皇室のことを語るのは、畏れ多いとは思うが、ある本に気になることが書かれているので、紹介したい。このままでは、将来皇族がいなくなってしまう可能性が高い。それで女性宮家の創設や、旧皇族の皇籍復帰が対策として主張されている。女系天皇につながる可能性のある、女性宮家の創設よりも、旧皇族の皇籍復帰の方が小生には常道だと考えていた。
臣籍降下した家は皇族には戻れない、という慣例があるが、戦後の臣籍降下は占領されている時代に占領軍から強要されたもので、そもそもあってはならないことだからである。ところが、倉山満氏の「日本一やさしい天皇の講座」に「・・・強制的に臣籍降下させられた十一宮家、いわゆる旧皇族の方々はすべて伏見宮にさかのぼります。維新後に創設された宮家はすべて伏見宮家の系統ということになります。・・・この伏見宮家が江戸時代に絶えそうになります。・・・御兄弟が次々とお亡くなりになられたときに、鍛冶屋の丁稚に行っている男の子を連れ戻しました。・・・その『長九郎くん』を第十三代伏見宮家当主貞致親王として戻し、今に至っています。真贋は、当時の京都所司代が『これはご落胤に違いない』と判定したとのこと。」(P106)と書かれている。
これは「伏見宮家実録」に載っている話だそうである。さらに明治期にこの疑義を払拭するために伏見宮家出身の皇族との婚姻を進めたので、臣籍降下させられた伏見宮家の系統の人々は、明治天皇と女系ではつながってはいるそうなのである。つまり、占領軍に臣籍降下させられた旧宮家は、男系である確証が確実とは言えない、ということである。
これは重大なことである。旧皇族の皇籍復帰を実現して、その子孫が将来天皇となった場合、天皇に反対する反日日本人が、これは女系天皇だから、万世一系の天皇はいなくなった、と快哉を叫ぶ可能性がある、ということなのである。
もちろん倉山氏は単に旧皇族の皇籍復帰をするだけではなく、皇籍復帰した家と今の皇室の内親王との婚姻を考えるべきだ、などのいくつかの対案を提案している。現在の皇室存続対策は、女性宮家の創設が主流で、旧皇族の皇籍復帰論は比較的少ないようにみられる。しかし、旧皇族の皇籍復帰論すら危険をはらんでいる。天皇のおられない日本は、日本ではない、という観点からすれば、日本は滅亡の危機に瀕している。