あの人、ほんとに寒がりなのですよ。
まだ11月の半ばなのに、「寒い、寒い」って、まるで年寄りみたい。
もっとも、考えるまでもなく、すでに十分にお年寄り。ハッパをかけちゃァ可哀想なのかなァ………?
でもねぇ、百歳を越えたのならベツだけれど、まだ80歳。老け込む歳じゃァありませんよねぇ。
だから、アタシはいつも、「歳だからなんて言わないで!」って言っているンですよ。
言われた時は、「そうだなァ」って、モゾモゾと少しは力んで見せるのです。そこはとても可愛い。
しかし、それもカラ元気。
5分も経たないのに、「年寄りには寒さが堪えるなァ………」なんてボヤキます。
「ボヤキはクスリの一つ」と言う人もいますが、アタシはそうは思わない。クスリなんかじゃない。
ボヤキは自分の気持ちを萎えさせ、周りの人まで引きずり込みます。
カラ元気でもいいから、勢いのある言葉が欲しい。私はあの人のそんな勢いが好き!
いつまでもいつまでも、そんなあの人であって欲しい。
この猫ちゃん、先日、谷中付近で見かけたのです。
すっかり着膨れて、しかし神経はピリピリ。可哀想なほど。
もっとゆったりと生きたらいいのになァって思いながら、パチリとしたものです。
着膨れて可も不可もなきこの世かな ひよどり