平成28年7月10日の参議院選挙の開票日、フジテレビで主な政党の紹介をしていた。もちろん泡沫政党の社民党は紹介されない。傑作なのは「日本共産党」だった。のっけからソ連共産党の日本支部として、日本の共産党ができた、と言ったのである。堂々とソ連の傀儡だと出自を語ったのである。
党本部は85憶もかけて建直した豪華なものであるのはいいとして、受付のおじさんから、食堂で働く人まで全員が正職員であるばかりではなく、志位議長をはじめとする幹部も含め、おじさんたちも全員が同じ給料だから、俸給表などはない、というのだ。なるほど共産主義者らしい建前の世界だ。
馬脚はすぐ現れた。前トップの不破哲三氏の自宅を紹介したのだ。もちろん敷地にカメラは入れないが、遠くから撮影する木の間から見えるのは、巨大なと言うべきものすごい豪邸であった。なにせ近隣にある運動場を含めた小学校と敷地面積がほぼ同じだと言うから、その大規模さが分かる。
これを見てソ連の、ノーメンクラトゥーラ(赤い貴族)という言葉は死語ではないと思った。共産主義のご本尊のソ連も私有財産の保有は禁じられ、共産党幹部から一般市民まで全員が平等のはずであった。実際には共産党幹部は、ノーメンクラトゥーラと呼ばれる特権階級である。豪邸や別荘を保有し、外国の高級料理を好きなだけ食べられるし、ソ連製のボロ乗用車ではなく、専用ドライバー付の高級外車を乗り回した。
一般国民は食料を長い列に並んでも買えないこともあるのに、赤い貴族には好きな食料でも何でも好きなだけ手に入る。要するに建前の給料以外に欲しいものは、ソ連政府、いやその上に立つソ連共産党が与えてくれるのだ。
日本共産党幹部の豪邸の陰には、同じシステムがある。日本の赤い貴族なのである。不破哲三には100冊を超える著書があるそうだ。アナウンサーが豪邸を見て、印税が入るからでしょうかね、と言っていたがそうではあるまい。桁が違う。その印税ですら、末端の貧しい党員が、なけなしの安い給料から不破氏の本を買って得られる。
それどころか、建前から個人資産ではまずいから、豪邸は日本共産党の保有で、豪華な食事も好きなだけ日本共産党が支給するのであろう。不破氏しか使えないのだから、実質は不破氏の資産であるのに固定資産税も払わずに済む、というメリットすらあるのであろう。
毛沢東は国民が餓え死んでいる時、豪華な食事を楽しみ、若い女性をとっかえひっかえはべらせた。赤い貴族の頂点である。日本共産党は政権も取っていないのに、赤い貴族を生んだ。正確に言えば、現幹部は生きているうちには政権は取れないから、生きているうちに、共産主義政権の神髄たる、赤い貴族位にはなりたいのであろう。かくして見れば共産主義政権が赤い貴族を生む、というのは必然である。選挙番組は意図せずして面白い光景を見せてくれたのである。
『講釈師、見てきたような嘘をつき』
僕も別の理由で不破哲三は嫌いだけれど、よくこんな文章を書くものである。
例えば、安倍晋三とか鳩山由紀夫みたいに相続財産があったかも知れないではないか。それが打ち消してない。上田と不和この兄弟二人が、東大卒であることは誰でも知っているし、当時からのこういう古い家は土地は都心なんかにも結構持っているということはないのか? 例えば僕だが、親から相続した30坪の土地と建物を運用して、現在は1・5億ほどの土地家屋を持っているが、僕の給料はずっと月20万に過ぎなかった。貧乏な民間社会福祉団体に勤めたからである。
というような反論もすぐ出るはずなのに、そういう疑問をほとんど持たない書き方が、論理というモノを使わない「ずらずら随筆」の貴女らしいと申し上げておく。