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ードアーズ/まぼろしの世界ーWHEN YOU'RE STRANGE
2009年 アメリカ
トム・ディチロ監督 ナレーション=ジョニー・デップ ザ・ドアーズ ジム・モリソン ジョン・デンズモア ロビー・クリーガー レイ・マンザレク
【解説】
1960年代後半にさっそうと現われ、時代の寵児(ちょうじ)となった伝説的なロックバンド、ザ・ドアーズのドキュメンタリー映画。ドアーズ初の劇場用長編ドキュメンタリーとなる本作は、革命的なパワーを有する彼らの音楽と軌跡を未公開映像を交えながら刺激的に描き出す。監督は、『ジョニー・スエード』のトム・ディチロ。ナレーションをジョニー・デップが務める。時代を超え、今なおカルチャー・シーンに影響を与え続けるザ・ドアーズの魅力に迫る渾身(こんしん)作。
【あらすじ】
現代の音楽シーンに多大なる影響を及ぼしてきたザ・ドアーズの真の姿を追う本作は、The WHOを前座に迎えた1968年のシンガーボウルでの映像、伝説のエド・サリヴァン・ショー出演時の模様、ジャス・ジョプリンやアンディ・ウォーホルたちの交流など、リアルタイムの貴重映像の数々で知られざるザ・ドアーズの創作活動の内側に迫る。(シネマトゥデイ)
【感想】
はっきりいって、ジョニー・デップがナレーションを担当していると聞いたので見ることにしました。
でも、1960年代を描いたドキュメンタリーになっていて、ドアーズは「ハートに火をつけて」しか知らない私にも、たいへんわかりやすいものでした。
ジョニーのナレーションは秀逸でした。
ジョニーは、47歳と若いですが、この時代のことにとても興味があるようです。
「ラスベガスをぶっ飛ばせ」で、ゴンゾージャーナリズムのハンター・S・トンプソンを演じたこともあり、私も興味津々のアメリカの裏の歴史を解き明かしてくれます。
声のトーンも語り口も、とても、いいですよー。
ザ・ドアーズのジム・モリソンは中学生でニーチェやウィリアム・ブレイクを読みあさり、読破した早熟の天才でした。
父親は、海軍将校。
特典に、彼の父と妹のインタビューがありました。
あの破壊的な破滅的な歌詞の裏に、親孝行だった息子の面影を求めている父親のやさしいまなざしがありました。
お父さんのインタビューを聞いて、天才のジムの体を借りて、時代が歌わせていたような気がしました。
ジムは自分の両親の欄には「死」と書いていたのです。
このお父さんも2008年に亡くなられたということです。
あの時代、人々は権力や体制の象徴としての親を棄て、国を棄て、過去の自分を棄てでもと、自由を渇望していたのでした。
それほどまでに、求めて求めて、幻覚剤でその自由が得られると信じた人も少なくありませんでした。
ジャニス・ジョプリンもジミ・ヘンドリクスも27歳で亡くなり、ジムもまた例外ではありませんでした。
そしてベトナム戦争が終わり、薬の悪影響だけが残り、社会には棄てるほどの価値のあるものは何も残りませんでした。
棄てたいものがある時代の方が幸せだったと思えるほど。
人々の心の中には、ベトナム戦争の敗北感だけが残ったのではないでしょうか?
さらに、9.11など、悪い状況ばかりが重なり、アメリカ人はさらに自信をなくしているような気がします。
日本も、戦後ひたすらアメリカを追いかけて来て、いまだに幻想でしかないとわかりつつ、アメリカに追いすがっているような気がします。
ジムの生きた時代のアメリカの空気感が、十分に感じられるドキュメンタリーでした。
監督は、私と同い年だ!!
私もあの時代、少女ながらも新しい価値観が生まれる予感に胸が躍っていた頃を、ほろ苦く思いだしました。
ドアーズは、グループがなくなってから知ったんですが、けっこういろいろあったグループなんだね。
それに、コンサートに制服警官がうようよステージ上にいるのって異様な感じ!
時代、なんですかね~~
ウッドストックに出ていなかったのは、訴えられていたからなのね。
なんとも、せつないくらいに、時代を変えることに命を賭けていた時代なんだなあ。