わが家では、今朝早く送り火を焚きました。
送りの白い烟に乗って、Sちゃんのお母さんが、「遠いお空」へ戻って行きました。
おじいちゃんとお父さんが手を合わせていたころ、Sちゃんはまだ寝床の中。
Sちゃん、あなたは、「お母さん、遠いお空にいるの」、と思っています。お父さんからそのように聞いているからですね。
ご本を読んだり、遊んだりしているとき、「これはね、クマさんのお母さんなの」とか、「これはメダカのお母さんよ」と、よく言っています。
今のあなたには、子供がいてお父さんがいてお母さんがいることを、十分に理解しているようです。
また、お友達のお母さんの存在も知っています。
そんなあなたは、自分のお母さんが遠いお空にいることを、どのように思っているのでしょうか。
いつごろになったら、本当のことを知るのでしょうか。
今回、あなたがわが家へ来たのは8月8日の午前中でした。私とおばあちゃんが迎えに行ったのです。
それからのあなたは、わが家の小さな女王様。
おじいちゃんにとっても極楽でした。
だから、「あーあ、極楽、極楽」と言っていたのです。
お食事もお散歩も、入浴もトイレも、みんなおじいちゃんの役目。
勝手気ままに振る舞うあなたなので、そりゃあ大変だった。
「我が儘にしてはいけない」とは思いながら、お母さんがいないSちゃんを思うと、私には叱ることはできません。叱るのはお父さんの役目と決めていました。
今日16日は、あなた達の帰る日。
さっきあなたは、お父さんと一緒に、タクシーで帰って行きました。
窓からこちらを見ていたSちゃん、にこにこ笑って手を振ってくれた。正直のところホッとしましたよ。
この前までは、別れ際が淋しそうだったので、私もおばあちゃんも、とても辛かった。
今日、Sちゃんが笑ってくれても、私はやはり涙がこぼれそう。やっぱり、別れるのは辛いんだよねえ。
おばあちゃんも同じでした。目には涙がいっぱい。
来週はまた会えるのに、ダメなおじいちゃんとおばあちゃんなのです。
Sちゃん宛のこの手紙を書きながらも、涙がにじんでしまうのだから、年寄りは変だねえ。
15年後にこの手紙を読んでいるSちゃん、あなたのそんな15年前を思い出せましたか。
夕べのSちゃんとの花火で、私の夏は終わりました。
もう今日からは、どんなに暑くとも、私にとっては秋です。
この手紙を読んでいるSちゃん、これが15年前8月16日のあなたでした。
15年後の今、私はどんな姿でいるでしょうか。
送り火の烟に乗って、空へ戻っているのでしょうか。
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