過日、書店の本棚を眺めていて、「はじめての不倫学」(坂爪真吾著)という新書が眼に入った。
副題として、「社会問題として考える」とあったので、つい読もうという気分になった。
私自身が不倫を目論んでいるわけではないし、そんな自信もない。
不倫を「道徳や倫理」の観点から論じるのではなく、社会問題として論じようということに興味を持ったのだ。
『不倫は家庭の破壊に繋がり、家庭の破壊は貧困に繋がりかねない。貧困を少なくするためには、不倫を防ぐべきではないか!』
ざっくり言えば、著者の論点はそんなところにあったようだ。
読み進むうちに、幾つかの点に興味を持った。
男性が考える不倫防止策は、異性関係の分散や多角化なのだそうだ。
言い方を替えれば、「異性との関係を、分散・多角化すれば、深い関係にはならないはず」という論だ。
一般論で言えば、多角化は難しい。そんな冷静さや理性があれば、不倫はしないのではないか。
それよりも、多角化や分散化など出来っこない。おそらくこれは論倒れだ。
女性との交際を分散・多角化できるほどの男は、不倫すらも分散・多角化できるはず。
不倫トラブルによる悲劇を防ぐためと言いながら、不倫の分散・多角化になるリスクがありそうだ。
まあ、その点私としては、一人ですら覚束ないのだから、分散・多角化はムリ。
しかも、「リスクがあるからこそ、不倫は刺激的なのだ」という一面もありそう。(不謹慎ながら、密かな願望?あり)
いずれにしても、男女の問題は一筋縄ではいかない。
こんな味気ないことを言っているから、鴛鴦の句が詠めないだ。
私はひよどり。所詮、おしどりの気持ちは分からないのかもしれない。
写真は2012年2月東武動物公園にて撮影のおしどり。
鴛鴦のそれぞれ違う眼の運び ひよどり 一平