はがき随筆・鹿児島

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「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

駅伝

2015-11-26 12:41:59 | ペン&ぺん
 

 4日に指宿市であった県高校駅伝競走大会。男子は鹿児島実業が終始安定したレース運びで18年連続の優勝を果たした。女子は鹿児島女子が神村学園を破って初優勝を遂げた。さらに15日の全九州高校駅伝で、4位に入った女子の樟南が地区代表として都大路への切符を手にした。県勢としては男子の鹿児島実業、女子の鹿児島女子、樟南の計3校が12月20日、京都市である全国大会に出場することになる。
 鹿児島女子は、昨年まで28回を数える女子の県大会の歴史の中で13回も準優勝に甘んじてきて、今回ようやく手にした優勝旗。ゴールの競技場は歓声があふれた。一方、敗れたとはいえ神村学園の追い上げも見事だった。1区はトップと1分差の4位だったが、4.5区の区間賞を含む力走で、鹿児島女子と24秒差まで縮めて2位に入った。
 都大路である全国大会は毎日新聞が主催者の一つ。私も3度ほど取材に訪れたことがある。
 ある年、何度も優勝経験がある福岡県の男子チームを担当した。選手の一人が大舞台の直前に体調を崩したのだが、監督はあえてオーダーを変更しなかった。優勝候補といわれながら、結果は8位。選手交代を考えなかったのかとレース後に聞くと、ベテラン監督は「負ける年もあるのがレースだ」とひょうひょうと答えた。負けはしたが、選手を信じて任せた監督の選択が印象に残った。そしてチームは翌年、見事に優勝を果たした。
 佐賀県の女子チームを担当した年、事前取材で合宿所を訪れ、監督とまちに飲みに出た。店にいた客が次々と私たちのテーブルに来て、監督に激励のビールをついでいく。地域住民の多くが選手の力走を祈っている姿を目の当たりにした。
 大会本番まであと1ヶ月足らず。チームのために懸命に走ってタスキをつなぐ。都大路での県勢の走りに期待したい。
  鹿児島支局長 西貴晴 2015/11/25 毎日新聞鹿児島版掲載


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