はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

緑のしずく 

2011-05-30 21:44:59 | ペン&ぺん
 遠い山並み。常緑樹の深い緑色。それをフロントガラス越しに眺めながら車を走らせる。
 知覧あたりに近づく。道路の左右に茶畑が見え隠れする。茶葉の緑は光るような若い緑に見える。
 一番茶の茶摘みが一段落すれば、二番茶。一年で最も忙しく、最も茶畑が美しい時期だろう。
   ◇
 毎日新聞の投稿欄「みんなの広場」に26日、神奈川県相模原市の高校生が「被災地で再び野菜作りを」と題する文章を寄せていた。
 「私の家のすぐ近くに住む祖母は野菜を作っている。私は昔から畑でとれた野菜をたくさんもらって食べていた」
 そう振り返った高校生は、東日本大震災の被災地に思いをはせる。「早く被害が収まり、農家の方がまた、おいしい野菜を育てられるように、心から祈っています」。そう投書は結ばれている。
 鹿児島面の「はがき随筆」でも、同じ趣旨の文章が24日に掲載された。出水市の小村忍さんが書いた一文。畑に植えた作物の相性に触れながら「被災地の福島周辺の畑にも早く、ナスとピーマンが植えられ、実る日が来てほしい」と祈る文章になっていた。
 緑豊かな大地のめぐみ。その大切さを今年は、例年以上に誰しもが感じるのではなかろうか。
    ◇
 知覧を訪れたのは、読者へのプレゼントコーナー「贈!」の取材のためだ。宮原製茶工場(南九州市知覧町郡)にうかがって、農薬や化学肥料を出来るだけ使わない特別栽培の上煎茶を提供していただくことになった。
 掲載は6月上旬の予定だ。商品を撮影し、お茶をいただいた。ほっとする味わいだ。
 お茶の箱に書かれたキャッチコピーを読み、ひとりうなずいた。「緑の香り 緑のしずく 大地のくれた贈り物」
  鹿児島支局長 馬原浩 2011/5/30 毎日新聞掲載

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