ー火天の城ー
2009年 日本
監督=田中光敏 原作=山本兼一 キャスト=西田敏行(岡部又右衛門)福田沙紀(岡部凛)椎名桔平(織田信長)大竹しのぶ(岡部田鶴)寺島進(平次)山本太郎(熊蔵)石田卓也(市造)上田耕一(弥吉)ペ・ジョンミョン(太助)前田健(留吉)熊谷真実(ふさ)水野美紀(うね)西岡徳馬(丹羽長秀)渡辺いっけい(木村次郎左衛門)河本準一(羽柴秀吉)遠藤章造(堺の豪商)田口浩正(中川左内)内田朝陽(中井孫太夫)石橋蓮司(池上五郎右衛門)笹野高史(木曾義昌)夏八木勲(戸波清兵衛)緒形直人(大庄屋甚兵衛)
【解説】
第11回松本清張賞を受賞した山本兼一の同名小説を基に、織田信長の構想にほれ込み、前代未聞の城郭要塞・安土城の築城に携わった天才宮大工・岡部又右衛門の生き様を描く時代劇。監督は『化粧師 KEWAISHI』の田中光敏。『釣りバカ日誌』シリーズなど、出演作が続く超売れっ子の名優・西田敏行が岡部又右衛門を演じる。共演は『レイン・フォール/雨の牙』の椎名桔平ら。城作りのダイナミズムを壮大なスケールでとらえた映像に注目だ。
【あらすじ】
織田信長(椎名桔平)から城の建設を命じられた熱田の宮番匠・岡部又右衛門(西田敏行)。又右衛門は即座に引き受けるが、建設を指揮する総棟梁は、名だたる番匠たちとの図面争いで決めるという。夢のような仕事を前に、寝食を惜しんで図面作りに没頭する又衛右門を、妻の田鶴(大竹しのぶ)、娘の凛(福田沙紀)らが支えるが……。(シネマトゥデイ)
【感想】
今は幻の安土城。
織田信長か自身のために作ったお城。
その築城にまつわる話と聞いて、とても興味がありました。
でも…微妙だなあ。
始まりの、コンペ大会は面白かった。
いずれも名だたる名匠、宮大工の名家と、田舎の宮大工の頭領岡部又右衛門(西田敏行)のコンペ。
信長の無理難題に、各者が趣向を凝らして挑みます。
そして、勝ち取った安土城の築城プラン。
木を切り出して製材するところから始まります。
いいですねえ。
今のように重機のない時代、すべて人海戦術で、しかも、ひとりひとりの技術力もすごいんだろうな、わくわく。
そうしたら、又右衛門が「親柱にする檜がいる」と、しかもその檜は木曽ー信長の敵である領地に行って、一番いい檜をもらう話、これは、史実なのかなあ?
かなり無理がある感じでした。
伊勢神宮の遷宮のための2000年の檜を譲ってもらうなんて…。
「2000年の檜を使って2000年の城を造る」という又右衛門の熱意に、山の民大庄屋甚兵衛(緒形直人)が命を賭けて惚れると言う設定でしたが。
でも、これも築城の逸話なので、いいことにしましょう。
だんだん納得いかなくなってきたのが、又右衛門の娘凛(福田沙紀)のエピソード。
凛は番匠見習いの市造(石田卓也)と恋人同士のようでしたが、市造が戦場に志願して行くとき、父親になぜ行かせたかと責めるシーンがあったけど、この時代の人が、父親に人命の大切さを訴えたりしただろうか?
あまりに現代的な感覚に、かなりしらけてしまいました。
その上、お百度を踏む妻とか、妻の死とか、あまりに築城に関係のない家族のドラマの展開に、ますます気持ちが離れて行きました。
そんなことより、職人さんの技術や苦労に重点を置いて欲しかったです。
家族の話は、あくまでサイドストーリーにとどめて欲しかったです。
もう一つの不満は、巨石を動かすシーン。
もう少し、スマートにやれなかったのかなあ。
何かと言えば、刀に手をかけて職人を脅かす役人。
そんなことで職人や頭領を切り捨てたら、なるものもならず、それこそ信長の怒りを買うことになったと思いました。
この時代、石工さんもかなりの技術者集団だったと言うことです。
このあと、大阪城の石垣に代表される技術の始まりの時代のようです。
そうそう、築城の先駆的な物語なんですよね。
もっと、盛り上げられなかったのかなあ?
そして、信長暗殺。
忍者!!
しかも九の一!!
ワイヤーアクション、このシーン必要なのかなあ?
これも、史実らしいんだけど…。
結局、あの巨石はどうなったのでしょう。
クライマックスは、親柱である檜を4寸浮かせて切ると言うもの。
嵐で地盤が沈下したと言っていたけど、それも、なんか拙い感じがしました。
でも、一族郎党のチームワークで乗り切りました。ちゃんちゃん、終!!
えーっ、これで終わりなの?
3年で落城したんですよね。
そのドラマはないの?
2000年の檜が燃えて落ちるところが見たかったなあ。
もっとお城が主人公の映画として、見せてもらいたかったです。
期待値が高かった分、辛口になりました。