新・ほろ酔い気分

酔っているような気分のまま、
愚にもつかない身辺雑記や俳句で遊んでおります。
お目に留めて下されば嬉しいです。

胸にすむ人

2016年01月24日 11時06分33秒 | 名句で勉強

    わが胸にすむ人ひとり冬の梅    久保田万太郎

 まえがきに、「ひそかにしるす」とあります。

 すでに会えなくなった人に対する思いなのでしょうね。

 小説家であり劇作家でもある万太郎なので、「虚」であっても不思議はない。

 しかし、「実」なのだそうです。

 あの久保田万太郎の胸の中に、思い人がひとり住んでいたという。

 寒さの中で咲く梅の花との取り合わせによって、「胸にすむ人」に対する万太郎の清冽な心情が偲ばれます。

 私もこんな句に憧れます。

 「いっそのこと、胸の中に誰か棲んでもらおうか」

 そんな段取りを企むようでは、心を打つ佳句は生まれっこありません。

 

コメント (4)
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