JAZZを聴きながら ふたたび

恥も顧みないで再々開、よろしければお付き合いを

盆踊り行きました?

2007年08月18日 | y-その他

朝の暖かい珈琲がこんなに美味しいなんて、何日ぶりでありましょう。冷たいくらいの風が心地よく部屋の中を通り過ぎていきます。
「これがこのへんの夏だよなぁ」
昨日と一昨日の最高気温差は約7度、今日の最高気温も平年並みになりそうですし、良かった良かった。あの37度という気温はいったい何だったのでしょうかね?
西日本ではまだしばらく暑い日が続くそうですので、体調におきおつけください。

  踊り子よあすは畠の草抜かん    - 去来 -

仏はあの世に帰り、盆踊りをともに踊った現世の人も仕事に戻る、我が家の父も今日は、あの世の『成仏カントリー』あたりでゴルフでもやっていることでしょう。私も現世で暑さや休みボケに負けず踏ん張らなくてはいけませんね。

盆踊りといえば、そもそもは平安時代に空也(くうや)上人や一遍(いっぺん)上人が、全国に広めた『念仏踊り』に起源があるのだそうで、『阿国歌舞伎』なんかもそもそもは同じ起源なんだそうです。

発祥は異なるのですが、このあたりでは新盆の各家を踊り手が練り歩く『念仏踊り』の習慣が未だ残っています。
江戸時代に地の名僧、祐天(ゆうてん)上人が、信仰心の薄いこの地方の庶民に誰でもわかりやすく念仏を唱えさせようと、「南無阿弥陀仏」の言葉を歌の節にあわせて唱えさせたのが始まりだそうで、太鼓と鉦で刻まれるそのリズムは「このあたりの人には自然と体内に流れるリズムになっている」という人もいるくらいメジャーなものである一方、他地域の人が聴くとあまり耳にしたことのない独特のものだったりします。
かく言う私も、お盆の時期にどこからともなく流れてくるこのリズムに、郷愁を感じる一人でもあります。

話を戻しましょう。
今や盆踊りも早々と一ヶ月も前から行ってみたりするわけですから、『念仏踊り』の意味合いも、「仏を迎えてともに踊る」的意味合いも薄れてきている訳ではありますね。
でもこれは、私が小さかった時からすでにそうであったかもしれません。
子供の頃は両親の実家、福島県会津地方でお盆を迎えることが多かった私、近くの中学校の校庭で行われていた盆踊りに出かけるのは、最大の楽しみでした。

♪ エンヤー会津磐梯山は 宝の山よ
  笹に黄金が エーマタなり下がる

  エンヤー東山から 日日の便り 
  行かざなるまい エーマタ顔見せに

  「小原庄助さん 何で身上潰した 
  朝寝朝酒朝湯が大好きで 
  それで身上潰した 
  ハーモットモダーモットモダ」 ♪

現代と違っていたのは、演奏が生であったことでしょうか。(今も大きな盆踊りはそうなのでしょうけど、このあたりで行われるものは、テープに取って代わられました。)
従兄弟のお兄ちゃんが太鼓を叩いていたり、親戚のおじさんが唄っていたり、夜店で買ってもらった『ハッカ・パイプ』を咥えながら、汗だくになって踊ったものでした。
未だに『会津磐梯山』は踊れるかもしれません。(笑)
『念仏踊り』や「仏を迎えてともに踊る」てな面倒なことより、夏の数少ない庶民の楽しみの色合いが強かったのでしょう。

それが、ちょっと大きくなってくると、両親の実家などには寄りつきもせず、友達同士で「踊ってられんかよぉ」てなこと言いながらも徘徊したり(じつは意中の女子を探してたりするんですけどね)、緊張しながら女の子と二人で出かけたり、
「おい、おまえら付き合ってんのか?」
なんて、偶然出会った知り合いに言われると
「違う違う、たまたまそこで会っただけだって」
なんて、言っちゃったりして
その昔は、軟派の場でもあったそうですから、これもしごく当然のことであったのかもしれません。

  恋のあじ袂をかんで娘知り

えがったなぁ~~~~~~
 
さて、今日の一枚は、MJQ『大運河』です。
最近、私がしばらく聴いていなかった盤の紹介が増えてきていますが、これもその一つです。特にこの盤はめったに聴きません。(笑)

皆さんが良くご存じのジャケットは、こちらだと思います。今日の盤は、友人からいただいた、フランス・ベルサイユのオリジナル盤なんです。ほんのちょっとだけ「貴重盤かなぁ」なんて思ってるんですけどいかがでしょ?
ですから、聴くのはもっぱら国内ステレオ盤です。「聴いてこそのレコード、使ってこその器」この私のポリシーにはいささか反してはおりますが(笑)。

噂によると、音自体はアトランティックのオリジナル盤の方が良いと聞いたことがあります。残念ながら私はアトランティックのオリジナル盤を耳にしたことがありませんので分かりませんが、この盤もけして悪くはありませんよ。
「そんなぁ、私のちょっとした優越感に水を差すようなこと言わんといて下さい。」
そんな感じ?(笑)

ここで20枚以上の同じ『大運河』を聴いた山口克巳氏の話を少々、
彼はその20枚以上の同アルバムを、「1オリジナルのモノーラル盤、2オリジナルのステレオ盤、3ワーナー盤、4日本盤」にグループ分して、著書『LPレコード再発見』で紹介されています。(ここでいう1は、フランス盤ではなくアトランティック盤であるのですが)
それによると、1にも二種類の原盤が存在して(11434と1143D)、この二つでもまるっきり音が違うというのです。
アトランティックのオリジナル盤でも系統によって比べると差が出る、つまり「音自体はアトランティックのオリジナル盤の方が良い」との評価も系統によっては変わってくるかもしれないということ

・・・・・・・エエエイ、面倒!とってもとっても、私のようないい加減リスナーにとっては、聴き比べなど出来る範疇のものではありません。
いただいたフランス・ベルサイユ盤を、大切に聴くことに徹しさせていただきます。

「そもそも、ジョン・ルイスのピアノも曲もそれほど好きじゃないし!」
おいおい、居直ってどうすんだい。(笑)

ところで、映画『大運河』をご覧になった方はいらっしゃいますでしょうか?
一人の女性をめぐる三人の男、殺人あり、おっかけっこあり、最後にその内の一人と結ばれるという、ストーリーはじつにありがちで、いわゆるヌーベルヴァーグと呼ばれる『死刑台のエレベーター』『大人は判ってくれない』『勝手にしやがれ』などと比べると少々物足りない映画だったように思います。
ただ、運河を葬列のゴンドラがゆっくりと進むシーンなどは、バックに流れる音楽とともに印象的ではありました。

「CONCORDE」「DJANGO」で見せた、ヨーロッパの古典音楽とジャズの融合を面白いと思った映画制作者ラウル・レヴィーが、フランス巡業中だったジョン・ルイスに作曲を依頼、それで、このアルバムは生まれたという、以後MJQの代表的レパートリーになったことを思えば、大きな出会いであったのでしょう。

今日のようにやっと涼しくなった昼下がり、本でも読みながら聴く音楽としては、最適かもしれません。

SAIT-ON JAMAIS ...... / MJQ
1957年4月4日録音
MILT JACKSON(vib) JOHN LEWIS(p) PERCY HEATH(b) CONNIE KAY(ds)

1.GOLDEN STRIKER
2.ONE NEVER KNOWS
3.ROSE TRUC
4.CORTEGE
5.VENICE
6.THREE WINDOWS

追伸、
涼しくなった昼下がり、おもわず長文になってしまいましたが、さらに追い打ち(笑)
『大運河』のアトランティック以降のレコード・タイトルについて、文中の山口克巳氏の説明から。


こちらがモノラール盤


ステレオはこっち

最初のタイトルは「THE MJQ PLAYS ONE NEVER KNOWS / ORIGINALFILM SCORE FOR NO SUN IN VENICE BY JOHN LEWIS」で、NEVER KNOWSは原題SAIT-ON JAMAISの直訳、NO SUN IN VENICEはアメリカ封切り時の映画タイトル、二つを併用したものでした。(フランス・ベルサイユ盤は、当然原題の「SAIT-ON JAMAIS」ですから、今日の紹介ではこのタイトルにしました。)
これがステレオ盤で「THE MJQ PLAYS NO SUN IN VENICE / ORIGINAL FILM SCORE BY JOHN LEWIS」に変更されたのです。


こんなんも載ってます。

もっと詳しくお知りになりたい方は『LPレコード再発見』をご参照下さい。

さらに追伸、
まだ詳しい情報は得ておりませんが、マックス・ローチが亡くなられたようです。
明日にでも改めて記事にしたいと思っていますが、とりあえずはご冥福をお祈りいたします。ほんと、みんないなくなっちゃうなぁ・・・・・・