毎日のできごとの反省

 毎日、見たこと、聞いたこと、考えたこと、好きなことを書きます。
歴史、政治、プラモ、イラストなどです。

ソ連の崩壊でアメリカの覇権が消えた

2016-01-16 14:54:07 | Weblog

 オバマ大統領は、アメリカは世界の警察ではない、と言ったことに象徴されるように、米外交としては消極的で、それが中東やウクライナ情勢を不安定化させたと言われている。だがこれらの根本原因は、アメリカの対外的消極性にあるのではない。ソ連の崩壊によって、アメリカは欧米、すなわち西側世界の盟主である理由を失ったのである。

 第二次大戦後、ソ連は東欧と一時的にもせよ中共を支配し、さらにはベトナムなどの東南アジアに触手を伸ばし、いつの間にか世界の半分の覇権を握る存在になっていることに、米欧諸国はようやく気付いた。この結果NATOを作るなどして、米国は欧米の盟主にならざるを得なかった。盟主となることが期待されたのである。

 その結果米ソの二極の世界ができたかに見えた。米ソの軍拡競争において、ソ連の軍事的弱点は日本海軍に滅ぼされた海軍であった。米国に対抗できる空母建造に、一気にいけなかったために、航空巡洋艦なる空母もどきを造った後、本格的な空母らしきもの(これも航空巡洋艦と呼んだ)を建造したがカタパルトが開発できない以上、CTOL艦上機の運用が困難な空母もどきに過ぎなかった。

 英国の真似をして、スキージャンプ滑走台を備えたが、これはハリアーのようなVTOL能力のあるものの、搭載量を増やす目的のもので、カタパルトの代用には不十分である。

 恐ろしく高速の水中速度を持つ小型原潜から、第二次大戦前の戦艦に匹敵する巨大な原潜まで造った。その他航空機や戦車などの開発もしたが、最も金がかかるのは巨大な海軍力の維持である。ソ連を経済的に崩壊させた最大の要因は、アメリカに対抗しようとして肥大化させようとした、海軍戦力にあるだろう。

 ソ連が崩壊すると、ヨーロッパは自由になり、ソ連成立以前の大国のゲームの世界に戻った。米国もロシア同様、ゲームのプレーヤーの一国に成り下がったのである。しかし、人の意識は簡単に変わるものではない。父子のブッシュ大統領がイラクに戦争を仕掛けたのは、覇権意識の残滓もあったのに違いない。逆に第二次大戦中までの米国は、英帝国がドイツに滅ぼされようとして、大帝国の地位から落ちかけたとき、全世界の覇権を握ったと考えたのであろう。

 ところが、ソ連は、大国のゲームをして、欧米のどこかの国と利害関係によるパートナー探しをしていたロシア帝国とは異なり、ユーラシア大陸に覇権を確立しつつあった。それどころか、コミンテルンを使って、米国の政権中枢にまで入り込んでいた。過去の情勢意識の惰性に流された米国は、ソ連のこれらの伸長を見過ごして、見当違いな対日戦さえ仕掛けた。

 今やISを始めとするイスラム問題が、世界情勢の課題の中心となっている。中国の台頭は本質的には恐るべきものではあるまい。近代の衣をまとった古代国家支那は、いずれ崩壊する砂の巨人である。崩壊に対する備えさえしておけばいいのであって、本気で軍事的対決するために備える必要はない。前述のように、ロシアも大国ゲームのプレーヤーの一国に成り下がった。

だが、イスラムの知識のない小生には、イスラム問題が、どの程度本質的に世界を動かすことになるのか分からない。答えは大川周明などの、戦前の日本のイスラム研究の先駆者に聞いてみるのもひとつの手かも知れない、としか言えない。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿