JAZZを聴きながら ふたたび

恥も顧みないで再々開、よろしければお付き合いを

卑怯者、多いにけっこう

2007年08月23日 | g-i

陽気とどまりて、初めて退きやまんとすれば也

今日は二十四節気のひとつ『処暑 (しょしょ)』、暑さが止むという日であります。このあたりもまさに『処暑』にふさわしく、涼しい風が心地よい一日でした。
「このまんま涼しくなるといいんだけどねぇ」
そう願わずには居られませんが、明日以降はまた暑さが戻ってくるとか。寒いニューヨークと「足して二で割る」ってわけにはいかないものですかね。

先日も少々ふれましたが、我が両親の出身地は会津、かくゆう私も小学校入学前までは会津若松に住んでいました。
もちろん、当時の記憶はほとんどありませんが、幼稚園のお遊戯会で背の高さが足りなかったばかりに『白虎隊』の剣舞に参加できず、悔しかった事だけは良く覚えています。


これは昔、最愛の彼女(娘ですよ)と
遊びに行ったときのスナップです。

えっ?何で『白虎隊』かってですか?
今日は『処暑』であると同時に『白虎隊の日』なのでありまして、1868(明治元)年、飯盛山から城下に燃え広がる火を見て、鶴ヶ城落城と勘違いした若き白虎隊士が自刃した日なのです。
玉砕覚悟で戦場へと出て行った16,7歳の少年達の悲劇は、ドラマ等々で皆さんもよくご存じでしょう。

『白虎隊士』は6歳~9歳まで「お話の什(じゅう)」または「あそびの什」とよばれる集まりに参加し、「会津武士のこどもはこのようにしなければならなぬ」といった心構えを学び、10歳からは『日新館』という、当時、最も進んだ教育機関でみっちりと「会津武士道」をたたき込まれた精鋭達です。
頑固者と言われる会津武士、その信念を貫き通した彼らの生き様、死に様を、美談として語られることも当然でありますし、尊き精神は讃えられてしかるべきであると私も思っています。

ただ、
前途ある若者を、ある意味犬死にさせなくてはいけなかった時代や背景は、誇れるものであったのか?
彼らに将来という活躍の場を、何故大人達は与えることが出来なかったのか?
彼らは何を守り、何に命を捧げたのか?
そんな疑問も持たずにはいられません。

♪命はひとつ、人生は一回、だから命を捨てないようにネ
慌てると、ついふらふらと、お国のためなのと言われるとね
青くなって尻込みなさい、逃げなさい、隠れなさい

お国は俺たち死んだとて、ずっと後まで残りますよね
失礼しましたで終わるだけ、命のスペアはありませんよね
青くなって尻込みなさい、逃げなさい、隠れなさい

命を捨てて男になれと、言われた時にはふるえましょうよね
そうよ、わたしゃ女で結構、女の腐ったので構いませんよ
青くなって尻込みなさい、逃げなさい、隠れなさい♪

加川良の『教訓1』です。

命は、誇りより、思想より、宗教よりも重いものでしょ?
簡単に「○○としての覚悟」だの「自分の国は自分で守れ」だの「神の名において」だの言ってるヤカラにかぎって、自分は安全地帯でのうのうと生き延びる事を考えているではないですか。
そんなヤカラのために、尊い命を捨てる必要なんてありません。
自身の命の尊さを真に考えれば、他人の命の重さもおのずと見えてくる、私は若者にはそうであって欲しいと思うのです。

あらら、また熱が入ってしまいましたが
『白虎隊』の精神の尊さに学ぶべき物はあっても、私の子供や孫達が、国や思想や宗教や、まして正義に名を借りた経済戦略の一兵として、「現代の『白虎隊』となれ」などとそそのかされたら、女々しかろうが何だろうがすぐに何処かへ逃げさせます。
そんな時は、
「卑怯者でけっこう、卑劣者よりぜんぜんいいもんね。」
でありますよ。

さて、今日の一枚は、ベニー・ゴルゾンです。
よくよく考えてみると、ゴルゾンはけっこう紹介してますよね。そのわりにメッセンジャズの紹介が少ない????ひねくれ者のバブたらんところですね。(笑)

面子から考えて、バリバリのハード・バップを想像させますが、このアルバムは幾分スマートというか、あっさり系というか、そんな印象があります。(どういう印象じゃい!)
これはUNITED ARTISTSというレーベルに起因するものなのかも知れません。ブルーノートなんかのイメージとはちょっと違うんでしょう。(現在、CDがブルーノート・レーベルで売られているというのも、あれ?って感じですけど)

リー・モーガンとレイ・ブライアントはあいかわらず良いのですが、これらをまとめる編曲者ゴルゾンの手腕を褒めるべきなのでしょうかね。単純なのに二管を二管以上に聴かせる、好みの相違はあってもゴルゾン・ハーモニーの神髄はここにも強く表れています。個人的には「THURSDAY'S THEME」が好きかな。
ただし、ゴルゾンのテナーが良いかという事になると、私は疑問を感じてしまいますけど。(笑)

ちなみに、この二枚も同じアルバムです。(右はパリでの録音も含まれています。)

BENNY GOLSON AND THE PHILADELPHIANS
1958年11月17日録音
LEE MORGAN(tp) BENNY GOLSON(ts) RAY BRIANT(p) PERCY HEATH(b) RHILLY JOE JONES(ds)

1.STABLEMATES
2.THURSDAY'S THEME
3.YOU'RE NOT THE KIND
4.BLUES ON MY MIND
5.AFTERNOON IN PARIS
6.CALGARY

追伸、
そういえば、マックス・ローチも亡くなって、レイ・ブライアントあたりは大丈夫なのでしょうかねぇ、先日、ラジオ番組に電話で生出演などもされていましたが、体調を崩し気味との噂も聞きますし、まだしばらく元気で頑張っていただきたいものです。