月下美人 2008-11-03 08:16:59 | はがき随筆 日が沈んで間もなく、カミさんがうれしそうな声を上げた。 「月下美人が今夜咲きそう」 重そうなつぼみが二つ、地上30㌢くらいの所にこちらを向いていた。 夕食も済み一息ついた午後9時ごろ、見に行ったらもう咲いていた。光の届かない暗闇から、上品な香りが漂ってくる。 ところがカメラのファインダーをのぞいても姿がみえない。カミさんに懐中電灯で照らしてもらってシャッターを押した。 暗い夜の庭に、一晩だけ咲く月下美人が2輪……。空には、上限の月から3日後の少し膨らんだ月が昇っていた。 西之表市 武田静瞭(72) 2008/11/3 毎日新聞鹿児島版掲載 写真は武田静瞭さん提供