マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

彼女が消えた浜辺

2011-05-10 09:09:04 | 映画ーDVD

ー彼女が消えた浜辺ー

2009年 イラン

アスガー・ファルハディ監督  ゴルシフテ・ファラハニ(セピデー)タラネ・アリシュスティ(エリ)シャハブ・ホセイニ(アーマド)メリッラ・ザレイ(ショーレ)

 

【解説】

浜辺にバカンスに訪れた若い女性の失踪(しっそう)事件をきっかけに、人間の複雑な内面が暴かれるヒューマン・ミステリー。楽しいバカンスから事件後までの3日間を通し、残された登場人物たちがあらわにする不安やエゴなどを映し出す。監督は、本作でベルリン映画祭最優秀監督賞を受賞したイランの新鋭、アスガー・ファルハディ。ストーリーの充実度もさることながら、男女の関係などについてのイランの文化や価値観も興味深い。

 

【あらすじ】

テヘラン近郊の海辺のリゾート地にバカンスに訪れた男女の中に、セピデー(ゴルシフテェ・ファラハニー)が誘ったエリ(タラネ・アリシュスティ)もいた。トラブルに見舞われながらも初日は楽しく過ぎ、2日目に事件が起きる。海で幼い子どもがおぼれ、何とか助かったものの、エリの姿がこつ然と消えてしまっていたのだ。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

まず、イランという国の、想像以上の豊かさと、アメリカナイズされている品物の数々に驚きました。

知らない国の背景を楽しむのも、映画の楽しみですねー。

 

3組の夫婦とその子供が3人、そして、独身の男性一人と独身の女性一人が、3泊の予定で別荘地に遊びにきました。

 

3台の車に分乗して、トンネルで奇声を発したり、箱乗りしたり、子供じみていると思うほどのはしゃぎようでした。

 

この旅行を計画したのがセピデー(ゴルシフテェ・ファラハニー)です。

彼女には、ドイツ人の妻と離婚して傷心のアーマド(シャハブ・ホセイニ)に、自分の子供の保育園の先生であるエリ(タラネ・アリシュスティ)を紹介しようと企んでいました。

 

まず、最初のつまづき。

別荘は1泊しか取れていなくて、次の日から別荘の持ち主がやって来ると言うのです。

セピデーは「来たらなんとかなると思ったのよ」と言いながら管理人と交渉しますが、らちはあきません。

 

そのうち、空いている別荘があると言うので見に行くと、窓は破れているし、中も汚れていました。

多数決で、ここに3泊することになりました。

 

みんなふざけたり踊ったり、アーマドとエリをからかったり、少しふざけ過ぎですが、楽しい夜を過ごしました。

 

翌日、エリは帰ると言い出しました。

お母さんに1泊の旅行だと言っていて、お母さんは心臓が悪くて心配かけられないと言います。

女たちは引き止めたり、嫌みを行ったりします。

セピデーは、知らん顔して買い物に行ってしまいました。

 

エリは、子供たちに凧を揚げてやって遊んでいました。

一人の子供は波打ち際で遊んでいました。

子守役の女性が、お昼の準備に家の中に入りました。

エリに後を頼んで。

 

男たちがバレーボールに夢中になっている裏庭に幼い子供が泣きながらやってきました。

少し大きな子供もやってきて、海で遊んでいた子供が溺れていると言いました。

 

男たちは夢中で海に飛び込み、子供を助けました。

次に、エリがいないということに気がつきました。

子供を助けに海に入ったのではないかと、大騒ぎになりました。

警察も来て探しましたが、エリの姿はありません。

 

セピデーも帰ってきて、半狂乱で探しますが、エリの姿はどこにもありませんでした。

 

「帰りたいと言っていたから、帰ったんじゃないの?」誰かが言います。

でも、荷物はセピデーが隠していたし、携帯もセビテーが持っていました。

でも、みんなは、帰ったかもしれないと言う可能性にかけたい気持ちが強い。

 

お母さんに電話すると、旅行に行ったことも知らない様子でした。

エリが最後に電話した相手に電話すると「エリの兄だ」と言いました。

事実を隠したまま、兄と名乗る人物と会うことになりました。

 

セピデーは「電話の主はエリの婚約者だ」とアーマドに打ち明けます。

「なぜ、婚約者のある人を僕に紹介したのか?」詰め寄るアーマド。

セピデーは、エリがこの婚約を破棄したがっていたことを打ち明けます。

 

この事実を兄=婚約者に知られてはならない、みんなは子供にまで言い含めて口裏を合わせますが、結局はばれてしまいます。

 

すべての原因を作ったセピデーは、夫からもののしられて殴られてしまいました。

セピデーは、エリの愚痴を聞いて、なんとかしてあげたいとお節介を焼いた結果なのだから、責められても仕方がない立場です。

別荘の予約の件に現れているように、悪気はないお人好しなんだけど、少し軽はずみなところがある女性なんですね。

 

この間の、それぞれの発言や行動がとても人間臭くて面白い作品でした。

イラン人てこんな感じなのかなあ?

陽気で単純なところもありました。

お台所仕事や子守りなど、明らかに男女の役割分担が決まっていて、少し前の日本社会のようです。

発言も、男が威張っているんだけど、妻に頭が上がらない感じもあって、どこでも一緒だなあと思いました。

 

ただ、婚約や男女関係にはかなり厳しそうで、結局エリの本心が分からなくて、エリ一人がとても哀れな感じがしました。

嫌だとぼやいていても、結婚してみたらそれなりに幸せになったかもしれないもの。

 

戦争とか、テロとかではない、普通の生活を描いたイランの映画が日本で見れることが、平和でいいなあと思いました。

 


火天の城

2011-05-10 08:59:05 | 映画ーDVD

ー火天の城ー

2009年 日本

監督=田中光敏 原作=山本兼一 キャスト=西田敏行(岡部又右衛門)福田沙紀(岡部凛)椎名桔平(織田信長)大竹しのぶ(岡部田鶴)寺島進(平次)山本太郎(熊蔵)石田卓也(市造)上田耕一(弥吉)ペ・ジョンミョン(太助)前田健(留吉)熊谷真実(ふさ)水野美紀(うね)西岡徳馬(丹羽長秀)渡辺いっけい(木村次郎左衛門)河本準一(羽柴秀吉)遠藤章造(堺の豪商)田口浩正(中川左内)内田朝陽(中井孫太夫)石橋蓮司(池上五郎右衛門)笹野高史(木曾義昌)夏八木勲(戸波清兵衛)緒形直人(大庄屋甚兵衛)

 

【解説】

11回松本清張賞を受賞した山本兼一の同名小説を基に、織田信長の構想にほれ込み、前代未聞の城郭要塞・安土城の築城に携わった天才宮大工・岡部又右衛門の生き様を描く時代劇。監督は『化粧師 KEWAISHI』の田中光敏。『釣りバカ日誌』シリーズなど、出演作が続く超売れっ子の名優・西田敏行が岡部又右衛門を演じる。共演は『レイン・フォール/雨の牙』の椎名桔平ら。城作りのダイナミズムを壮大なスケールでとらえた映像に注目だ。

 

【あらすじ】

織田信長(椎名桔平)から城の建設を命じられた熱田の宮番匠・岡部又右衛門(西田敏行)。又右衛門は即座に引き受けるが、建設を指揮する総棟梁は、名だたる番匠たちとの図面争いで決めるという。夢のような仕事を前に、寝食を惜しんで図面作りに没頭する又衛右門を、妻の田鶴(大竹しのぶ)、娘の凛(福田沙紀)らが支えるが……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

今は幻の安土城。

織田信長か自身のために作ったお城。

その築城にまつわる話と聞いて、とても興味がありました。

 

でも…微妙だなあ。

 

始まりの、コンペ大会は面白かった。

いずれも名だたる名匠、宮大工の名家と、田舎の宮大工の頭領岡部又右衛門(西田敏行)のコンペ。

信長の無理難題に、各者が趣向を凝らして挑みます。

そして、勝ち取った安土城の築城プラン。

 

木を切り出して製材するところから始まります。

いいですねえ。

今のように重機のない時代、すべて人海戦術で、しかも、ひとりひとりの技術力もすごいんだろうな、わくわく。

 

そうしたら、又右衛門が「親柱にする檜がいる」と、しかもその檜は木曽ー信長の敵である領地に行って、一番いい檜をもらう話、これは、史実なのかなあ?

かなり無理がある感じでした。

伊勢神宮の遷宮のための2000年の檜を譲ってもらうなんて…。

「2000年の檜を使って2000年の城を造る」という又右衛門の熱意に、山の民大庄屋甚兵衛(緒形直人)が命を賭けて惚れると言う設定でしたが。

 

でも、これも築城の逸話なので、いいことにしましょう。

 

だんだん納得いかなくなってきたのが、又右衛門の娘凛(福田沙紀)のエピソード。

凛は番匠見習いの市造(石田卓也)と恋人同士のようでしたが、市造が戦場に志願して行くとき、父親になぜ行かせたかと責めるシーンがあったけど、この時代の人が、父親に人命の大切さを訴えたりしただろうか?

あまりに現代的な感覚に、かなりしらけてしまいました。

 

その上、お百度を踏む妻とか、妻の死とか、あまりに築城に関係のない家族のドラマの展開に、ますます気持ちが離れて行きました。

 

そんなことより、職人さんの技術や苦労に重点を置いて欲しかったです。

家族の話は、あくまでサイドストーリーにとどめて欲しかったです。

 

もう一つの不満は、巨石を動かすシーン。

もう少し、スマートにやれなかったのかなあ。

何かと言えば、刀に手をかけて職人を脅かす役人。

そんなことで職人や頭領を切り捨てたら、なるものもならず、それこそ信長の怒りを買うことになったと思いました。

 

この時代、石工さんもかなりの技術者集団だったと言うことです。

このあと、大阪城の石垣に代表される技術の始まりの時代のようです。

そうそう、築城の先駆的な物語なんですよね。

もっと、盛り上げられなかったのかなあ?

 

そして、信長暗殺。

忍者!!

しかも九の一!!

ワイヤーアクション、このシーン必要なのかなあ?

これも、史実らしいんだけど…。

 

結局、あの巨石はどうなったのでしょう。

 

クライマックスは、親柱である檜を4寸浮かせて切ると言うもの。

嵐で地盤が沈下したと言っていたけど、それも、なんか拙い感じがしました。

 

でも、一族郎党のチームワークで乗り切りました。ちゃんちゃん、終!!

 

えーっ、これで終わりなの?

 

3年で落城したんですよね。

そのドラマはないの?

2000年の檜が燃えて落ちるところが見たかったなあ。

 

もっとお城が主人公の映画として、見せてもらいたかったです。

 

期待値が高かった分、辛口になりました。