農を語る

自然にやさしい不耕起栽培

「西出式」農法におけるボカシづくりに教えられる

2020-02-01 09:59:58 | 日本不耕起栽培普及会

昔からボカシ肥を作ってからアンモニア臭がすることがあるがあまり気に留めていなかったがこれは失敗作であることを知らなかった。改めて自分の愚かさを知ることになった。有機栽培農家はこの点を見逃していたことになる。アンモニア態窒素が植物体に吸収されて含量が多くなり人体に障害が発生する。作物もそのために虫に食われやすくなり、病気にかかり早く腐ってしまう。こうした現象を知ってはいたが、それを防ぐのにはどこに注意すればいいのかそこを教えてくれる人はいなかった。西出さんはそこを丁寧に語っていた。ボカシの米ぬかが発酵するときの発酵温度が50度を超えないことであった。その時毎日、毎日移植ごてを使って攪拌し発酵温度が50度以下で1か月間旅行もせずやり続けることである。現代社会でトラクターやスコップ、あるいは撹拌機がある時代に移植ごてを使っての作業は時代遅れの感がある。おそらくこうした時代感覚のズレがこの技術のすごさを見逃された結果だろう。あるいは有機農業を正しく発展させることができない原因を作っている。

本物の酒造りで麹造りの技術にしても原料の米作りから農薬を使わず化学肥料を使わず、有機であってもアンモニア態窒素まで排除できる技術は限られているだろう。西出さんの技術は本当に数少ない選別された本物の技術ということになるだろう。この本を書かれた手島奈緒さんの努力に敬意を送りたい。ありがとう。