今日は平成22年3月3日の雛祭りです。
15年後のSちゃん、今年のお雛様は、あなたが一人で飾り付けをしたのですか。
それとも、お父さんと一緒に飾ったのでしょうか。
例年は、お父さんとお祖母ちゃんが飾っていたのですが、今年は、私たちが手伝わなくとも、すでに出来上がっておりました。
お祖母ちゃんが腰痛だったので、お父さんが一人で飾ったのでしょうね。
あなたのお母さんは、初節句の数ヶ月後、病気で亡くなってしまいました。
だからあなたには、お母さんと一緒の雛祭りが、記憶にないと思います。
残っている写真では、お父さんとSちゃんの二人が写っています。
あなたはどの写真でも、ニコニコと「V]サインをしてくれていました。
もうあなたは20歳。どのようにして写真に写っていますか。
私が元気なら、当然私はカメラマン。
90歳を越えたカメラマンなので、きっと頼りなくなっているかもしれません。手が震えて、「手ブレ補正」では間に合わないと思います。
去年の雛祭りに、私は俳句を詠みました。
今宵こそ誰(た)ぞであれかし雛の客
「お雛祭の宵であればこそ、幻でいいから、お母さんに来て欲しい」
そんなつもりの俳句でした。
今年も詠もうと思ったのです。ところが、一句も詠めませんでした。
雛祭りの句は、当分の間、私には作れません。
15年後のSちゃん。この句が、15年前に詠んだ私の俳句です。
来年になれば、新しい俳句ができるかもしれませんが、今年は、去年詠んだ句を残します。
今宵こそ誰ぞであれかし雛の客 鵯 一平
(こよひこそたぞであれかしひなのきゃく)
15年後、「お祖父ちゃん、どうしてこんな俳句を作ったの?」と、あなたと笑い合えることができるでしょうか。
今日は15年前の雛祭りでした。
Sちゃん、15年後のSちゃん。
思うところがあって、春のお彼岸を最後に、あなたへの手紙は終わりにします。
その後は、別な形で何かを残します。
別館として、写真俳句ブログの「ひよどり草紙」を開いてます。
ご覧いただけると嬉しいです。
→ こちら