JAZZを聴きながら ふたたび

恥も顧みないで再々開、よろしければお付き合いを

ローチ、おまえもか

2007年08月19日 | p-r

私がマックス・ローチというドラマーの演奏を、最初に耳にしたのはどのアルバムであったでしょうか。
サキコロだったのか?ブラウン=ローチだったのか?バド・パウエルのトリオだったのか?モンクとの共演だったのか?
バリバリのバッパーだったのか?いやハード・バッパーだったのか?アバンギャルドな試みだったのか?
長年にわたり多くの重要アルバムに係わってきたマックス・ローチたればこそ、私にはそれを特定することができません。

彼、マックス・ローチは、2007年8月15日夜、マンハッタンの病院で83年の生涯を閉じました。
ある意味、モダン・ジャスの生き証人ともいえる彼もまた、旅だったのであります。

1924年1月10日ノース・カロライナ州で生まれたローチは、間もなくニューヨークのブルックリンに移住、1942年にはすでにドラマーとしての腕前はそうとうのもので、チャリー・パーカーとの共演を果たしています。
この頃、彼のもっぱらの興味は、モダンなドラマー、ケニー・クラークであり、『ミントンズ・プレイハウス』に頻繁に通いながらクラークの奏法を学ぶことに必至であったそうです。
初レコーディングは、コールマン・ホーキンスのグループに加わって、1943年12月18日にBrunswickに残されたものだと思います。この時ローチはまだ19歳でした。
その後、ディジー・ガレスピーのコンボに参加、ベニー・カーターとともに西海岸へも出かけました。
ニューヨークに戻ってからは、マイルス、パーカーらと共演し1952年にはノーマン・グランツ率いるJATPでヨーロッパ各地の巡業も行いました。
大物との共演はさらに続き、1955年、ついに念願のマイ・コンボの結成。ご存じブラウン=ローチ・クインテットであり、ローチはもちろんブラウニーの名声を一機に高める名コンボの誕生だったのです。


左から、ソニー・ロリンズ、クリフォード・ブラウン、
リッチー・パウエル、マックス・ローチ、ジョージ・モロー。

ところが、1956年6月26日、最良のパートナー、ブラウニーが交通事故で突然この世を去ってしまいました。
もちろん、ローチの衝撃と落ち込みはすさまじいものだったでしょう。しかし、立ち直ってからは、ケニー・ドーハム、ブッカー・リトル、ジュリアン・フリースター、タレンタイン兄弟、ジョージ・コールマンといった有力新人を次々とコンボに迎え、活躍を続けたのです。

大きな転機は、アビー・リンカーンとの結婚であったでしょうか。
社会派的傾向が強まり、人種問題を織り込んだ演奏、吹き込みを続け、戦闘的なジャズ演奏者として知られるようになります。

1972年、パーカッション・アンサンブル「ムブーン」を結成、マサチューセッツ州に移り住んで、マサチューセッツ大学で教鞭もとりました。
1977年以降は、ニューヨークに舞い戻り活躍を続けていましたが、ここ最近は体調を崩し、ずっと入院状態であったようです。死因は今のところ発表になってないとのこと

1940年代にはバップ・ドラマーとしてこれを完成させ、1950年代にはワルツ拍子に取り組み、1960年代には複雑な変拍子に挑戦するといった具合に、常に新しいリズムに挑戦し続けたマックス・ローチ、彼がジャズ界に及ぼした影響は計り知れないものでしょう。
私の親しみあるジャズメンは、年々旅立ってしまいます。年齢を考えればそれもしかたのないことなのでしょうが、それにしても寂しいかぎりです。
「ローチ、おまえもか・・・・・・」
ともかくは、名ドラマー、マックス・ローチのご冥福を心よりお祈りいたしましょう。

さて、今日の一枚は、もちろんマックス・ローチです。
このアルバム、好き嫌いがハッキリと分かれるアルバムかもしれません。しかし、ローチがいかに時代を捉えた鋭い感性を持っていたのか。これを知るには最適なアルバムのようにも思えます。
もちろんこの時期のローチですから、そのコンセプトを聴き取るという少々面倒な事が必要なのかもしれませんし、ローチのアグレッシブなスタイルに圧倒される感もあります。

でも、今日のこの日に、このドラム・ソロを聴くとなんとなく涙が出そうになるのは、私だけでしょうか。

DRUMS UNLIMITED / MAX RUACH
1965年10月14, 20日, 1966年4月25日録音
MAX ROACH(ds) JAMES SPAULDING(as) FREDDIE HUBBARD(tp) RONNIE MATHEWS(p) JYMIE MERRITT(b) ROLAND ALEXANDER(ss)

1.THE DRUM ALSO WALTZES
2.NOMMO
3.DRUMS UNLIMITED
4.ST. LOUIS BLUES
5.FOR BIG SID
6.IN THE RED (A XMAS CAROL)

おまけ、
日曜日ですので、恒例の『料理当番、今日の一品』

まずは、へへへへへへへへへ、初物です。秋刀魚の刺身。少々小振りでしたが、脂ののりも良く、美味しくいただきました。

生ものが駄目な人にはこちら、アスパラのベーコン巻きですが、ポーチドエッグを添えてみました。