亀は声帯など鳴くための器官がなく、鳴かないのだそうだ。
しかし俳句の世界では、「亀鳴く」を春の季語としている。
藤原為家が「川越しのみちの長路の夕闇に何ぞと聞けば亀ぞ鳴くなる」と詠った。
朦朧たる夕暮れ、どこからともなく聞こえてくる声を、「亀鳴く」とおかしげに捉えたことから、俳諧の世界でもてはやされ、「亀鳴く}が春の季語として定着した。
遊び心から発した想像の世界である。
先日の散歩の途中、池の中央に築かれた小島に昇った亀が、甲羅干しをしていた。
首を空に向けて突き上げ、鳴き声をあげているようにも見えた。
声帯がないのだというが、鳴いている姿と見ても不思議はない。
池の表面には、春のもやっとした空が映っていた。
私には不得手な想像力の世界。
面白い亀の姿に触発されて詠んだ次第である。
池の面に空を映して亀鳴けり 鵯 一平
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