はがき随筆・鹿児島

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「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

マスク

2020-08-08 12:43:21 | はがき随筆
 強い西風の吹く夕方、運動不足解消を兼ねて自転車で墓参りに行った。走り出してすぐマスクを忘れたことに気づいたが、どうせ誰とも会わないと思いそのま走り続けた。
 走っていると何かが顔に当たる。自転車を止めて、眼鏡を外すと白い粉が付着している。バッグや服にも付いている。遠くの山々が煙っている。桜島の火山灰である。墓参りを終え、ほうほうの体で家に逃げ帰った。
 例年、2月から花粉が舞い、西風の日には火山灰や黄砂が舞う。新型コロナウイルス以前に災厄は空から降ってくる。もとよりマスクは欠かせない。
 宮崎県串間市 岩下龍吉(68) 2020/8/2 毎日新聞鹿児島版掲載

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