9600キット組立㉞デフ作成

2018-06-23 | 鉄道模型
69620に「北海道切詰デフ」を付けます。

(私の世代には結構多いと思いますが)
私は切詰デフが「好き」です。
9600の切詰デフは特別に好きです。


昭和49年4月24日、日豊本線南宮崎電化が成り、九州の蒸機が壊滅状態になりました。

私の好きな門デフC57は全滅。(C57175だけ生き延びました)

私の友人の中には北海道蒸機に目も向けず足を洗った者も居ます。
(その者の当時の写真と記事が国鉄時代最新刊№54に載っています)

私も「鉄道写真撮影趣味」をやめてしまう可能性がありました。

当時は動画屋イモンは居ないです。
(ただの17歳の「並」の鉄ちゃん;イモン)
スチル写真なら既に居る数多の“凄腕”に任せて充分だったのです。

今にして自分を振り返ると「使命感」に影響されています。
「燃える」為には使命感が必要なのでしょう。
でも、この時代のイモンには使命感はありません。

理屈抜きの「好み」だけで動いていました。



昭和49年春の終り、何故かデフを切り詰めた9600の姿に惹かれてしまったのです。



この時点での好きな蒸機2つ

① 門デフC57

② 集煙装置付D51(重油タンク付は尚良い)

その時点でのイモンの気持です。
「加太」「中央西線」が終わってD51への興味は終了。(集煙装置無し=×)
(残るは「煙」・・・中国の前進形同様です)

門デフではないC57に興味なし・・・切詰デフかどうかは意識にも無し。

C55に興味なし(・・・模型発売中の身ですが)

① D60やC51、9600,8620の門デフ同様、違和感が感じられます・・・機関車が古典的、デフが近代的で似合うとは思えませんでした。
(それも有ってか? C55標準デフ>C57標準デフ)

② C55はスポークじゃない、水掻付スポークです。 水掻動輪>ボックス動輪と思えません。

その後独逸01のスポーク処理法を見て日本の水掻付スポークに「サイテー感」増大。
(01のスポークにではありません。 スポークの処理法です)
前日投稿のゼロイチの写真でも日本人が知らなかったスポーク処理少しだけ分ります。


いっぽう9600に関しては「デフ無し」が一番、「標準デフ」も「門デフ」もまあまあ・・・だけど興味の外でした。
(9600と言えば唐津線でした)

(今だからそんな推理をしてみせるのですが)
日本の蒸機はボイラーが貧弱で、概してデフに負けるのです。
(門デフC57と重装備D51は良いバランスと思う)
(C53はもっと良い。 C51も装備感が良い)
(C62などデフ前上端「斜めカット」は納得できない)

デフが小さくなった9600が本線で活躍している例が北海道に多いと知って、その姿に惹かれて北海道行って見てみたくなりました。

北海道で9600の路線を訪ねてその風情も含めて益々好きになりました。

(→それが鉄道と縁が切れない今のイモンに繋がりました)

特別な感情をもって思い返すのが“湧網線”“天北線”“名寄本線”“興浜北線”“宗谷本線”“深名線”です。


現在のイモンの特別好きな蒸機は3つ

*門デフのC57
*北海道切詰デフの9600
*ワグナーデフの01

特別美しいと思う蒸機は

*ワグナーデフの05
*バイエルンのS3/6
*LNERクラスA1、A3
*米国の4-8-4
*10t前後のコッペル機


でも、蒸機は蒸機であるが故に全て好ましい!美しい!大好きです。

話が逸れまくりですね。


IMONの9600用切詰デフBと点検蓋セットを使います。

点検蓋セットは「こんな感じ」のいろいろ集積なので“J”(1/80;16番とJM等13mm)でも使えると思います。


ランナーから切り離す前に裏の補強を半田付けせよと書いてあるので使い終わったカッターの歯を利用して位置を合わせます。


マスキングテープでの固定をカッターによる位置決めを直すごとにするごとに貼り直して正確を期します。


所々にハンダの欠片(つぶ半田)を置いて半田付けします。

少し多すぎに感じますね。 まあいいか。


あまり熱を加えると変形しそうなので慎重にやります。

エッチング抜きの細い「補強」を守る「ランナー」がちょっと近すぎで、そこに半田が流れたら大変なので・・・


ここから先はランナーを切り落とし・・・


また使い終りカッターでデフの折り目を付けてから


ハンダを流しました。


キサゲた後です。


点検窓;丁度良いのがありました。

実物は扉の閂というか取手がデフの縁に乗っていますのでその様にします。

ハンダがよく流れてくれるようにデフの表面を磨いてあります。 キサゲ刷毛が非常に役立つ時です。


この洋白の点検扉は取り付けることによってデフの強度も何倍かに成りそうなので充分にハンダを流し込むことにします。


流しました。

裏の補強と違って真っ直ぐ十分な力で固定しながら流せるシチュエーションなので裏より少し高温で流しました。


ボイラーからデフを支えるステーの一つがデフ裏の補強と干渉しますのでその長さ分慎重にヤスリで削り去ります。


出来上がりです。

デフには吊上げ用の穴が開いています。 開けました。

工場でデフを吊上げるとき、吊り下ろして取り付けるとき、真っ直ぐの上下出来るように重心の真上に穴が開いているのが「一つ穴」です。

IMONの9600用切詰デフBは「左側エアタンク=前」の機関車用ですが、69620の左エアタンクは「もっと前」なのでエアタンク前の細いデフ部分を切り落としてあります。


蒸し返す話なのですが、私は日本の近代的制式蒸機に多く見られる前上縁を斜めにカットしたデフは良くないと思います。
デザイン上は「サイテー」と言って良い失敗だと感じています。

具体的にはC11、D51、D52、C54,C58、C59、C60、C61、C62です。

D51切詰デフとC58切詰デフはその欠点が無くなっただけでずいぶん精悍で格好良い機関車になったと感じています。
(デフのボリューム自体が相対的に小さくなった事も有るかもしれませんが)

9600に惹かれてやってきた北海道で、北海道のD51やC58を見て、こんなに好ましい姿だっけ?と徐々に気が付いて行きました。

特にC58は良くなりましたね。



実は、日本の蒸汽機関車のデフは役に立っていなかったんじゃないかと感じています。

日本蒸機のデフは独逸のワグナーデフとウィッテデフを真似したものです。

ところが、肝心なところが解らなかったので両方とも完全な間違いなのです。

(1)標準デフ(ワグナーデフ;ドイツ語ならワグネル)

ランボードに密着して機関車前部から煙突後方まで屏風形の板を立て、走行時に前から屏風と屏風の間に取り込んだ空気の力で煙突排煙が運転席前方の視界を遮って信号視認を支障することを防ごうとするモノです。

実物のワグナーデフは前端が車体幅いっぱい、後端は窄まって必ず空気が上に逃げる様になっています。
角度は運転席前窓中央から前方を見てデフの厚みが感じられない様になっています。

写真で示せないのが残念ですが実物に近づいて観察すれば一目で解ります。

日本の標準デフはテキトーにそれらしく真似ただけで理屈は解っていません。


(2)切取デフ、所謂門デフ(ウィッテデフ)

第二次世界大戦で世界を相手に戦争することになってしまった独逸では極力鉄資源を使わずに蒸汽機関車を大増産する必要に迫られました。
「デフレクター省略」と併せて検討され、結局採用されたのがこのウィッテデフです。

風洞実験で開発された最小限の鉄で信号視認を確保する除煙板です。

ボイラーから脚を生やし、ボイラーから等距離同心円になるように作ります。
そしてキャブ窓から見えない様に後側をすぼめます。
ボイラーからデフまでの距離はボイラー径に関わらず各機一緒です。
すなわち、42や44形ではデフ外側までの寸法が大きく、50、52形では小さくなり、車体幅よりかなり内側にデフがあります。

日本のデフはそれらしく真似ただけです。

独逸のウィッテデフは機関車前部からデフを手摺にデフの外側を通って中央部へ、運転室内へと行けるのが超効果的作業性UPになり、例外(ドレスデン、ベルリンに残った原形タイプ01)を除いて全機ウィッテデフに交換されてしまいました。

残念です。 でも作業性に差があり過ぎで仕方が無いです。

こういったことは、私の好みとは全然関係の無いことですが、一部の日本の近代的制式機デザインを残念に思う気持ちを助長増大させます。