文春新書『旗本夫人が見た江戸のたそがれ』
深沢秋男著
副題は(井関隆子のエスプリ日記)です。
幕末、十一代将軍家斉~天保の改革のころに
江戸九段坂下に住んだ旗本の奥方、井関隆子の
日記を紹介していただける本です。
かなり余裕がある生活を送られたようですね。
350坪のお屋敷だそうです。
上流社会に入るかどうかは分かりませんが
一般庶民とはレベルが違っていたことは事実でしょう。
上流?とはいえ、江戸時代の人々が生き生きと甦ります。
例えば、花火見物。
本の中でも詳しく紹介されています。
現代では想像もつかないほど人々の心を掴んだ花火の
イベントに、隠居生活の人間でも筆が躍動しています。
楽しみが多い現代人と、ふだんは楽しみが多くなかったが
落差の非常に大きな楽しみを持てた江戸時代の人々と
本当はどちらが幸せなのでしょう?
○
著者の深沢秋男さんは、日記から読みとれることとして
「井関隆子には(近代の眼差し)がある」と書いています。
西洋の人の日記としても読めるような、個人の独立した意識が
あるようですね。
人の歩みは洋の東西を問わず同調するように発展する面がある
比較文化史的にそう言えるのではないでしょうか。
もちろん日記には心に浮かんだ和歌を書きつけるなど
古来の「和のこころ」も豊かです。
であるからこそ西洋に通じるほどのセンスを持ちえたとも
言えるのですね。
○
人脈のおかげで井関隆子は徳川政権の裏事情や大奥の様子
などをかなり正確に知ることができたようです。
将軍家斉没後の人事や天保の改革の実態など、
この日記を通して新しい歴史が開けそうだとのこと。
「書くということ」それ自体に自己を見出した隆子は
期せずして後世の役に立ったのです。
深沢秋男著
副題は(井関隆子のエスプリ日記)です。
幕末、十一代将軍家斉~天保の改革のころに
江戸九段坂下に住んだ旗本の奥方、井関隆子の
日記を紹介していただける本です。
かなり余裕がある生活を送られたようですね。
350坪のお屋敷だそうです。
上流社会に入るかどうかは分かりませんが
一般庶民とはレベルが違っていたことは事実でしょう。
上流?とはいえ、江戸時代の人々が生き生きと甦ります。
例えば、花火見物。
本の中でも詳しく紹介されています。
現代では想像もつかないほど人々の心を掴んだ花火の
イベントに、隠居生活の人間でも筆が躍動しています。
楽しみが多い現代人と、ふだんは楽しみが多くなかったが
落差の非常に大きな楽しみを持てた江戸時代の人々と
本当はどちらが幸せなのでしょう?
○
著者の深沢秋男さんは、日記から読みとれることとして
「井関隆子には(近代の眼差し)がある」と書いています。
西洋の人の日記としても読めるような、個人の独立した意識が
あるようですね。
人の歩みは洋の東西を問わず同調するように発展する面がある
比較文化史的にそう言えるのではないでしょうか。
もちろん日記には心に浮かんだ和歌を書きつけるなど
古来の「和のこころ」も豊かです。
であるからこそ西洋に通じるほどのセンスを持ちえたとも
言えるのですね。
○
人脈のおかげで井関隆子は徳川政権の裏事情や大奥の様子
などをかなり正確に知ることができたようです。
将軍家斉没後の人事や天保の改革の実態など、
この日記を通して新しい歴史が開けそうだとのこと。
「書くということ」それ自体に自己を見出した隆子は
期せずして後世の役に立ったのです。