はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

耳飾り

2014-02-01 12:48:06 | はがき随筆
 ケースを開けると思い出のイヤリングが入っていた。あるコンクールで受賞した時に夫からのプレゼントだった。
 「お祝いに何か」と夫に勧められ、1人でデパートへ出かけた。ショーケースの中に見たのは淡いブルーとピンクのマベ貝のイヤリングで光沢があった。
 「わーすてきですね」と言いつつ、見た正札に頭がくらくら。これはとてもムリだと諦めかけた時、「お取り置きしましょうか」と言われた。
 そしてその商品がお祝いの贈り物となった日の事を思い出す。亡き夫の愛を感じつつ、耳飾りをつけて鏡に向かってみた。
  鹿児島市 竹之内美知子 2014/2/1  毎日新聞鹿児島版掲載

遠い日の正月

2014-02-01 12:25:46 | はがき随筆
 コドンの頃、ショガツは「マコ回し・タコ揚げ」など楽しかった。一番の思い出は、母方の実家での「ショガッデ」。親戚一同での賑やかな宴。無口な父ちゃんが「チッタ ヨクロタド」とテコ、シャンセンに踊り出すと宴は最高潮。父ちゃんがショチュは「2合までがダイヤメ。それ以上宴会」と言っていたので、僕はこら! なごなっどお~と「ゴッソ」に夢中になっていた。他にナンカショガツ、鬼火焚きホダレヒキなどと正月気分があったが、31日の「送り正月」で正月もこれで終わる。風情のあったあの正月を今でも懐かしく思い出す。
  さつま町 小向井一成 2014/1/31 毎日新聞鹿児島版掲載