はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

「隠し昧」

2012-05-15 21:29:53 | 岩国エッセイサロンより
2012年5月15日 (火)

岩国市  会 員   吉岡 賢一

みそ汁に浮かぶ青い小さな葉っぱ、この季節ならではの味わいが朝から元気をくれる。

そんな木の芽どきになると、我が家流の岩国寿司が何度となく食卓を飾る。私の母から受け継いだ伝統の味は十分クリアしていると思うのに、さらにひと工夫。風味豊かな木の芽を寿司の表面に散りばめ、旬の味に仕立て上げる。この味は隣近所にも喜んでもらっている。時には寿司がタケノコに化ける。タケノコが木の芽あえに姿を変える。

何十年変わらず作り続けるかみさん。「うまいね」だけでいいのだろうか、と時々……。

(2012.05.15 毎日新聞「はがき随筆」掲載)岩國エッセイサロンより転載