マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

ブラック・スワン

2011-05-19 10:05:41 | 映画ー劇場鑑賞

ーブラック・スワンーBLACK SWAN

2010年 アメリカ

ダーレン・アロノフスキー監督 ナタリー・ポートマン(ニナ・セイヤーズ)ヴァンサン・カッセル(トーマス・ルロイ)ミラ・クニス(リリー)バーバラ・ハーシー(エリカ・セイヤーズ)ウィノナ・ライダー(ベス・マッキンタイア)

 

【解説】

『レスラー』のダーレン・アロノフスキー監督と、『スター・ウォーズ』シリーズのナタリー・ポートマンがタッグを組んだ心理スリラー。内気なバレリーナが大役に抜てきされたプレッシャーから少しずつ心のバランスを崩していく様子を描く。芸術監督を演じるのは、フランスを代表する俳優ヴァンサン・カッセル。主人公のライバルを、『マックス・ペイン』のミラ・クニスが熱演する。プロ顔負けのダンスシーン同様、緻密(ちみつ)な心理描写に驚嘆する。

 

【あらすじ】

ニューヨーク・シティ・バレエ団に所属するバレリーナ、ニナ(ナタリー・ポートマン)は、踊りは完ぺきで優等生のような女性。芸術監督のトーマス(ヴァンサン・カッセル)は、花形のベス(ウィノナ・ライダー)を降板させ、新しい振り付けで新シーズンの「白鳥の湖」公演を行うことを決定する。そしてニナが次のプリマ・バレリーナに抜てきされるが、気品あふれる白鳥は心配ないものの、狡猾(こうかつ)で官能的な黒鳥を演じることに不安があり……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

ナタリー・ポートマンがアカデミー賞とゴールデングローブ賞の主演女優賞を受賞した作品。

 

幼いときにバレエの基礎があり、徹底したトレーニングでバレエダンサーの肉体に鍛え上げたナタリー。

この作品は、自分自身との葛藤の物語で、ほとんどナタリーの表情で語られます。

演技の最高峰の受賞は、当然ですね。

 

子役から活躍して、美貌に加えてハーバード大卒という才媛。

そこに、アカデミー女優という名誉も加わりました。

さすがです。

 

ドキュメンタリータッチで描かれるニューヨーク・シティ・バレエ団に所属するバレリーナ、ニナ(ナタリー・ポートマン)の生活。

生活のすべてを、ストイックなまでにバレエに捧げている。

 

母と娘のつつましい暮らしぶり。

母もかつてはバレリーナであり、自分の夢をニナに託している。

 

バレエ団も経営が苦しい。

プリマバレリーナのベス(ウィノナ・ライダー)も盛りを過ぎて、人気も凋落している。

芸術監督のトーマス(ヴァンサン・カッセル)は、新しい解釈の「白鳥の湖」でバレエ団の再生をはかろうとしている。

彼は、ベスの引退を通告し、新しいプリマを選ぼうとしていた。

 

配役のオーディションで「白鳥だけなら迷いなく君を選ぶのに」とトーマスに言われたニナ。

途中で稽古場に入って来たリリー(ミラ・クニス)に、集中を途切れさせられたと恨みを抱く。

 

自分は選ばれないと思い詰めたニナは、トーマスに直訴した。

トーマスは激しいニナ内面をかいまみて、ニナをプリマに選んだ。

 

母とともに喜ぶニナだが、そこからが地獄の日々。

黒鳥の表現ができないとトーマスからダメ出しの日々。

それなのに、リリーは苦もなく黒鳥が踊れ、ニナの代役にも抜擢される。

 

憧れていたベラの破滅も目撃し、ますます心理的に追い込まれて行くニナ。

 

自分の中で、自分が引き裂かれて行く物語。

それをスリラーにして、ビジュアル化に成功した作品です。

 

母からの無言のプレッシャー、いままでの自分の努力した日々もプレッシャーになります。

トーマスに気に入られたい、たったひとりの女性として愛されたいと言う欲望もあるのでしょう。

ベラのようになりたくない、という思いも強いでしょう。

そして、プリマとしてこの作品を成功させて、母にも、トーマスにも、観客にも完璧を見せたい、というのが一番の願望でしょう。

 

それが、完璧に踊りたいという欲望となって、自分の中の悪魔が自分自身を苛むのです。

 

誰の心の中にでもある自分との葛藤。

それを黒鳥として表現し切ったナタリーは、ほんと、素晴らしかったです。

 

 

キャストも完璧だし、映像もきれいです。

 

ラストシーンはかなりなものです。

ぜひ、スクリーンでご覧下さい。

 

チャイコフスキーの「白鳥の湖」の曲が、まだ頭の中で鳴っていて、ブラックスワンになり切ったナタリーの表情が脳裏に浮かんでいます。

 

この映画はかなりすごいです。