている大阪ばかり。

ガイドブックにもならないわ。

もう少し、こんな大阪もあるよ、という視点で作って欲しかったなあ、と思いました。

 

こう見えても、奥は深いんよ、大阪。

 

 


みんな元気

2011-06-08 09:38:32 | 映画ーDVD

ーみんな元気ーEVERYBODY'S FINE

2009年 アメリカ

カーク・ジョーンズ監督 ロバート・デ・ニーロ(フランク)ドリュー・バリモア(ロージー)ケイト・ベッキンセイル(エイミー)サム・ロックウェル(ロバート)オースティン・リシ(デイヴィッド)

 

【解説】

『みんな元気』(みんなげんき、原題: Everybody's Fine)は、2009年のアメリカ映画。1990年にイタリアで公開された同名映画のリメイク作品。日本では劇場公開されずビデオスルーになった。

 

【あらすじ】

妻に先立たれた老人のフランクは、毎年自分の家にやってくる子供たちを楽しみに待っていたが、今年は全員が来るのをやめてしまう。ショックを受けるフランクだったが、直接子供たちと話をするために、自分が彼女らの元に向かおうと決心する。だが、この行動によって、それまで秘密にされてきた子供たちの真の現状が明らかになる(ウィキペディアより)。

 

【解説】

イタリア映画のリメイクだそうですが、この豪華キャストで日本公開が見送られたとは。

もったいない!

いい映画でしたよ。

どちらかといえば、日本的な家族観だと思いました。

 

仕事をリタイヤして、妻を亡くして一人暮らしのフランク(ロバート・デ・ニーロ)は、4人の子供たちが家族を連れて集まるのを楽しみにしていた。

ところが、ロバート(サム・ロックウェル)はオーケストラの演奏旅行で、ロージー(ドリュー・バリモア)はバレエの舞台があって行けないと言う。

エイミー(ケイト・ベッキンセイル)も息子が高熱で行けない、ディビッド(オースティン・リシ)は返事もなかった。

 

心臓が悪く、医師から旅行を禁じられたフランクだったが、子供たちに会いに列車とバスを乗り継いで会いに行くことにした。

 

まず、ディビッドを訪ねるが不在だった。

近所の画廊には彼の絵が飾られていた。

置き手紙をして、エイミーの家に向かう。

高熱で寝ているはずの孫が元気に出迎えてくれた。

エイミーに「滞在する」と言うと、仕事があって無理だと断られた。

 

しかたがないのでロバートの練習場を訪ねた。

指揮者とばかり思っていたら、パーカッション担当だった。

しっくりいかない会話。

ロバートにも「今夜から演奏旅行」と言われてしまう。

 

長距離バスに乗って、ラスベガスのロージーを訪ねる予定が、時計の時間合わせが間違っていて、バスの乗り継ぎがうまくいかなかった。

長距離トラックに乗せてもらったり、電車の駅ではドラックをしている若者に心臓の薬を粉々にされたりいろんなことがあって、ようやくロージーの元にたどり着いた。

 

内緒の旅行と言っても、子供たち同士には情報が回り、ロージーは心配してあちこち父を捜していました。

子供たちには、パパに言えない心配事があったのです。

 

☆ネタバレ

ディビッドがメキシコで麻薬がらみで逮捕されたという情報がエイミーに届いていました。

エイミーは父をロバートのところへ向かわせた後、メキシコに飛んで事実を確認していました。

本当のことがわかるまで、父には心配をかけまいと兄妹たちがぎこちなかったのです。

 

さらにそれぞれも秘密がありました。

エイミーは夫と別居、ロージーは同性愛のパートナーと赤ちゃんがいました。

 

父は別れ際に、ひとりひとりに「幸せか?」と聞きます。

父はお見通しでした。

だまされているふりをしているだけなのです。

 

持病の薬がなくなったので、急遽飛行機で帰ろうとしましたが、飛行機の中で心臓の発作が起き、病院に運び込まれました。

 

気がついたら、子供たちの心配そうな顔がありました。

そして、ディビッドの訃報も聞きました。

 

「パパがみんなに期待しすぎたからなのか?」

フランクは自問します。

でも、大人になった子供たちの問題は、パパには関係がないはずです。

 

親はいつまでたっても親、親にとって、子供はいつまでたっても子供なんですね。

父親は、仕事を言い訳に、家庭のことは妻に任せて、妻からの話を鵜呑みにして、子供たちを誤解していることも多いのでしょうね。

 

ラストは、クリスマスに子供たちが父の家に集まり、新しい家族も紹介して、楽しい団らんでした。

そして、フランクは亡くなった妻にこういうのです。

「みんな元気だよ」って。

 

エンディングに使われている曲はポール・マッカートニーの書き下ろしなのですが、特典にその作品ができたときのことを、ポール自身が語っています。

こちらも、とても興味深いですよ。

 

 


ジュリエットからの手紙

2011-06-06 15:36:09 | 映画ー劇場鑑賞

ージュリエットからの手紙ーLETTERS TO JULIET

2010年 アメリカ

ゲイリー・ウィニック監督 アマンダ・セイフライド(ソフィ)クリストファー・イーガン(チャーリー)ガエル・ガルシア・ベルナル(ヴィクター)フランコ・ネロ(ロレンツォ)ヴァネッサ・レッドグレーヴ(クレア)

 

【解説】

「ロミオとジュリエット」で名高いイタリア・ベローナで行われている、世界中から届く恋愛相談の手紙に「ジュリエットの秘書」と呼ばれる女性たちが返信する「ジュリエットレター」を題材にした恋愛ドラマ。1通の手紙から始まる50年前の恋人を捜す旅を、『シャーロットのおくりもの』のゲイリー・ウィニック監督がロマンチックに描き出す。キャストには『マンマ・ミーア!』のアマンダ・セイフライド、オスカー女優ヴァネッサ・レッドグレーヴら実力派がそろう。

 

【あらすじ】

ロンドンに暮らすクレア(ヴァネッサ・レッドグレーヴ)のもとに1通の手紙が届く。その内容は、50年前に彼女がイタリアで恋に落ちた男性との愛を貫けなかった苦悩を、ジュリエット宛につづった手紙への返事だった。その男性と再会することを決めたクレアはイタリアへ向かい、返事を書いたソフィー(アマンダ・セイフライド)と共に初恋の人を捜す旅に出る。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

主演のアマンダ・セイフライドを見て、「マンマミーア」を思い出してしまう。

あれも、手紙が出て来たなあ。

 

このジュリエットレターって、本当にあるそうですね。

ベローナにあるジュリエットの家には恋の悩みを書いたメモが貼付けられ、それを回収してジュリエットの秘書たちが返事を書いているそうです。

ロマンチックですねえ!!

 

ジャーナリスト志望のソフィー(アマンダ・セイフライド)は、アメリカでイタリアンレストランを開こうとしている恋人ヴィクター(ガエル・ガルシア・ベルナル)とベローナへ婚前旅行にやって来た。

店がオープンしたら、しばらくは新婚旅行にも行けないだろうということからだった。

 

 

ソフィーはロマンティクな旅を期待していました。

でも、ヴィクターはそんなことより、自分のイタリア料理店へ仕入れる材料やワインの取引で頭がいっぱい。

 

ソフィーは暇を持て余ましてジュリエットの家へ。

そこで、ジュリエットの秘書たちと出会う。

手伝っているうちに、壁の隙間に押し込められた古い手紙を発見。

それは、クレア(ヴァネッサ・レッドグレーヴ)がロレンツォとの辛い別れを書いた手紙だった。

 

ソフィーはクレアに返事を書いた。

それを読んだクレアが、孫のチャーリー(クリストファー・イーガン)を伴ってジュリエットの家に訪ねて来た。

 

チャーリーは、クレアの感情をかき混ぜないでくれと、ソフィーをなじるが、3人はロレンツォを訪ねる旅に出発することとなった。

 

結末は、クレアにとってもソフィーにとってもハッピーエンドとなりますが、そこには違和感がなく、とても女性好みなものです。

ベローナの美しい風景、クレアとチャーリーとソフィーの心温まるたびのエピソードを織り込んで、素敵な物語が紡がれて行きます。

 

クレアが自分の恋を取り戻す物語。

とてもロマンティックで素敵でした。


月に囚われた男

2011-06-06 15:12:33 | 映画ーDVD

ー月に囚われた男ーMOON

2009年 イギリス

ダンカン・ジョーンズ監督  サム・ロックウェル(サム・ベル)ケヴィン・スペイシー(ガーティ)ドミニク・マケリゴット(テス・ベル)カヤ・スコデラーリオ(イヴ)

 

【解説】

地球に必要不可欠なエネルギー源を採掘するため月の基地に滞在中の男が奇妙な出来事の数々に遭遇するSFスリラー。デヴィッド・ボウイの息子ダンカン・ジョーンズが初監督に挑み、男の悲しく恐ろしい運命を描く。『フロスト×ニクソン』のサム・ロックウェルが一人劇に挑むほか、ロボットの声をケヴィン・スペイシーが担当。500万ドル以下の低予算映画ながらもダイナミックなスリルが味わえる、ジョーンズ監督の大胆な演出が光る一作だ。

 

【あらすじ】

サム(サム・ロックウェル)は地球で必要なエネルギー源を採掘するため、3年間の契約で月にたった一人で滞在する仕事に就く。地球との直接通信は許されず、話し相手は1台の人工知能コンピュータ(ケヴィン・スペイシー)だけの環境だったが、任務終了まで2週間を残すある日、サムは自分と同じ顔をした人間に遭遇する(シネマトゥデイ)

 

【感想】

この映画、ほとんどサム・ロックゥェルの一人芝居だし、いかにも低予算の感じがしますが、面白かったです。

宇宙船や月での作業もよく雰囲気が出ていたし、なによりそこで作業をしている男の悲哀がとてもよかった。

 

未来の地球では、燃料資源が枯渇し、新しい燃料は月の裏側にある物質でまかなわれていた。

その産業を独占している韓国企業にサム(サム・ロックウェル)は雇われ、3年の契約で一人勤務をしている。

話し相手はロボットのガーティ(声=ケヴィン・スペイシー)だけ。

 

でも、それもまもなく終わり、愛する妻の元へ帰れる。

出てくるときは赤ちゃんだった娘も、もう4歳になっている。

楽しみは、地球から送られてるビデオレターだが、直接に話すための通信施設が故障していて、木星の中継基地から迂回して送られてきていた。

 

いつもの作業に出かけたサムは、事故で採掘車の中で気を失ってしまった。

治療室で目覚めたサム。

何かが変だ。

動けるようになり、ガーティの目を盗んで採掘現場へ。

そこには、怪我をして横たわる自分の姿があった。

救い出して基地に戻る。

 

回復したもう一人のサム。

お互いに「クローン」とののしり合う。

 

事故車の救出に本部から救援隊が来るという知らせが入った。

二人のサムは真相を突き止めるために通信施設を調べると、そこには妨害電波を出す装置があった。

さらに、秘密の部屋には大量のサムのクローンがー。

 

☆ネタバレ

すべては、労働力を安く上げるための会社のからくりだった。

生身の人間では、孤独な作業に耐えられるのが3年ということなのでしょう。

3年経ったクローンは葬り去り、新しいクローンを目覚めさせてまた3年働かせる。

3年後には地球に帰れるという希望を持たせて。

 

なんという残酷なシステム。

 

このからくりを知ったサムは、自分のクローンを使い、本部のレスキュー隊を欺き地球に帰還する方法を考えついた。

 

このとき協力するガーティがとても友情に溢れていて、ジーンとなります。

2001年宇宙の旅」で描かれたHALと大きな違いでした。

 

 

サム・ロックウェルの演技に尽きるような作品ですが、エネルギー資源の枯渇や、人間の孤独や自分自身との対峙という、いろんなテーマが盛り込まれていて、とても面白かったです。

 

監督のダンカン・ジョーンズはデビット・ボウイの息子だそうです。

 


八日目の蝉

2011-06-03 10:23:08 | 映画ー劇場鑑賞

ー八日目の蝉ー

2011年 日本

監督=成島出 原作=角田光代 キャスト= 井上真央(秋山恵理菜=薫)永作博美(野々宮希和子)小池栄子(安藤千草)森口瑤子(秋山恵津子)田中哲司(秋山丈博)市川実和子(沢田久美(エステル))平田満(沢田雄三)劇団ひとり(岸田孝史)余貴美子(エンゼル)田中泯(タキ写真館・滝)風吹ジュン(沢田昌江)

 

【解説】

誘拐犯の女と誘拐された少女との逃亡劇と、その後の二人の運命を描いた、角田光代原作のベストセラー小説を映画化したヒューマン・サスペンス。監督は、『孤高のメス』など社会派エンターテインメント作品で定評のある成島出。誘拐された少女の大学生時代を井上真央が演じ、愛人の娘を誘拐する女性に永作博美がふんするほか、小池栄子や森口瑤子、田中哲司など実力派俳優が勢ぞろいする。(タイトルの「蝉」は、「虫」に「單」が正式表記)

 

【あらすじ】

子どもを身ごもるも、相手が結婚していたために出産をあきらめるしかない希和子(永作博美)は、ちょうど同じころに生まれた男の妻の赤ん坊を誘拐して逃亡する。しかし、二人の母娘としての幸せな暮らしは4年で終わる。さらに数年後、本当の両親にわだかまりを感じながら成長した恵理菜(井上真央)は大学生になり、家庭を持つ男の子どもを妊娠してしまう。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

なかなか面白かったです。

原作がいいのでしょうね。

読んでいませんが。

テレビドラマ化もされたようですが、私は見ていません。

 

ということで、この作品だけを見ての感想ですが、二人の母と、その犠牲者といっていい娘の心情がとてもよく描かれていました。

 

秋山丈博(田中哲司)には、恵津子(森口瑤子)という妻がいたにもかかわらず、希和子(永作博美)とも付き合っていた。

希和子が妊娠を告げると、秋山の態度は一変する。

断腸の思いで堕胎した希和子だが、それがもとで、二度と子供を産めないからだとなってしまう。

しかも、恵津子が妊娠。

恵津子は希和子の存在を知り、訪ねて来てののしった。

 

空虚な気持ちの希和子は、秋山と別れを決心し、一目だけでもと思い、秋山の留守宅に上がり込み、赤ん坊だった恵理菜を見るが、魔が差して誘拐してしまう。

 

☆ネタバレ

希和子は恵理菜を連れて逃げ惑い、カルト集団「エンゼルハウス」に3年間身を寄せる。

そこに警察が入ることを知り、恵理菜を連れて小豆島に渡る。

エンゼルハウスで懇意にしていたエステル(市川実和子)の実家に身を寄せ、普通の親子として1年間幸せに暮らしていたが、全国紙の写真コンクールに二人の写真が掲載され、再び逃亡を企てたところで警察に捕まる。

 

そして、その裁判シーンから映画は始まるが、希和子には反省がなく、実刑となり、恵理菜は実母恵津子の元で育てられた。

 

4歳まで希和子に育てられた恵理菜は、恵津子になつかない。

恵津子はヒステリックにわめき出し、恵理菜は泣いて謝る。

どちらも、なぜそうなるか、わからない。

この母娘が失ったものは、永遠に取り戻せないのだろうか?

 

恵津子が狂うシーンは、ぼろぼろと涙が止まりませんでした。

やはり、私は実母の心情に添って見てしまいました。

彼女が悪く描かれているなんて、ちっとも思いませんでした。

彼女は荒れて当然、狂って当然です。

恵津子にはなんの非もないのですから。

 

悪いのは秋山丈博です。

一生をかけて償わないと行けないのは彼だと思います。

ある程度、自覚して努力をしているようすがあったので、救われていると思いました。

 

恵理菜にも、当然非はないのですが、実母を愛せないと言うのが後ろめたさになっています。

そして、希和子を恨んだり憎んだりしないといけないという思いも、すごいストレスになっていると思います。

 

しかも岸田孝史(劇団ひとり)と、希和子と同じような愛人状態になって、妊娠もして、さらに恵津子との関係が悪化します。

 

そこへ現れたのが、ジャーナリストの安藤千草(小池栄子)。

恵理菜の事件を記事にしたいという。

二人は、希和子との逃亡生活を追って、大阪から小豆島に旅をする。

 

これが、恵理菜の心の旅になりました。

そして、小豆島の写真館に残されていた希和子と幼い自分の写真。

そして、希和子が捕まるときに言った言葉。

 

自分が愛されていたことを知り、自分も希和子を愛していたことを思い出した恵理菜は、実母との関係修復への努力や、子供を産むことへの希望も見いだして、新しい人生に向かう決心をしたのでした。

 

女優さんたちが素晴らしかったです。

特に、小池栄子さん。

 

いつも健康で明るいイメージですが、今回の役はかなり不健康な精神の持ち主で、それをとてもうまく表現していました。

大柄な体を曲げて、おどおどした不安そうな表情がとてもうまいと思いました。

エンゼルハウスで育ち、恵理菜の幼いときを知る複雑で重要な役ですが、そういう千草だからこそ、恵理菜も心を開いたんだなあ、と感じさせる演技力でした。

 

永作博美さんは、これは彼女の役だろうなと言うほどでした。

一番の嫌われ者ですが、この役が観客から愛されなければ、観客には葛藤が生まれないでしょう。

 

井上真央も素晴らしかったです。

 

お母さん、特に子供を産んだばかりの母親は、感情的で神経質で野生さえ感じるほどです。

出産そのものが自然なことなので、当然だと思います。

そこをうまくフォローしてあげるのが父親の役目でしょう。

母親を安心させ、子育てに専念できる環境を作る。

 

それが、この作品のように、子供を奪われてしまうと言うのは母親にとって最悪の出来事です。

その犯人は、夫の愛人なんて、立ち直れないほどのショックでしょう。

 

私は、恵津子に深く同情し、この母に再び幸せが来るようにと、祈らずにはいられませんでした。

恵理菜の子供をかわいがって育てて、自分の失われた時間を取り戻せたと思えたらいいのですが…。

そういう予感で満ちあふれている、いいラストだと感じました。

 

 

 


必死剣 鳥刺し

2011-06-03 09:08:24 | 映画ーDVD

 

ー必死剣 鳥刺しー

2010年 日本

監督=平山秀幸 原作=藤沢周平 キャスト=豊川悦司(兼見三左エ門)池脇千鶴(里尾)吉川晃司(帯屋隼人正)戸田菜穂(睦江)村上淳(右京太夫)関めぐみ(連子)山田キヌヲ(多恵)矢島健一(矢部孫千代)油井昌由樹(大場兵部)つまみ枝豆(福井)俊藤光利(光岡)村杉蝉之介(山内)瀧川鯉昇(安西直弥)田中聡元(権蔵)石山雄大(茂吉)生津徹(常吉)前田健(喜助)外波山文明(兼見清蔵)高橋和也(兼見伝一郎)福田転球(牧藤兵衛)木野花(はな)小日向文世(保科十内)岸部一徳(津田民部)

 

【解説】

藤沢周平の時代小説「隠し剣」シリーズの中でも、現代に通じる傑作と名高い「必死剣鳥刺し」を『しゃべれども しゃべれども』の平山秀幸が映画化。剣豪であるがゆえに、過酷な運命に翻弄(ほんろう)されていく武士の心情が描かれていく。悲運の剣豪・兼見三左ェ門を演じるのは豊川悦司。三左ェ門の亡き妻のめいでありながら、彼にひそかな思いを抱く女性・里尾を池脇千鶴が演じる。観る者の心を揺さぶるし烈なクライマックスまで、目が離せない。

 

【あらすじ】

江戸時代、海坂藩の近習頭取・兼見三左ェ門(豊川悦司)は、藩主・右京太夫(村上淳)の失政の元凶である愛妾(あいしょう)・連子(関めぐみ)を3年前に城中で刺し殺すものの、寛大な処分によって再び藩主に仕えることに。亡妻・睦江(戸田菜穂)のめいであり、身の周りの世話をしてくれる里尾(池脇千鶴)との日々の中で生きる力を取り戻すが……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

原作は藤沢周平だし、ヤフーのレビューでも評価が高いので、期待して見ましたが、私にはあっていなかったようです。

理解できないことがいっぱいでした。

 

まず、なぜ海坂藩の近習頭取・兼見三左ェ門(豊川悦司)は藩主・右京太夫(村上淳)の失政の元凶である愛妾(あいしょう)・連子(関めぐみ)を暗殺したのか?

いろいろ理由は語られます。

藩の財政に口出しをし、勝手に役人の腹を切らせたなど、ひどいエピソードもあり、領民は高い年貢に喘いでいたという現実もある。

 

一方、兼見は愛する妻を病気で失い、子もなく、自分が犠牲になっても悲しむ人はいないという状況です。

 

だから、藩のために連子を殺したの?

だから、連子を暗殺するのは兼見だったの?

というところで、私は引っかかりました。

役者さんの力量もあるのでしょうが、連子が一番のワルに見えなかったし。

連子より、その暴走を止められない藩主の右京の方が問題でしょう?

しかも、藩主の右京も連子の考えに賛成しているみたいにも見えました。

 

そして、我が身を捨てての暗殺。

極刑を覚悟していた兼見ですが、自宅謹慎で生かされ、謹慎が解けてからは右京の側で、針のむしろという感じで仕えていた。

それには、津田民部(岸部一徳)の思惑があったのだ。

 

連子が亡くなっても、藩内の農民の窮状は変わらない。

藩主が無能と言うことです。

別家の帯屋隼人正(吉川晃司)が心を痛め、たびたび右京に意見していました。

とうとう堪忍袋の緒が切れ、単身右京を訪ねてきました。

 

ここも、不思議でしたね。

別家とはいえ、刀に手をかけて藩主を目指しているのに、家来たちが数人バラバラに止めにくるだけなんて。

 

帯屋が右京の部屋に迫って来て、その前に立ちふさがったのが兼見でした。

そこが彼の働き場所だったのです。

 

兼見は「必死剣鳥刺し」という秘剣の使い手だったのです。

それは、「その秘剣が抜かれるとき、使い手は半ば死んでいる」というもので、使い手である兼見も使ったことがないという秘剣中の秘剣です。

そして、帯屋との息詰る死闘を制した兼見。

 

しかし、待ち受けていたのは、帯屋を殺した乱心者として同僚の家来たちに討たれるということでした。

これが津田の筋書きだったのです。

 

この立ち回りが長々と凄まじい。

お話に入り込めない私にとっては、かなり苦痛でした。

「スプラッター映画やん」と引きながら見ていました。

 

そして、見せられた「必死剣鳥刺し」だけど、そのからくりがよくわからなくて、さらにフラストレーションがたまりました。

どうも、ひもで動脈を縛って脈を消し、相手が油断したところで一気に突くというやり方のようです。

相手も死ぬけど、自分も死ぬというのがからくりのようでした。

 

兼見には、亡くなった妻の姪の里尾(池脇千鶴)が出戻りで身を寄せていて、謹慎中も献身的に世話をしていました。

兼見は、里尾の行く末も案じているのだが、自分を慕っている里尾の気持ちを知って、一線を越えてしまいます。

 

兼見が亡くなってからも、それを知らない里尾は、生まれた赤ちゃんとともに兼見の迎えを待っているというラストでした。

 

お城で何があろうと、農民はたくましく生き続けるというメッセージも感じたラストで、そのへんはいい感じでしたね。

 

結局、兼見と帯屋の対決はどういう意味だったのかなあ?

兼見は、藩政への批判から連子を暗殺したんだから、帯屋とは連携すべきだったのではないか、と思いました。

命を救われた藩主や津田を救うためだったのかな?

命は捨ててもいいと思っていたはずなのになあ。

原因も結果も、私は納得できなかったのでした。