机の上がごちゃごちゃで、部屋の中もごちゃごちゃ。
私とてごちゃごちゃが好きなわけではない。部屋の中も机の上も、さっぱりと小綺麗に片付いていたほうが、気分がいいに決まっている。
にもかかわらず、いつもごちゃごちゃなのだ。つまり私は、片付けが大の苦手。ダイッキライなのだ。
かつては孫が「お泊まり」にやってきた。「お泊まり」に来る孫の手前、その都度、私は部屋と机の上を片付けていた。祖父の体面があった。
二人の孫が中学生になったら、お祖父ちゃんを訪ねてくるチャンスが激減。つまり、勝手に大人になって、お祖父ちゃんは捨てられた。
カミさんに捨てられ、孫に捨てられ、カノジョに愛想づかしをされ、さてさて………?
現在、私の机の上には、ペン一本すら置けない。いろいろなもので脹れている。
片付けを始めてみたが、とんと気合いが入らぬ。気合いと呼吸が続かなiいので止めた。
ある文庫本が読みたかった。書庫をはじめ他の部屋も探したが見つからない。子分と思っていた文庫本一冊ですら、私に反抗的なのだ。
嫌われたらしい。
さあ殺せ寂しがりやの悪茄子 ひよどり 一平
(さあころせさびしがりやのわるなすび)