清水宏監督『風の中の子供』

2011-07-04 21:50:32 | 塾あれこれ
山田洋次が選ぶ100選は清水宏監督の
『風の中の子供』でした。

坪田譲治の原作を戦前に映画化しています。
多分、原作が発表されて間もないころでしょう。

今では有名な原作ですが当時はどうだったのかなあ?
それほどでもないとすると清水宏の批評目も鋭い。

坪田譲治の世界をとても上手く映画化している作品
ですね。ストーリーだけを追うわけではありません。

映画でしかできない表現で原作の世界を再構成するのは
相当な才能が必要でしょう。

叱られるかもしれませんが、もし清水監督が早世して
いたら、早くに有名になっていたでしょう。


小津とはほぼ同い年ということですが、年齢が近い監督
としては外国にヒッチコックやジャン・ルノワールがいます。

今回久しぶりに清水の『風の中・・』を見た印象は
ジャン・ルノワールのビビッドな世界に似てるなあ。
(私はルノワール大好き!)

『風の中』が1937年の映画で、ヒッチコックは渡米する前。
彼は『バルカン超特急』を38年に撮っています。

ルノワール(=あの印象派のルノワールの息子)は
36年に『ピクニック』39年『ゲームの規則』ですから
清水も同時期、それらに負けない作品を作っていたのですね。

国内でいえば小津が37年『淑女は何を忘れたか』
これは残念ながら数段映画の出来が落ちます。
この年は山中貞雄の『人情紙風船』が有名です。


昔の映画ですから制約が多い中、いかにして「らしい」
シャシンを撮るかは大きな課題です。

清水監督はロケや移動撮影を自在に駆使して
伸びやかな日本を見せてくれます。
昔はこんなに美しい日本もあったのです!

盛り上がる場面でカメラが前方に移動する、まるで
ヒチコックのような撮り方をしていたり
スラップスティックのようなカットをしたり
自在ですが決して外国カブレでないところがgood

中でもサーカスの場面。
見世物小屋としての入り口の空気=イッパツで伝わります。

猥雑で魅力的で美しく、かつ悲しさもある
そんな世界をワンカットで見せるなんぞ
・・もう息ができないほどでしたね。


いや、書くことがたくさんありそうですが
今日も忙しいので、また、ね。

PS
トラックバックをしていただいちゃった。
ラベル、結構良い出来ですね。

それにしても凄いブログ
近ごろ珍しく感心しちゃった。