写真は11月27日の日比谷公園。また出しの風景です。この赤はあまり変化なしです。
昨日出会ったJR電車のシーンです。
少し甘えて、「優先席」に座りました。
隣には、私より年下の老人。競馬か競輪の新聞記事を読んでおりました。
3人掛けのその隣の席には、20代前半の男性が座りました。座る前から、携帯電話で話をしていたケシカラン君でした。
私は、チラリとケシカラン君を見ました。でも、注意する気にはなりません。注意するのは厭です。いい結果にはならない予感があったからです。
年下老人もケシカラン君に目を向けましたが、黙したままです。
ケシカラン君の電話は、遠慮しながらの小声でした。でも、辺りには聞こえます。
やがて電話が終わりました。ヤレヤレです。
ところが再び電話をかける仕草をしました。つまり、指先でピコピコ始めたのです。
年下老人が怒りました。
「止めろ!」と、一喝です。
「………?」
ケシカラン君の顔に、怪訝そうな表情が浮かびました。怒鳴られた意味が、理解できなかったのでしょうか。
「ここは優先席だ。ケイタイの電源を切れって書いてあるじゃないかっ!」
「………?」
ケシカラン君は黙ったまま、年下老人を見つめていました。まだ状況理解に達していない様子でした。
「オレの胸にはキカイが入っているんだ。ケイタイを使うと、オレは死ぬぞ。オマエ殺人だぞ!」
年下老人の言葉は、簡潔で単刀直入でした。
「あっ、ゴメンナサイ」
ケシカラン君は小さい声で詫びました。理解出来たのでしょう。そしてコソコソと消えました。
やはり、見た目には気分のいいものではありません。
しかし、年下老人の勇気には感心しました。
私にはそんな勇気はありません。どうせ結果は知れているので、注意しません。いえ、正直に言えば、注意する気持ちになれません。こちらが不愉快になるのがオチです。
かつては私も注意したことが幾度かありました。結果は良くなかったのです。イヤな気分になっただけでした。
それからの私は、見て見ない振りを決め込むことにしたのです。
そんな私だったので、年下老人の言動には驚きました。
有無を言わさない断固たる姿勢でした。ギャンブル新聞を読んでいる人とも思えない。
ではありますが、やはり釈然としない感じは残りました。
スゴスゴ消えた若者が気の毒にも思えたのです。
携帯電話についての注意事項は、繰り返し車内放送で流れています。
優先席の窓には、はっきり書いてあります。
しかし、なぜか従わない乗客が沢山おります。
もはや日本語が通用しない有様です。
日本国中で色々なものが毀れ始めています。
こんなこともその一つかも知れません。