JAZZを聴きながら ふたたび

恥も顧みないで再々開、よろしければお付き合いを

陶酔の一日

2006年07月17日 | a-c

「コルトレーンのトレードマークは、完全への無慈悲なまでの探求を物語る、彼独特のサウンドにあった。たとえ急進的な抽象の世界にあっても、そこには燃えるような情熱と生命が息づいていた」-ナット・ヘントフ-

はやいものです、また7月17日がやってきました。私が愛してやまないジョン・ウィリアム・コルトレーンの命日です。死に至るまでの経過は昨年の「他に類無き者」で記事にしましたので、ここでは省かせていただきます。

朝から雨模様の今日は、私なりにコルトレーンの世界に没頭するには、格好の休日でありました。昨年は、古い録音からのマラソン聴きというのをやってみましたが、今年は晩年を主軸に、合間に旧作を入れるといったかたちで聴き込みました。(さすがの私も晩年オンリーは、ちとキツ過ぎますので)

「コルトレーンの何処がそんなに良いの?」と訊かれることがあります。好きなものに理屈なんて無いでしょう?!
何処がいい、何がいいではなくて、聴き込むにつれ空っぽになっていく頭の中、そこへ鳴り響く彼の叫びは、何かを私に訴えかけてきます。それは、彼の訴えのはずなのに、自問を繰り返す自分自身の訴えにもきこえる、これがなんだかとても疲れる、ところがその疲れの中に他の音楽では味わえない心地よさが生まれてくるんです。
私はひょっとするとマゾなのか?


コルトレーンの妹、メアリー・アレキサンダーが小さいときのコルトレーンの話として、
「ジョンは、いたずらをしたり悪ふざけをしたりする、普通の子供でした。-中略- ある日曜日、教会の行事が終わった後、会衆が立ち上がり、教会の扉を開けました。メソジスト派の教会では、牧師の説教が終わって人々が椅子から立ち上がり、教会と一体となることを、”教会の扉を開ける”と呼んでいました。その日小さかったジョンは、突然立ち上がり、”教会の扉を開けた”のです。なぜ立ち上がったのかはわかりません。」
と話しています。
コルトレーンは、ノースカロライナのこの教会で立ち上がったときから、生涯なぜ立ち上がったのかを追求し続けたのかもしれません。

私は、宗教観や信仰心といったたぐいのものを持ち合わせていませんから、コルトレーンをそういった解釈で語ることもできません。ただ、彼の演奏に何かへ突き進む精神性を深く感じることも事実です。
彼の演奏を聴いて、自分の精神世界に陶酔していく、これは、音楽を楽しむということに反することなのかもしれませんね。
黒人教会で、自己陶酔にバタバタ倒れていく会衆の映像を目にすることがあります。あの人たちは、陶酔に無限の自己解放を感じ取っているのかもしれない、だとすれば、私がコルトレーンを聴くとき、同様の自己解放をほんの少し共有しているという錯覚もあるのでしょうか。

ほらほら、文章そのものがなんだか怪しくなってきましたよ。
年に一回のことですから、許してください、まるで1年分のコルトレーンを聴いた気分です。(笑)
さあ、後は彼のためにグラスを傾けるだけですね。

今日の一枚は、コルトレーン最後のライブ録音ということになるのでしょう。

1964年パーカッション奏者、オラトゥンジは、ニューヨークで行われていた万国博覧会のアフリカ・パビリオンで演奏を行っていました。彼を敬愛するコルトレーンは、この演奏を聴きに出かけます。
「ハーレムにアフリカの文化センターを作りたいんだ」オラトゥンジがコルトレーンに語りかけました。コルトレーンはすぐに250ドルを振り込んだそうです。

オラトゥンジは、1965年7月19日、マンハッタン125丁目東43番地、ハーレムのまっただ中に会場となる場所を見つけ契約にこぎ着けました。しかしまだ資金が足りず、コルトレーンはさらに250ドルを寄付します。
1967年4月23日「オラトゥンジ・アフリカ文化センター」はついにオープン、自分たち黒人の表現したいものが自由に演れる場、それがこの会館でした。
こけら落としは、もちろんジョン・コルトレーン、その時の模様を収録したのが、このアルバムです。

すでに、コルトレーンは自分の体をコントロールできる状態ではありませんでしたが、この「ルーツ・オブ・アフリカ」を題材にしたコンサートには、なんとしても出演したいという強い意志があったようです。
さて、演奏ですが、後期コルトレーンに対して、アレルギーをお持ちの方は、聴かない方が無難かと思います。ただ、最後の気力を振り絞っての熱演は、私が聴くと涙が出るほどすさまじい迫力を感じてしまいます。

THE OLATUNJI CONCERT : THE LAST LIVE RECORDING
1967年4月23日録音
JOHN COLTRANE(ts,ss) PHAROAH SANDERS(ts) ALICE COLTRANE(p) JIMMY GARRISON(b) RASHIED ALI(ds) ALGIE DeWITT(bata ds) JUMMA SANTOS(per)
1.INTRODUCTION BY BILLY TAYLOR
2.OGUNDE
3.MY FAVORITE THINGS

おまけ、
ジャズ四方山話」を更新しました。よろしければ覗いてやってください。

早起きは山門の得

2006年07月15日 | g-i

昨晩の寝苦しさに、雨戸も閉めず窓を開けたまま寝たら、朝日がまぶしくて、なんと5時に目が覚めてしまいました。
「え~い、一度起きたらもう寝られない、ようし朝から暑いし、車の中で涼をとろう、ドライブ行くぞ!」
と、朝飯用におにぎりを握り、昨日買ったアイスコーヒーをたてて水筒に、茨城県の花園渓谷へと出かけました。

いやぁ、渓谷はなんと涼しいことでしょう。しばし森林浴を楽しみ、ついでにマイナスイオンまで吸い込んで、花園神社にお参りです。

文武の神を奉った神社だそうですが、杉の大木に囲まれた風情はなかなかのもの、いまさら遅いとは思いましたが、文武に闌ける大人(?)になるようにお参りしてきました。
山門の脇を見ると、なんとも可愛い花が咲いています。パシャリ!
いったい何という花なんでしょう?

それにしても、なかなか気分がよい。インドア・バブちゃんも今日ばかりは行動派を気取っちゃおうか?
「よし、こうなったら、山越えをして『袋田の滝』にでも行っちゃうか!?そんでもって、蕎麦食って、こんにゃくでもお土産に!!!!」
意気揚々、車に乗り込むと・・・・・・・フロントガラスにいやぁーな粒が
雨です。朝方晴れていたのに、雨が降ってきました。

「気にしない気にしない、通り雨に決まってる。」
しばらく山道を走っていくと、道脇に看板がひとつ、『与太郎滝』

「あれま、こりゃまた、ボクちゃんにピッタリなネーミングの滝が」
車を止めて、滝を眺めていると、いよいよ雨が本降りになってきました。
「う~ん、雨の中の山道は、少々厳しいな」
けっきょくは引き返すことに、私はやっぱり『与太郎』でありました。
でもね、正解だったんですよ。わざわざ『袋田の滝』に行かなくても、滝のような雨が降ってきましたから(笑)

まっすぐ帰るのもなんなんで、途中『ガラス工房シリカ』というところを回ってきました。
ここにも、いらっしゃいましたね。私が「暑い」と言ったらバチが当たるようなお仕事をされている方が。
ガラスを溶かす炉からは、容赦ない熱が、遠くで見ている我々にまで伝わってきます。
「本当にご苦労様です。納得のいく作品ができることを祈っております。」



帰宅をしてみれば、なんと空はまたしても青空です。
「なんだよ、やっぱり山越えしてくりゃ良かったか」

ともかく、早起きに始まった一日は、それなりに有意義な一日でした。
どれ、あとは開店パーティーに行くだけだな。

さて、今日の一枚は、土砂降りの雨の中、車中に響いていた一枚であります。
はて?このアルバムがドライブのBGMにむいているのか?
気分よさげにいたのは、運転手だけです。(笑)
50年代ウエスト・コースト・ジャズの傑作と言われるこのアルバムですが、ジャズというイメージなのか?室内楽といったイメージなのか?これは、聴かれる方の感覚しだいでしょう。
特に、「THE WIND」や「GONE LOVER」なんか聴いちゃうと、「これってジャズ????」なんて、思っちゃうかもしれません。
でもね、A面の「SLEEPY SLEPT HERE」とか、B面の「TOPSY」なんか、私は好きなんです。(じつは、昔はB面ばかり聴いていましたけど。)
ともかく、「BLUE SOUND」「ORIGINAL QUINTET」と並ぶ、いわばハミルトン3部作の一枚です。

THE CHICO HAMILTON QUINTET IN HI-FI
1955年11月11日,1956年1月4日,2月10,13日録音
CHICO HAMILTON(ds) BUDDY COLLETTE(as,ts,fl,cl) FRED KATZ(cello) JIM HALL(g) CARSON SMITH(b)
1.JONALAH
2.CHRISSIE
3.THE WIND
4.GONE LOVER (WHEN YOUR LOVER HAS GONE) 
5.THE GHOST
6.SLEEPY SLEPT HERE (SANTA MONICA)
7.TAKIN' A CHANCE ON LOVE
8.THE SQUIMP
9.TOPSY
10.DRUMS WEST
11.SLEEP


愛情の黒いダイヤ

2006年07月14日 | j-l

なんだか、暑いと口にするのもしゃくに障るほど暑かったですね今日は。
38度を超えた地域もあったようですので、文句を言っちゃいけないのでしょうけど、明日も同じような天気と聞かされると、ウンザリしてしまいます。
唯一の救いは、ビールの喉ごしの良さをじゅうぶんに楽しめることぐらいでしょうか。

私は、夏場でもコーヒーはホットと決めていましたが、意地を張らずに今年はアイスコーヒーも飲もうかと、いつもの珈琲屋さんでアイスコーヒー用の豆を買ってきました。

「さっき冷房かけたばかりなんですよ、暑いでしょ?焙煎をしているときは、冷房もかけられないから」と御主人
温度管理が、焙煎の命だそうで、エアコンは止めて行わないとダメなのだそうです。
暑い中頑張っている人はここにもいました。
アイスコーヒーの豆は、いつもの浅煎りとは違い、黒くツヤのある深煎り、その輝きは御主人のコーヒーにかける情熱を映すかのように輝いていました。まさに、愛情の詰まったダイヤのようです。(上がアイスコーヒー用、下がいつもの浅煎り豆です。)



今晩はビールで喉も潤いましたので、明日ゆっくりとアイスコーヒーをたてようと思います。
「御主人、暑い中、素敵なコーヒーを、本当にありがとうございます。」

さて、今日の一枚は、久しぶりにブルーノート1500番代です。ジョン・ジェンキンスは、このリーダー・アルバム収録直後、第一線を退きます。復帰をするのは33年後、1990年です。
ドラムスのダニー・リッチモンドはミンガス・グループの仲間ですが、ソニー・クラーク、ポール・チェンバース、ケニー・バレルとくれば、ミンガスの色は吹き飛び、まさにブルーノート色に染まっています。
私には、じゅうぶん魅力的なサックス奏者だと思うのですが、何故これからというときに退いてしまったのでしょうか?

JOHN JENKINS
1957年8月11日録音
JOHN JENKINS(as) KENNY BURREL(g) SONNY CLARK(p) PAUL CHAMBERS(b) DANNIE RICHMOND(ds)
1.FROM THIS MOMENT ON
2.MOTIF
3.EVERYTHING I HAVE IS YOURS
4.SHARON
5.CHALUMEAU
6.BLUES FOR TWO

追伸、
あすは、知り合いのスナック二号店開店パーティーだそうで、招待状をいただいてしまいました。お祝い金持参で行かなければいけません。ちょっとため息。
えっ?飲めるんだからいいだろうって? 私ね、こういう宴会じみたものはあまり得意じゃないんですよ。おそらく、早めに切り上げて、ゆっくりした所で飲み直しですね。



まっとうな日々

2006年07月13日 | j-l

いやはや、なんとも蒸し暑い一日でした。触れるものすべてが何だかベトベトするようで、できることなら冷房の効いた喫茶店か何処かで、冷たいものでも飲みながら本でも読んでいられたら、どんなに幸せだろうと思ってしまう。

こんな日は、「デスクワークのヤツがうらやましい」などと、他人の芝生が青く見えるものです。デスクワークにはそれなりの辛さがあるだろうに、わかっていてもついつい口に出てしまう。車の中からおもてを見れば、工事に勤しむ人たちだっています。「あれこそ、今日みたいな日は大変だろう」と思うくせに、人間とはかくも自分本位な生き物なのです。(それは、あんただけだよ)

「喫茶店で読書」の願望には、暑さからの逃避もさることながら、昨日から読み始めた『日本ジャズ者(もの)伝説』という平岡正明氏の本をはやく読みたいという願望も含まれておりました。
平岡氏の著書は、『山口百恵は、菩薩である』『ジャズ宣言』『チャーリー・パーカーの芸術』『昭和ジャズ喫茶物語』に続き、私が読むのはこれで5作品目ということになります。落語に関する著書も多いので、そちらもぜひとも読んでみたいとは思っているのですけど。

『日本ジャズ者(もの)伝説』は、『昭和ジャズ喫茶物語』を受けての一冊、ということになるのでしょうか、ともかく昨晩はロックグラスを片手に1時過ぎまで読みふけってしまいました。
内容をとやかく言うと、これから読まれる方にご迷惑でしょうから申しませんが、なかなかズバッと言いたい放題なくせに、独特のユーモアと郷愁も感じさせる、平岡氏の文章は、じつに私好みであります。
あとは「ニューオリンズ租界ジャズスポット」「エピローグ」の項を残すのみ、今日中には読み終われるでしょうか?
「あっと!いかん!酒が昨日で無くなったんだ!!!」
ひょっとすると、一杯引っかけに出かけてしまうかもしれません。(笑)

そうだそうだ、先日記事にしようと思っていた、茨木のり子女史の詩を紹介します。
「趣味部屋エアコン」に心奪われてしまった私への、戒めとも思える一文です。

『時代おくれ』

車がない
ワープロがない
ビデオデッキがない
ファックスがない
パソコン インターネット 見たこともない
けれど格別支障もない

  そんなに情報集めてどうするの
  そんなに急いで何するの
  頭はからっぽのまま

すぐに古びるがらくたは
我が山門に入(い)るを許さず
  (山門だって 木戸しかないのに)

はたから見れば嘲笑の時代おくれ
けれど進んで選びとった時代おくれ
         もっともっと遅れたい

まだまだ詩は続きます。

何が起ころうと生き残れるのはあなたたち
まっとうとも思わずに
まっとうに生きているひとびとよ


と締めくくられたこの詩、全部を読みたい方は、詩集「倚りかからず」に載っておりますので、ご覧あれ。

プログに、自分で放火した現場の写真を載せる女性、それほどまでに注目を得たかったのでしょうか? 便利に事欠いて、自殺者を募ったり、殺しを依頼したり、便利さは、人のためになるけれど、便利は常に裏腹な一面をみせるものです。
「有用の用を知れども、無用の用を知ること莫(な)し。」
人は、役に立つものの必要性は知っているけど、役に立たないものが、生をまっとうするのに大きな役割を果たすことを知らない、という意味です。
便利に心奪われ、便利とは裏腹な、考慮を忘れる、私自身反省すべきことでありましょう。
まっとうとも思わず、まっとうに生きる、かくありたいものです。

あらら?珍しくまっとうな話でした?
えっ?せいぜいおまえはまっとうじゃなくて、なっとうだって?糸引くほどしつこい?ごもっとも。

さて、今日の一枚ですが、ちょっと前にブログ仲間67camperさんも紹介されていた。ウイントン・ケリー晩年のまっとうなジャズです。
それがね、67camperさんが紹介された頃に、私も今日の一枚で紹介しようとしてたんですよ。「くそう!先を超された」みたいな(笑)
じつに、気持ちの良い、ケリー・ファンならずとも楽しく聴ける一枚だと思います。長からず短からずの演奏時間、おなじみの曲もいっぱい、リラックスした内容は、いかにもケリーらしい。こうやってみると、先日紹介したDVD「セロニアス・モンクの肖像」でも、渋いコメントをしていましたが、オリン・キープニュースという人は、わかったプロデューサーですよね。じつに上手いことケリーの世界を作り上げています。
とても聴きやすく、楽しい一枚としてお勧めします。

FULL VIEW / WYNTON KELLY
1967年録音
WYNTON KELLY(p) RON McCLURE(b) JIMMY COBB(ds)
1.I WANT A LITTLE GIRL
2.I THOUGHT
3.WHAT A DIFF'RENCE A DAY MADE
4.AUTUMN LEAVES
5.DONT'CHA HEAR ME CALLIN' TO YA
6.ON A CLEAR DAY (YOU CAN SEE FOREVER)
7.SCUFFLIN'
8.BORN TO BE BLUE
9.WALK ON BY

曲に浮かぶ姿

2006年07月12日 | s-u

先日、浅川マキの「裏窓」なる曲の一部を取り上げました。私が持っている彼女のアルバムは、この「裏窓」と「MAKI Ⅱ」の2枚だけです。
では、何故この2枚を持っているのか????

私が高校生の頃、田舎のジャズ喫茶でアルバイトをしていたという話は以前にもしたかと思います。このジャズ喫茶、私の知っている限りでオーナーが3回替わりました。
このジャズ喫茶を立ち上げられたのはSさんという方、Sさんは、当時のジャズ喫茶の始まりがほとんどそうであったように、ジャズ好きが高じての開店であったそうです。
私が行き始めた頃は、Sマスターはいたりいなかったり、後で聞いた話ですが、ジャズ喫茶では生計が立たず、「Sは、麻雀で生活してるんだってよ」との噂が立つほど雀荘に通い詰めていたとか。

そんなSさんから店を買い取ったのは、いわゆる田舎のいいとこのボンボン、しかし、このオーナーは店にはまったく顔を出さず、とある女性に店を任せていました。彼女の名前はA・ミーちゃん、ボブカットの似合うなかなか素敵な女性でした。私にアルバイトの声をかけてくれたのも彼女です。
「バブ君、あんた毎日のように来てると、コーヒー代も大変でしょ?働く人になんない?」

この頃、高校生の常連はさほど数もおらず、彼女は「ガキ連、ガキ連」といって可愛がってくれました。寒い冬場など
「ガキ連が、寒くて鼻水垂らしてると困るから、どぶ汁用意しといたわよ」と、ガキ連のために、アンコウのどぶ汁を作ってくれていたりして。
そんな彼女も店を離れるときが来ます。
私が高校2年をもうすぐ終えようとしていた頃だったと思います。オーナーが店の権利を突然売るという話が舞い込んできました。

この歳になれば、じゅうぶん理解できる話ですが、ようするにA・ミーちゃんはオーナーの愛人といった存在だったのでしょう。縁の切れ目が店の切れ目、店の権利だけはもらえると思っていた彼女でしたがそれも叶わず、毎晩飲み続ける彼女に、私はよく付き合わされました。
客もはねて、私が帰ろうとすると、
「バブ君、最後にコルトレーン聴こう」
「もうちょっと、付き合ってよ」
「○○さんが来るから、それまでいて」
他に誰もいないと、私におはちが回ってきたのです。
「俺たち(ガキ連)にとって、ミーちゃんは憧れの女(ひと)なんだから、そんなに酔わないでよ」

彼女はジャズはもちろん好きでしたが、浅川マキも大好きで、客がいない時にそっとレコードをかけていました。
「ミーちゃん、ジャズ喫茶で浅川マキなんてかけちゃっていいの?」
「何言ってんの、サイドメンはジャズメンばっかなんだから、いいの!」
たしかに、ジャズを聴きに来るお客さんにも浅川マキ・ファンはそこそこいて、ちょっとお酒なんかはいると
「バブちゃん、浅川マキかけてよ」なんて人もいましたっけ

話が長くなりました。というわけで、彼女が好きだった浅川マキのアルバム2枚を、私は所有しているという訳なんです。

その後、ジャズ喫茶はKさんが買い取られ、私も大学にはいるまで、しっかりアルバイトを続けさせていただきました。

あらあら、またまた思い出話になってしまいました。いかんなぁ、歳をとった証みたいなものですね。
でもね、浅川マキを久しぶりに聴いてしまうと、どうしても思い出してしまうんですよ。音楽って聴くだけで浮かぶ情景や思い出ってあるじゃないですか。
私の場合、浅川マキを聴くと右手に煙草、左手にビールのグラスを持ったA・ミーちゃんが、鮮明に頭に浮かんでくるんです。

さて、今日の一枚ですが、ライブ会場の情景が浮かんでくる一枚を選んでみました。しかも、またまたテナー・バトルです。
「ハーフノート」といえば、「ヴィレッジ・ヴァンガード」などと並ぶ、ニューヨークの名門ジャズ・クラブです。もちろん良質なジャズはとうぜんですが、美味しいイタリア料理を出す店としても有名だったそうです。
イタリア移民の一家が経営していたためですが、イタリア料理に舌鼓を打ち、ちょいと一杯飲みながら、こんな演奏を聴いていた、なんとも贅沢な話です。
アットホームな暖かさを、このライブ演奏からも読み取れます。こんな店が近くにあったらいいだろうなぁ・・・・・・・・・・!?

JAZZ ALIVE ! A NIGHT AT THE HALF NOTE
1959年2月6,7日録音
ZOOT SIMS(ts) AL COHN(ts) MOSE ALLISON(p) PAUL MOTIAN(b) NABIL TOTAH(ds)
PHIL WOODS(as)[3,4]
1.LOVE COME BACK TO ME
2.IT HAD TO BE YOU
3.WEE DOT
4.AFTER YOU'VE GONE


ゲス歌

2006年07月11日 | g-i

まさに梅雨という感じの昨日今日、そとには何処かに飛んでいってくれないかと思うほどの靄が、生暖かいジメジメを充満させています。
昔、飲み会の席での連想ゲームで
「○○のスキャンティー」との言葉に(○○とは当時若干21歳の事務員です。)
「梅雨時のナメクジ」と答えたN君が、○○さんにボコボコにされたことを思い出してしまいました。
今だったら完全なセクハラ行為でしょうか?じつに想像豊かで、適切な連想だと私は思ったのですが(笑)

先日「酒話」にも書きましたが、私が社会人に成り立ての頃は、飲み会といってもカラオケもなく、たわいもない「連想ゲーム」のような遊びとか、「一芸発表会」みたいなのが酒席ではつきものでした。
「○○のスキャンティー」話に勢いを得て、幾分ゲスな話になってしまいますが、「春歌」を振り付きで歌うなんてことも間々あったように覚えています。

「文部省春歌、一番二番歌わせていただきま~~す!!!! 一番、『芸者芸者シュッポシュッポ』、♪芸者芸者シュッポシュッポ、シュッポシュッポシュッポッポ、トンネル抜けてシュッポシュッポシュッポッポ、早いは早いはまだ早い、声も出る出る、え○もでる、いいわ、いいわ、いいわ、絶頂だ絶頂だ楽しいな・・・・♪、
二番、『朝だ○ピンピン』、♪朝だ○ピンピン、夕だ○ピンピン、立っても立ってもまだ立ちやまぬ、女は喜び、声上げたてる、インポはこたつで丸くなる・・・♪、失礼しました!!!」みたいな

んっんっん・・・・、少々調子にのってしまいました。

「まだまだ、10曲以上歌えるよ、『エイトマン』でしょ、『キング・コング』でしょ、『もしもし亀よ』でしょ、『ナンタルチンヤ』でしょ・・・・、定番だって『一つでたほい』に、『数え歌』は数種類、『青い山脈』は猫が出ると終わるって知ってた?」
って、もういいよ。
こんなのを、酒を飲みながら歌ってたんだから、なんとも御下劣であります。
でも、けっこう若い女の子もキャッキャ言いながら喜んでいたような・・・・・・・・・・!?
もちろん、最近では披露する機会も場所もありませんけどね。(この年でやってたらバカですよね)

あららのら、今日は茨木のり子女史の詩を紹介するつもりだったのが、品のない話に終始してしまいました。彼女の詩はまた後ほどということで。

さて、今日の一枚はベニー・ゴルゾンです。
「これは、単純な素材に、風情と思考を加えることによって、永遠の美のアルバムをつくることができる良い例だ」とこのアルバムを称したのは、ダン・デマイケルであります。ゴルゾン、フラーとくれば、どうしても頭に浮かぶのが「BLUES-ETTE」でありますが、二人は1958年頃から盛んに共演を行っていました。
もちろん、このアルバムでもフロント・ライン・パートナーとして、息の合った演奏を聴かせてくれます。

GETTIN' WITH IT / BENNY GOLSON
1959年12月23日録音
BENNY GOLSON(ts) CURTIS FULLER(tb) TOMMY FLANAGAN(p) DOUG WATKINS(b) ART TAYLOR(ds)
1.BAUBLES, BANGLES, AND BEADS
2.APRIL IN PARIS
3.BLUE STREAK
4.TIPPIN' ON THRU
5.BOB HURD'S BLUES


雨の休日は私むき

2006年07月09日 | m-o

今日は、たまにドライブでもしようかと予定を立てていましたが、午前曇りの予報も、9時にはすでに雨が降り出し、ドライブはまたの機会に。

とはいうものの、雨の日曜日は私のようなインドア派(ははは、そんなカッコイイものではなく、つまりは引きこもりということですが)にとっては、それもまた良いもので、庭仕事のようないらぬ仕事も押しつけられずに、ゆっくりと休日を過ごすことができます。

さてさて、何をしようかな・・・・・

まずはギターを引っ張り出して、
 ♪ 季節のない街に生まれ、風のない丘に育ち
    夢のない家を出て、愛のない人に会う
                ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ♪
最初は、小声で遠慮しがちが、いつの間にやらボリューム全開!
「うるさいよ(下手だよ)!!!」の声に、
「そっちこそうるさいよ、楽しんでんだから、いいだろ」と言いたいところですが、そんな勇気もなく、バブ独演会は終了であります。

次はっと
DVD鑑賞会にいたしましょう。今日は特別に豪華2本立て
まずは、先日Mさんからチャップリンといっしょに借りたヒッチコックの「裏窓」です。
「うんうん、おもしろい。」
何度も観たはずなのに、ヒッチコックはいつも楽しませてくれます。最近のサスペンスには無い、なんともいえないヒッチコック・ワールド・・・引き込まれます。

2本目に移る前に、そーーっとギターを引っ張り出して、
 ♪ 裏窓からは 夕日が見える 洗濯干し場の梯子が見える
    裏窓からは より添っている ふたりが見える ♪
映画「裏窓」とは何の関係もないのですが、浅川マキの「裏窓」という曲です。大声を張り上げる歌でもないので、なんとか文句は避けられました。

さあ、文句を避けたところで、次のDVDは、モンクです。(笑)
邦題「セロニアス・モンクの肖像」と題されたDVDであります。これがなかなか面白い、もちろん私がモンク・フリークであるが故とも言えますが・・・・・
モンクの姉、ランディ・ウエストン、バリー・ハリス、オリン・キープニュース、ベン・ライリーらのインタビューを交え、生涯を追う、といった内容です。
最後に、ランディ・ウエストンがこんなことを言っていました。
「中には金のために音楽をやる者もいるが、モンクは予言者のように使命を帯びていた。妥協を許さずに美と愛をこの世にもたらすという使命を。」
とても印象に残る言葉でした。

雨の休日をじゅうぶんに堪能した後は、いつもの通り食事当番であります。やれやれ

さて、今日の一枚はもちろんモンクです。DVDの中でベン・ライリーがこのアルバムを録音したときのエピソードを語っています。
ライリーは、録音前に行われた「ファイブスポット」でのライブからモンクのグループに参加していたそうです。ところが、モンクとは言葉を交わすこともなく、公演最後の週に、プレイしている彼のところにモンクが近づき、「専属ドラマーか?」と始めて口をきいたとか。公演が終了した翌朝8時に、「モンクのレコーディングに参加してもらいたい」と突然電話が入り、スタジオに着くと、モンクは挨拶もなしにライリーのドラム・セッティングが終わるといきなりピアノを弾き始めたのだそうです。録音も半ばを過ぎた頃、モンクが始めてライリーに話かけました。
「金はあるか?俺のバンドのメンバーが文無しじゃ困る」ライリーがビックリしていると、
「パスポートを用意しろ、金曜に出発だ」
こうして、ライリーはモンクのバンドのメンバーになったそうであります。
このレギュラー・バンドとしては、スタジオ録音された4枚目のアルバムということになりますが、2曲以外は10月に録音されたもので、この時がこのメンバーでの初録音、つまりは、ライリーが訳もわからずスタジオに向かったまさにその時の録音ということになります。
以降、4年間このメンバーは不動のものとなりました。

私は、このアルバムの「I LOVE YOU」が大好きです。ソロ演奏ですから、ライリーには申し訳ないのですけど。
もちろん全体を通して良いアルバムですよ。ソロ演奏が多い「PANNONICA」をソロ以外で聴けたり、童謡をジャズにしちゃったり、ともかく楽しめる一枚だと思います。


MONK.
1964年3~10月録音
THELONIOUS MONK(p) CHARLIE ROUSE(ts) LARRY GALES(b) BEN RILEY(ds)
1.LIZA
2.APRIL IN PARIS
3.CHILDREN'S SONG
4.I LOVE YOU
5.JUST YOU, JUAT ME
6.PANNONICA
7.TEO


宴会の裏方

2006年07月08日 | y-その他

今日はじつに疲れました。というのも、例によって近くの料理屋で15人の宴会の手伝いをしてきたからです。
今日の団体さんは、ゴルフ・コンペの「表彰&打ち上げ会」です。このコンペに女将も参加していたため、実質、一人で15人分のオードブルと、刺し盛り、小鉢&テーブルセッティングをやってしまいました。
毎日のことなら、それほどでもないのでしょうが、たまにそんなことをすると、これがけっこう疲れてしまいます。

鰹と金目と烏賊をおろし、金目の皮目をあぶって冷水で締め(これはかなりブログ仲間あずきさんの影響が大きいように思います)、烏賊のゴロがなかなか良さそうだったのでゲソで即席塩辛を作り突き出しに、鰹と金目は刺し盛りにして、烏賊本体はショウガのたれに漬け込み、ポッポ焼きにしてオードブルに使いました。

オードブルは、ポッポ焼きの他に、枝豆、揚げ春巻き、煮豚、野菜スティック、チーズ、の合間にサニーレタスとトマトで彩りを・・・

香の物は四盛りほど準備して、後は、食事として出すそうめん用に、ネギとショウガと大葉で薬味を作り・・・・・

そうこうしているうちに、もうすぐお客さんがやってくる時間、おしぼり、ビール、ウーロン茶をセットして、焼酎用の氷と水と梅干しを用意して・・・・・・

一人でとなるとなかなかの仕事量でした。
8時過ぎに一本締めでお開きとなり、さて、片付け、
一人残っていらしたお客さんが
「お兄ちゃんは、どっかで板前始業でもしてたのかい?」
「いえいえ、たんなる隣人の手伝い人です。以前にサービス業をほんの少々かじっていたものですから」

さすがに今日はそれから飲みに出かける元気もなく、シャワーを浴びて、ビールをクーッと飲むのがやっとでありました。

以前、それこそ、サービス業に従事していた頃、20人前後の宴会を一晩に7,8組こなす部署にヘルプにはいることもしばしばでしたが、長らく離れていると、15人の宴会でもアップアップになってしまうものです。
みなさん、宴会に行かれたさいは、そんな裏方の苦労も考えながら、出された料理を美味しく召し上がってくださいね。

さて、今日の一枚は、"レディ・デイ"ことビリー・ホリデーへの想いをアルバムにした、ウエッブスター・ヤング、唯一のリーダー・アルバムであります。
ヤングは、かなりマイルスに傾倒しているのではないかと思わせるトランペットを吹きます。でも、マイルスとはやっぱり違うんだなぁ・・・・
あまり、表舞台に躍り出るといったトランペッターでもありませんでしたので、正直、印象の薄いジャズメンです。
でも、このたった一枚のリーダー・アルバムが、今日みたいに疲れたときに、ボーッと聴いているのには、とても心地よい一枚に仕上がっています。
この演奏を聴いて、ビーリーが頭に浮かんでくるかどうかは、実際に聴いて確かめてください。

FOR LADY / WEBSTER YOUNG
1957年6月14日録音
WEBSTER YOUNG(cor) PAUL QUINICHETTE(ts) MAL WALDRON(p) JOE PUMA(g) EARL MAY(b) ED THIGPEN(ds)
1.THE LADY
2.GOD BLESS THE CHILD
3.MOANIN' LOW
4.GOOD MORNING HEARTACHE
5.DON'T EXPLAIN
6.STRANGE FRUIT


夜空の物語

2006年07月07日 | s-u

今日は7月7日、七夕ですね。あなたのお住まいの地域では、無事に織姫と牽牛(彦星)は再会できたでありましょうか?

そういえば、ここ最近星空を眺めるなどということはほとんどしなくなってしまいました。目も悪くなったうえに、光害も重なって観てもなんだかちっともわからないということもありますけどね。
彼女と二人で星空を眺め、星々の物語を語るなんて、今じゃ映画でもドラマでも見ないシーンになってしまいました。

そもそも、七夕伝説は中国発祥のお話、漢の時代の『文選』という本に始めて出てきたお話だそうですが、日本には遣唐使が持ち帰り、従来からあった「棚機津女(たなばたつめ)の信仰」とあいまって全国に広がったのだとか。
江戸時代には、桶に水をはって、そこに映った織姫と彦星の二つの星を、桶を揺らして近づける、なんて粋なこともやっていたそうですが、今じゃ桶に映るのは人工の灯りばかりで、こんなこともよほど場所を選ばないと難しいことになってしまいました。

昔、うちの息子が
「お父さん、どうして仙台の七夕は8月なの?」と訊いてきたことを思い出しました。
もともと七夕は旧暦(太陰太陽暦)の7月7日ですから、今日が七夕というのがおかしい、かといって8月7日が正しいかというとこれもそうとは言い切れません。
旧暦を新暦に置き換えるのはいささかやっかいで、毎年新暦でいうと、日にちが変わってしまうことになります。
明治時代に政府が、「太陽暦にしちゃうよ」と突然決めたために、古くからの行事が中央、地方ともに混乱したという経緯があり、中央に近いところでは、そのまま7月7日に、地方では、より旧暦に近い8月7日にと、日にちがばらけたというのが真相。
でも、梅雨のど真ん中に星を愛でる行事というのも、いささか無理があるようにも思えます。(我が地方では8月7日だから言っている訳ではありませんよ。)

さて、肝心の織姫と彦星がどの星かわからないということになると、これもまた星を眺めるわけにも行きません。
世に言う『夏の大三角形』を夜空に探してください。頭をほぼ90度に傾けると探せるはずです。(ちょっとした都会でも、晴れていればけっこうよく見えますよ)
一番青くて明るい星が、こと座のベガ、織姫です。天の川を挟んで次に明るい星が、わし座のアルタイル、彦星であります。

さあ、星の世界に浸かり始めたら、ギリシャ神話を読んでみるなんていうのも一興ですよ。わし座の鷲は、ゼウスの化身。こと座の琴は、妻を地獄から取り返そうとしたオルフェウスの琴。(七夕伝説とはまったく関係のない話ですが)

あらあら、話が尽きなくなってしまう。
ともかく、夏の夜空を眺めながら、物語を思い浮かべる、ちょっと贅沢な時間じゃありませんか?

今日の一枚は、じつに安直に選んでしまいました。星にちなんで「STARDUST」にしようと思ったからです。
かといって、過去に紹介したアルバムでも、ちと調子が悪い、そこでこのアルバムにしみました。
昨日の「THE TOWER OF POWER !」では、同じ楽器でありながらバトルという感じではないと紹介しましたが、今日のアルバムはけっこうバトってます。(笑)
そもそも、スティットってバトルものが結構ありますよね。そうそう昨日のゴードンともやってたことがありました。
ともかく、安直に「STARDUST」で選んでしまいましたが、けっこうおもしろいアルバムだと思います。

SALT & PEPPER
1963年9月5日録音
SONNY STITT(as,ts) PAUL GONSALVES(ts) HANK JONES(p) MILT HINTON(b) OSIE JOHNSON(ds)
1.SALT AND PEPPER
2.S'POSIN'
3.THEME FROM LORD OF THE FLIES
4.PERDIDO
5.STARDUST

おまけ、
私は昔、こんな本で「ギリシャ神話」を読みました。ちょっと難しめの本ですので、何度も読み返しが必要でしたが、神話というのは、どれもがそうですが、名前と系図的なものを頭に入れていくと、そこそこおもしろい物語として読めると思います。


なさけは女の為ならず

2006年07月06日 | g-i

昨日は珍しく10時頃まで仕事、まっすぐ家に帰る気にもなれず、けっきょく飲みに出てしまいました。(ハハハハハ.....)

ワールドカップも残すは決勝戦だけになってしまいましたね。私が予想したチームはすでに敗退してしまいましたが白熱した決勝戦を期待しましょう。
それにしても、そんな熱戦をも吹き飛ばすように、ロケットがバーンと・・・・・
どうして人間はいがみ合ったり、ねたみ合ったり、腹を探り合ったり、するのでしょうね。かの国だけでなく自己の権力維持や国家主義というものが先行するのが人間の常なのでしょうか?

昨晩飲んでいて、むりやり話題にした話ですが、日本には古くから、人間の価値を決めるひとつの基準として「なさけ」というものがありました。
「よろずのことよりも、なさけあるこそ、おとこはさらなり、女もめでたくおぼゆれ。」
枕草子の一節です。
いつも気にかけて想うことであり、想う相手もまた、気にかけてくれる、これこそ「なさけ」であります。「なさけ」をかけるとは、施しをする心ではなくて、思いやりを持つ心です。
「なさけは人の為ならず」、かならず我が身にも返ってくる「なさけ」、「なさけ」ある人こそ人間の価値が高い人なのではないでしょうか。
「なさけ」があれば、自己顕示欲で国を動かすようなバカなことはしないでしょう。

はーはーはー.....語ってしまいました。(笑)
えっ?嫁さんに「なさけ」もかけられないヤツが言うなって?んっんっんっ、私が得意なのは「あだなさけ」であります。

さて、今日の一枚は「なさけ」とは何の関わりもないのですけど、デクスター・ゴードンを選んでみました。
テナーが2本というと、バトルっぽいものを思い浮かべますが、ここでの1曲目、ゴードンとムーディのそれは、バトルではありません。とても楽しげに共演している二人を聴くことができます。もちろん、のこりの3曲も、例のごとくなんとも暖ったかなゴードン節を楽しめます。かの国の指導者もゴードンおじさんの演奏でも聴いて、心に温かさと余裕を持ってみてはいかがなものでしょうかね、ほんの少しの「なさけ」を思い起こすやもしれません。

THE TOWER OF POWER ! / DEXTER GORDON
1969年4月2,4日録音
DEXTER GORDON(ts) BARRY HARRIS(p) BUSTER WILLIAMS(b) ALBERT "TOOTIE" HEATH(ds)
JAMES MOODY(ts)[1]
1.MONTMARTRE
2.THE RAINBOW PEOPLE
3.STANLEY THE STEAMER
4.THOSE WERE THE DAYS